2026.10.18
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採用試験に合格したあなたと、初めて臨時的任用教員として学級担任をするあなたへ(1)

4月からスムーズに仕事を始めるためには、さまざまな事前準備が必要です。
物の準備や教育に対する考え方の整理、理想を持つことの大切さや理想通りにいかない現実を知ることなど、仕事に就く前にやっておくとよいことをお伝えしていきます。

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭 石川 雄介

採用だろうが、採用じゃなかろうが

9月中旬、沖縄県では教員採用試験の合格発表があり、喜ぶ人もいれば現実から目を背けたい人もいたと思います。

合格者の中には臨時的任用教員として数年働いてきた人だけでなく、大学生も多いと感じます。私の約10年前の教え子も数名合格し、来年度から大学卒業後に働くこととなりました。私自身も大学卒業後すぐに採用され、学級担任として働きました。

特に大学生は「合格して来年から初任者として学級を持つのが不安」「卒業したばかりの自分が先生をして大丈夫かな」と感じると思います。または、「臨時で働いて経験を積んでから合格を目指そう」と考えている人もいるかもしれません。

私が声を大にして伝えたいことは、採用試験に合格した人も臨時的任用で働くことになった人も、どちらも学級担任として働き始めるということです。ここに採用試験の合格者と臨時的任用教員の差はないと思います。

子どもたちから見ると、採用試験に合格していようがいまいが、どちらも自分の先生です。どちらも同じように職務に専念しなくてはいけません。先生として責任を持って子どもたちを教育し、支えていく点に差は1ミリもありません。

一般企業では、就職したら先輩について仕事を覚えたり、一定期間研修を受けたりしてから1人で現場に出るなど、しっかりとしたスモールステップがあり、自信をつけるための仕組みができていることと思います。

しかし、残念ながら教員は最初から1人です。もちろん、先輩はいますし、助けてもくれます。ですが、最終的には4月の新学期初日に教室に立っている大人はあなた1人です。

台本もなく、マニュアルもなく、あなた1人で約30人の子どもたちを相手にやり切らないといけません。これらを想像するだけで恐怖に押しつぶされると思います。なので、その恐怖を少しでも和らげるためのお話をさせていただきます。

ここからの話は、初めて学級担任をする人向けの話になります。
4月に初出勤してからさまざまなことを準備すると、多忙さに押しつぶされそうになることがあります。多忙さを感じるその前に、物や考え方、学級経営など、あらゆる準備をしておくことで気持ちにも時間にも余裕を持つことができ、その分の時間を子どもたちに充てることができます。

準備すべきことは無限にありますが、その中から次の4つに絞ってお伝えしていきます。
①なぜ自分が先生として働きたいのかを再確認すること
②どんな学級にしたいのか、学級経営のテーマは何にするのか、その具体的な手立てを明確にすること
③物の準備、~買っておく、持っておくとよい物~
④現実から絶望を知ること

以下、それぞれの詳細をお伝えします。

①なぜ自分が先生として働きたいのかを再確認すること

採用試験の面接時に志望動機について必ず聞かれます。試験を終えた今でも、その志望動機は覚えていますか?
その志望動機を面接用の言葉だけで終わらせてはいけません。実際に学級担任に就いた時の教育の基盤となります。

この仕事をしていると、授業をつくることや仕事に割り込むように入ってくる生徒指導など、予期せぬことが毎日無数に起こり、想定外の疲れを感じることが多々あります(何も起こらなかった日を奇跡の日と思えるかもしれません)。

その疲れのせいで、自分の理想とする教師像から離れることもあります。そんなときに、いや、本音を言うと度々思い出してほしいのが「なぜ、自分は先生という仕事に就きたいと思ったのか」です。

志望動機という原点は、仕事をする上でのモチベーションにもなり、目指す教育の基盤にもなります。この志望動機は「教師を志望した動機」なので一生変わることはありません。つまり、あなたが教師を目指す物語の始まりがそこにあるのです。これを忘れてはいけません。

ちなみに、私の志望動機は「子どもが楽しくてわかりやすいと思える授業がしたい。無意識に人に優しくできる子に育てたい。このクラスになれてよかったと思わせるような学級をつくりたい」でした。
15年たった今でもその思いは変わらず、学級経営に対する考え方の基盤となっています。

