それは、子どもたちの身体性に関することです。「最近は、子どもをじっと席につかせておくだけでも大変です」という声をよく聞きます。一人ひとりに対する支援のニーズが増え、実際の学校現場は本当に大変だと思います。教師の対応をみると「ちゃんとしなさい」「前を向きなさい」などの声かけや姿勢を正すことに終始している場面が多いように感じます。
しかしながら、考えてみると、どの子も45分なり50分ずっとよい姿勢のまま座っておくのは苦痛ではないでしょうか。脳科学の研究からもじっと座って考えるよりも動きながら考える方が脳は活性化するとも・・・言われます。
授業は動と静、メリハリが大切です。私は、授業の中で、もっと動きのある授業展開をすることが、発問とともに必要だと思うようになりました。子どもが身体をひらき、心の開放がある中で、授業としてもメリハリをつけるためにも、ずっと座学という学習活動(形態)では難しいのではないでしょうか。
今回は、私なりに実践してきた一例を紹介します。
(1)挙手だけでなく、意見をもった子は次々と起立させる
(2)自由に動くこと(相談すること)を保障する
(3)小グループの活動を必ず授業の中に位置づける
以上、動きをつくる活動を意図的に仕組むということです。
(1)について、挙手だけで進める授業では動きがつくりにくい面があり、単調な授業の原因でもあります。教師からの指名や列指名などを取りいれながら、合わせて、「意見がもてた人は立ちましょう」と少しでも考えが持てた子には次々と起立させます。座っている子は当然、次第に考えざるを得ない状況になります。そこに教師が支援や助言に入ります。(参照:写真中)
(2)について、起立した子は起立している者同士で、自由に意見交換をしてもよいこととします。座っている子へのヒントや言葉がけも授業のじゃまにならない範囲(子どもなりの授業全体への配慮)で認めます。ここでどの程度時間をとるのかなどは内容や状況によってかわりますから、毎回同じというわけではありません。45分の内3~5分のこともあれば、半分以上のときもあります。また、そのまま席に戻らず、集まったその場で発表をさせることもあります。(参照:写真上)
もちろん、学習のまとめや意見の整理をするときなどは一旦席に戻り、ノートに書かせるなどのメリハリはつけます。
(3)については、話し合いの内容によって、意見や立場が分かれる時などに、小グループで話し合いをさせます。机や椅子を動かすこともあります。時には、黒板前や席の周りに集まり相談したりすることもあります。(参照:写真下)社会科の話し合い(討論)などでよく実践しました。
このように、1時間の授業の中で動きをつけることが、子どもの身体をひらき、心の開放につながりやすいと考えています。授業の雰囲気をやわらかくし、何でも話せる自由な場づくりを意図的につくりだすのです。このような指導を進めていくことで、いつしか友達同士で意見交換をすることが当たり前になってきます。最初は男女や好きな者同士で集まる傾向がありますが、ここに対しては、当然、自由に相談できることの意味や話し合いの意義を伝えながら、指導をいれていきます。
「考える力」を育てる授業づくりでは、子ども同士の対話をどのタイミングで、どのようにシステム化していくのか重要であるように思います。(実際は試行錯誤の日々ですが・・・)
カルテによる座席表指導案で有名な築地久子氏や服部英雄氏(兵教大附属小学校)など先達の実践に学びながら、子どもの身体性という視点から「考える力」について、私なりに取り組んだものです。




高岡 昌司(たかおか しょうじ)
岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 主任
教育行政職3年目です。授業談義できる場を求めています。この場を借りて授業実践や学級経営についての意見交換ができたらいいなあと思っています。専門は社会科教育です。
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