「メタ認知」という言葉を耳にされたことがあるでしょうか。
脳科学や認知心理学が広く知られるようになり注目されている力です。専門職である教師に求められる重要な力のひとつでもあると考えます。
「メタ認知」とは、自分自身の行動や思考そのものを、客観的に把握し認識する力と言われています。例えるならば、もう一人の自分が少し離れて冷静に自分自身の言動や頭の中を分析しているイメージです。
一般的に「教師は子どもを見る」ということは日々強く意識されていますが、もう一方の視点として、軽視できないのは「教師は子どもに見られる存在である」ということです。クラスの子どもたちは、担任の教師に似てくるとも言われます。つまり、教師の言動が知らず知らずのうちに、意識されないうちに、大きな影響を子どもたちに与えているということです。私は、教師の立ち振る舞いや言動、その感性こそが、子どもを育てると感じています。
教師が自分自身を客観的に見つめる目を持つこと、子ども(親)の目線や視点から実践を見直すこと。つまり、これからの教師は反省的実践家でなくてはいけないと言われます。(反省的実践家については、哲学者ドナルド・ショーン氏や東大の佐藤学氏の著書に詳しいですが、ここでは割愛します。)そして、その重要な要素がメタ認知です。
授業力をあげるにも、子どもや保護者への対応力をあげるにも、自分自身の言動を分析し、行動パターンを自覚した上で、見直すことが必要だと思います。
学校現場は忙しく、ゆとりがない中で、多くの教師が、日々、実践に追われる実践埋没型教師になっています。授業の名人と言われる野口芳宏氏は「経験は意図的に積み重ね、そこに整理を加えなければ、真の力にはならない」と主張されていますが、私も全く同感です。教師自身の中でPDCAの思考サイクルをまわす手立てが必要ではないでしょうか。
立ち止まって物事を考えるには、言語化することが一番です。ただ、振り返りやメモなどを書く時間はありませんし、続けることはもっと難しいでしょう。
そこで、提案です!
提案(1) 自分の授業をビデオに撮る(教室にビデオを常備)
提案(2) 授業の板書をデジカメで写す(係の子に任せる)
(1)は自分自身を客観的に見ることができる最も有効な方法です。ただし、自分の不甲斐なさやイメージと違う授業の様子にカメラを壊したくなる衝動をおさえなければなりません。
(2)は授業のパターンや癖を知るだけでなく、次時の学習にも役立ちます。私はよく印刷して、学習資料として配布していました。どちらも簡単に日々の授業を記録に残せます。
(1)は、授業のテンポや教師のしゃべり方、目線、子どもの反応等をメタ認識できます。
(2)は、授業の全体構成、書き方の癖、効果的な板書の使用等をメタ認識できます。
こうして、自分自身の授業をメタ認知することで大きく実践力が変わります。時に、同僚に見てもらうとさらに効果は上がります。3K(勘・気分・経験)だけでは、自己満足に終始し、教師力はなかなかアップしません。教師は反省的実践家として、日々の中でメタ認知を意識することで、確実に実践力を高めていくと私は考えます。
次回は子どもの「メタ認知」について、考えます。
写真:前勤務校の“うれしのカーニバル”(運動会)の一コマ。
大逆転のリレー、チームリーダーたち、全校競技“大玉リレー”
脳科学や認知心理学が広く知られるようになり注目されている力です。専門職である教師に求められる重要な力のひとつでもあると考えます。
「メタ認知」とは、自分自身の行動や思考そのものを、客観的に把握し認識する力と言われています。例えるならば、もう一人の自分が少し離れて冷静に自分自身の言動や頭の中を分析しているイメージです。
一般的に「教師は子どもを見る」ということは日々強く意識されていますが、もう一方の視点として、軽視できないのは「教師は子どもに見られる存在である」ということです。クラスの子どもたちは、担任の教師に似てくるとも言われます。つまり、教師の言動が知らず知らずのうちに、意識されないうちに、大きな影響を子どもたちに与えているということです。私は、教師の立ち振る舞いや言動、その感性こそが、子どもを育てると感じています。
教師が自分自身を客観的に見つめる目を持つこと、子ども(親)の目線や視点から実践を見直すこと。つまり、これからの教師は反省的実践家でなくてはいけないと言われます。(反省的実践家については、哲学者ドナルド・ショーン氏や東大の佐藤学氏の著書に詳しいですが、ここでは割愛します。)そして、その重要な要素がメタ認知です。
授業力をあげるにも、子どもや保護者への対応力をあげるにも、自分自身の言動を分析し、行動パターンを自覚した上で、見直すことが必要だと思います。
学校現場は忙しく、ゆとりがない中で、多くの教師が、日々、実践に追われる実践埋没型教師になっています。授業の名人と言われる野口芳宏氏は「経験は意図的に積み重ね、そこに整理を加えなければ、真の力にはならない」と主張されていますが、私も全く同感です。教師自身の中でPDCAの思考サイクルをまわす手立てが必要ではないでしょうか。
立ち止まって物事を考えるには、言語化することが一番です。ただ、振り返りやメモなどを書く時間はありませんし、続けることはもっと難しいでしょう。
そこで、提案です!
提案(1) 自分の授業をビデオに撮る(教室にビデオを常備)
提案(2) 授業の板書をデジカメで写す(係の子に任せる)
(1)は自分自身を客観的に見ることができる最も有効な方法です。ただし、自分の不甲斐なさやイメージと違う授業の様子にカメラを壊したくなる衝動をおさえなければなりません。
(2)は授業のパターンや癖を知るだけでなく、次時の学習にも役立ちます。私はよく印刷して、学習資料として配布していました。どちらも簡単に日々の授業を記録に残せます。
(1)は、授業のテンポや教師のしゃべり方、目線、子どもの反応等をメタ認識できます。
(2)は、授業の全体構成、書き方の癖、効果的な板書の使用等をメタ認識できます。
こうして、自分自身の授業をメタ認知することで大きく実践力が変わります。時に、同僚に見てもらうとさらに効果は上がります。3K(勘・気分・経験)だけでは、自己満足に終始し、教師力はなかなかアップしません。教師は反省的実践家として、日々の中でメタ認知を意識することで、確実に実践力を高めていくと私は考えます。
次回は子どもの「メタ認知」について、考えます。
写真:前勤務校の“うれしのカーニバル”(運動会)の一コマ。
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高岡 昌司(たかおか しょうじ)
岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 主任
教育行政職3年目です。授業談義できる場を求めています。この場を借りて授業実践や学級経営についての意見交換ができたらいいなあと思っています。専門は社会科教育です。
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