学級会は「自分たちの力」を試す場所 教師が一歩引いたとき、子どもたちが動き始めた
子どもたちが自分たちで考え、仲間と協力しながら、学級をよりよくしていく。そんな姿を目指して、これまで体育の授業や「会社活動」に取り組んできました。
今回は、学級会で話し合いを重ねる中で、子どもたちが自分たちの力で学級を動かすようになっていった姿を紹介します。
愛知県東郷町立春木中学校 教諭 阪野 一輝
体育や会社活動での経験を学級会へ
体育では、自分の課題を見つけ、友達とアドバイスを交わしながら、よりよい動きを探っていく。また、子どもたちが自分の好きなことや得意なことを生かして会社を立ち上げる「会社活動」では、仲間と協力して学級に新しい価値を生み出していく。
こうした経験を日々の学級生活にもつなげることで、子どもたちの成長をさらに促していきたいと考えました。
そこで取り組んだのが、学級会を通して学級の課題を自分たちで見つけ、解決していく活動です。
教師が課題を見つけて指示を出すのではなく、子どもたち自身が学級の様子を振り返り、よりよくするための方法を考え、実行する。子どもたちが自分たちで考え、判断し、行動する機会を少しずつ増やしていきました。
学級をよくするための「ミッション」を考える
学級会では、学級委員が司会を務め、子どもたちが主体となって話し合いを進めていきました。話し合うテーマは、「学級をよくするためには、どんなことが必要だろう」というものです。
子どもたちは、普段の学級生活を振り返り、課題を見つけ、その解決に向けて何ができるかを考えました。
例えば、提出物が出ていないという課題に対しては、グループで協力して取り組む「提出物チャレンジ」を考案し、実施しました。
また、教室の整理整頓ができていないときには、自分たちで教室の様子を確かめる「整理整頓チェック」を始めました。
教師から「提出物を出しなさい」「教室をきれいにしなさい」と指示されて動くのではなく、自分たちの学級をよりよくするために何ができるかを考え、実際に行動に移す。こうした経験を重ねることを大切にしました。
子どもたちに任せるための土台をつくる
子どもたちが主体となって話し合いを進めるためには、自由に意見を出せるだけでなく、互いの考えを受け止められる関係づくりも必要です。
そこで、最初の学級会では、話し合いを進めるためのルールも子どもたちと一緒に決めました。
その中で大切にしたのが、「相手の話は最後まで聴くこと」です。
自分の意見を伝えるだけでなく、友達の意見にも耳を傾ける。自分とは違う考えが出てきても、最後まで聴いた上で、よりよい方法を考えていく。
こうしたルールを共有することで、子どもたちが安心して意見を出し合い、話し合いを進められる土台を整えていきました。
任せるといっても、最初からすべてを子どもたちに委ねればよいわけではありません。自分たちで考え、話し合い、行動するための土台をつくり、その上で少しずつ子どもたちに任せていくことが大切だと考えています。
教師が指示していないのに、話し合いが始まった
こうした取り組みを続ける中で、子どもたちの成長を感じる出来事がありました。
学習発表会のリハーサルが終わった後のことです。
私は子どもたちを先に教室へ戻らせ、体育館の片付けを済ませてから教室へ向かいました。教室に戻ると、思いがけない光景が目に入りました。
子どもたちが、自分たちで話し合いを進めていたのです。学級委員を中心に、今回のリハーサルでよかったことを振り返り、次の本番に向けて、どこを頑張ればよいかを話し合っていました。
私は、子どもたちに話し合いをするよう指示していませんでした。振り返りの時間を設定したわけでもありません。そもそも、リハーサル後に振り返りをすること自体、予定していなかったのです。
それなのに、子どもたちは自分たちで話し合いを始めていました。その姿に、私は驚かされました。
これまで、学級会で学級の課題を見つけ、解決するためのミッションを考え、実際に取り組んできた子どもたち。自分たちで話し合いを進める経験を重ねる中で、必要なことを自分たちで考え、行動する姿が少しずつ育っていたのかもしれません。
教師に言われたから振り返るのではなく、次の本番をよりよいものにするために、自分たちで振り返る。
目の前の子どもたちの姿から、これまでの積み重ねが、予定していなかった場面での自発的な行動にもつながっていることを感じました。
先回りして指示を出す前に、少し立ち止まってみる
今回の実践を通して改めて感じたのは、子どもたちに任せることは、決して何もせずに放っておくことではないということです。
・話し合いのルールを一緒に決めること
・自分たちで課題を見つけ、解決策を考える機会をつくること
・考えたことを実際に行動に移す経験を積み重ねること
教師には、子どもたちが自分たちの力を発揮できるよう、環境を整える役割があります。一方で、教師が先回りして課題を見つけ、解決策まで示してしまうと、子どもたちが自分で考える機会は少なくなります。
だからこそ、すぐに指示を出すのではなく、子どもたち自身が考え、行動する余地を残しておくことも大切です。
もちろん、任せればすべてがうまくいくわけではありません。必要に応じて支えながらも、子どもたちが自分たちで考え、動き出すのを待つ。その積み重ねが、学級を自分たちの力でつくっていく経験につながるのだと思います。
教室で目にした、自分たちで話し合いを進める子どもたちの姿。その姿は、教師がすべてを決めなくても、子どもたち自身が学級をよりよくしていく力をもっていることを教えてくれました。
子どもたちのために何かをしてあげることだけでなく、子どもたちが自分たちの力を発揮できる場をつくること。教師が一歩引くことで、見えてくる成長があります。
これからも、子どもたちの可能性を信じ、考え、行動する機会を大切にしながら、自分たちの力で学級をつくっていく姿を支えていきたいと思います。

阪野 一輝(ばんの かずき)
愛知県東郷町立春木中学校 教諭
公立学校教諭。大学院にて運動生理学を専攻。これまで約10年間、小学校を中心に、体育における「自己調整学習」の実践研究や、子どもたちが主体的に運営する学級経営に注力している。授業や学級経営を通じ、子どもたち一人ひとりの心に「自律の種」をまく実践を大切にしている。
同じテーマの執筆者
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
この記事に関連するおススメ記事
「教育エッセイ」の最新記事













アグネスの教育アドバイス
映画と教育
震災を忘れない









この記事をクリップ
クリップした記事
ご意見・ご要望








