発言と発表 第3回目です。
これまでの記事は以下から
「発言」か「発表」では、子どもは「発言」の方を苦手としていると考えています。
「発表」は(発表の内容の質や発表の仕方は置いといて)事前に台本のようなものを作り、それを読むことも可能だからです。
ノートに自分の考えをまとめ、それをもとに発表ができるからです。
朝の会のスピーチや調べ学習の交流などは「発表」です。事前に準備をすることができます。
それに比べ、「発言」はそのときの話題や状況や雰囲気を感じとり、自分の考えと比較したり、知識をもとに考えたりしないといけません。
そのため、間違った内容の発言、マイナスな発言が生まれてしまう恐れがあります。
マイナスな発言
自分の「発言」で失敗したことは、過去に何度もあるのですが・・・。
1番記憶に残っているのは、
数年前の体育科の研究授業の協議会における「発言」でした。
(周りの先生方は発言されているから、ぼくも発言しないといけない。)
(体育のこと、よくわからない。)
という焦りの思いや知識不足での発言であり、授業者の研究授業に対する思いや研究テーマを無視した最低なマイナス発言でした・・・。
大人でも「発言」は難しいものです。
子どもたちがクラス遊びをみんなで話し合っているとき、
「それ、面白くないからしたくない」とか「嫌だー」
といったマイナス発言をするときがあります。それが原因でもめることも・・・。
マイナス発言はプラス発言よりも子供達はいいやすいのかもしれません。
こういった場合では、
「マイナス発言をするなら、代案を言いなさい。」
「マイナス発言を言うことは簡単。でもそれだけでは話が進まない」
「提案している子の気持ちは考えているの?」
という話を子供たちにします。
そういうと多くの子からのマイナス発言が減っていきます。
子供からマイナス発言がでたときには、すぐに介入しないようにしています。
しばらく「待つ」ように心掛けています。
すぐに指導したい、言いたい気持ちを抑えるようにしています。
子供が成長するきっかけになるかもしれません。
人前で話すことが苦手
「発言」、「発表」問わず、人前で話をすることが苦手な子がいます。
間違えたとき、違ったときに他のクラスの子達にどのようなマイナスなことを言われるかに怯えています。これまでにマイナスな発言を言われた経験や雰囲気を感じてきたのでしょう。
算数科では式を書き、答えをだすことも大切ですが、それ以上に「どのような考え方」をしたのかという「思考過程」が大切です。
しかし「1+2」の答えは「3」であり、「4」ではありません。テストでは×になります。
算数科は◯か×かがはっきりしている教科です。
そのためマイナスな発言を言われた経験や雰囲気を感じやすい教科だと思います。
宿題のプリントやドリルの答え合わせをしているときに
正解のとき「答えは4です。いいですか」「いいでーす」」
間違えのとき「答えは4です。いいですか?」「違いまーす」
というやりとりをよくすると思います。間違えて、クラスのみんなから「違いまーす」
このときの雰囲気はマイナスなはずです。決して暖かい雰囲気ではないはずです。
だから私は間違えたときには、
「おしいです!」
と言わせるようにしています。
そして「どこがおしいのか」「どこを直したらいいのか」ということを検討させます。
そうすることで温かい雰囲気や間違えても良い雰囲気を作りだすことができ、子供たちも間違えを恐れずに発言をするようになります。
他にも・・・
発言を鍛えるためには、発言する機会をとにかく増やします。「質より量」作戦です。
例えば、無茶振りで子供達に話題をふるときもあります。
このときは「パス」はありにしています。
また自分の考えはどれかをハンドサインをするときもあります。
「Aという考え」「Bという考え」「わからない(迷い中)」でハンドサインをさせ、自分の考えを表現させます。
音声言語でなくても、自分の考えを表現する場をつくっていきたいものです。

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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