何事も原点が大事、原点を振り返れと言いますよね。授業づくりをする時、学級経営をする時、どんな時でも教員を目指した原点を忘れずに仕事をすると、志望時の理想を現実にできるだけでなく、過去に教員を目指して頑張り続けた自分を裏切らないことにもつながります。

志望動機を自分の教育テーマとして授業づくりや学級経営を行ってほしいです。

②どんな学級にしたいのか、学級経営のテーマは何にするのか、その具体的な手立てを明確にすること

先の話と重なりますが、あなたはどんな学級をつくりたいと思って教師を目指しましたか?
もしかしたら学級経営ではなく、授業することを目的として教師になった人もいると思います。しかし、この仕事は授業だけが仕事内容ではなく、自分の学級を経営する力が非常に大切になります。

学級経営はすべての教育活動に密接に関係しています。よい授業を行うためには、よい学級経営が不可欠です。極端な例を挙げると、荒れた学級では互いを思い合わず、先生の話を聞かず、よい授業はできません。
学級の心や考えのベクトルが同じ方向を向くことで、本当のよい授業が生まれます。

話を戻しますが、どの先生も学級経営が必要となるので、理想の学級像を持つことが大切です。
「男女隔てなく仲のよいクラス」「1人残らずみんなが笑い合えるクラス」「みんなで助け合えるクラス」「けじめがあって安心できるクラス」など、教師の数だけ理想の学級像があります。

しかし、日々の多忙でなかなか理想を現実にできないことも多いと思います。仕事に就いてから「忙しくて理想が理想のままになってしまう」という思いもわかります。
わかりますが、そんな時こそなぜこの仕事を志望したのかを思い出してほしい。忙しさに負けずに理想を現実にする強い心を持ってほしいです。

ただエールを送るだけでなく、どうしたら理想を現実にできるかもお伝えします。
理想を現実にするためには、具体的な活動をつくる必要があります。
例えば「男女隔てなく仲のよいクラス」を目指すのであれば、授業中にさまざまな子ども同士が交流する学習場面をルーティン化したり、週に1回、休み時間にみんなで遊ぶ場を設けたりするなど、担任が交流できる場を設定することで理想が現実に向かっていきます。

さらに、担任の目指す学級像を子どもたちに自然と伝えることができます。
ここで大切なことは、理想を現実にする活動をルーティン化することです。ルーティン化、日常化することで子どもたちは毎日、担任が理想とする学級像に触れ、無意識に同じベクトルを向いて走り出していきます。

このように、目指す学級のテーマや理想を明確にし、それらを達成できるような活動を日常の中にこっそりと忍ばせることで、理想の学級を現実にすることができます。
もちろん、受け持った子どもたちによっては理想を現実にできない1年もあるかもしれません。しかし、現実にできなくても担任の思いは少なからず子どもたちに届いており、目に見えなくても何かしらの変化をもたらしています。

今年の子どもたちは大変な学年だから…と子どもたちのせいにせず、自分の志望動機と沸々と湧き上がってくる情熱を忘れずに、理想の学級像を目指してほしいです。(学級経営のテーマを持つ大切さについては別の投稿「学級開きに子どもたちに伝えたいこと」で語らせていただいているので、よければご参考に)

思ったよりも長くなってしまったので、次回は、残りの「③物の準備」と「④現実から絶望を知ること」についてお話しします。
来年度、初めて学級担任になる方にとって、実りある話になっていたら幸いです。

何卒。

石川 雄介(いしかわ ゆうすけ)

沖縄県那覇市立さつき小学校 教諭


沖縄県の小学校教員として10年以上、子どもも担任も楽しむ学級づくりや授業づくりを研究しています。
私のモットーは「合いのある学級づくり」で、特に『思い合い、支え合い、学び合い』に重きを置いています。
また、授業や生活の中で他者尊重の心を育む仕掛けや子どもの興味を惹くアイディアを考えるのが大好きです。
効果的な掲示物の作成や子どもも担任も楽しめるアイディアなど、多種多様な教育場面について伝えていきたいと思います。

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