【発言】と【発表】について、前回の続きです。
前回の記事への御意見をたくさん頂きました。ありがとうございます。
授業中には発言と発表が・・・
あたり前のことですが、授業では「発言」と「発表」が入り混じっているはずです。
では、【発言が0の授業】、【発表が0の授業】、【発言や発表が0の授業】はどのような授業なのでしょうか。
【発言が0の授業】
教師からの話や子どもの「発表」をひたすらきいている授業。
授業としては、アリかもしれません。しかし、聞いているだけは子どももしんどいです。
手遊びやぼっーとしてしまう子が多くいることでしょう。
授業者としてもおもしろくない、授業をしていてもしんどいです。
発表を聞いた上で自分の感想を発言しあうことで、発表に関する深まりもでてきますが・・・。それがないとなると・・・。
【発表が0の授業】
「発言」がメインとなる授業。これはアリかもしれない。
ただし発言量にとても個人差が出ます。発言が苦手な子、物静かな子は発言が0で終わるかもしれません。
ノートなどの発表物をもとに発言や発表もしないため、なかなか整理されないかも・・・。40人でおしゃべりをしている状態?
【発言・発表が0の授業】
教師が一方的にずっと話している授業? 知識・注入型授業? ドリル学習などの反復練習の授業?
いや反復練習のときでも、「わかりません」「できた!」という子どもたちの反応に関する発言はあるはず・・・。
子どもたちの声が聞こえないということか?どんな授業だろう・・・。
講義型授業なのか?
やはり授業の中には、「発言」と「発表」が入り混じっているのです。
発表会からの脱却
自分の授業を振り返ってみると、自力解決の時間のあと、
「どのように考えたかを発表しましょう」と「発表」という言葉を使って、子どもたちに問いかけています。
集団解決のときにそれぞれの考えを発表して終わり、単なる「発表会」になっていると言われることがあります。
発表する子は発表をし、聞いている子はその発表を聞くだけ。聞いている子の中には、手遊びしていたり上の空の子も・・・。
問題解決型授業のマイナスなところとして、よく取り上げられるところです。
こういった「発表会」から脱却するためには、子どもたちに発表に対して「発言」をさせたらいいのです。
ただ「発言」させるのではなく、観点を与えて発言させたいものです。
その観点の1つが、「はやく・かんたん・せいかく」でしょう。
例えば3つ考え方が発表されたとき、3つの考え方を比較させたり、自分の考えと3つの考えを比較させたりして、発言させるのです。
そうすることで算数の学習としての「深まり」がでてきます。
また、「自分が疑問に思ったことやわからないこと」があったときには、そのままにせずに発言するという観点も大事です。
1つの考えを発表したのちに、「ここがわからなかった」「ここをもう少し聞きたい」といったことが自然と子どもたちが言える環境や授業展開にしておくのです。
発表を1度にすべて言わせるのではなく、途中で止め、
発表者自身が「ここまでで質問ありませんか?」と聞くということや
教師の方が「続きを言える人?」と問い返すことも有効です。
発表したあとに、「この考えでいいですか?」『いいでーす』といった授業展開は避けたいものです。
子どもたちの中には『いいです』と言っておけばいいやと思う子もいるからです。
「◯◯くんの考え方を、お隣の子に話をしてみましょう。」
と隣の子に発言しあうことも手立ての一つです。
子どもたちが「発言」するための手立ては必ず必要です。
それはやはり子どもたちが「発言」することの方が苦手意識があるからではないでしょうか。そこらへんは次号にて。
続く

樋口 万太郎(ひぐち まんたろう)
京都教育大学附属桃山小学校
みんなが「わかる」「できる」、そして「楽しい」授業を目指し、目の前にいる子に応じた指導を行っています。キーワード「学級経営」「算数」「タブレット端末」。
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