「なんで教員になったんですか?」
ある日、生徒から「教員ってブラックなんですよね?」と質問されました。
どう答えるのが良いのだろうかと考えてしまいました。
東京都内公立中学校 教諭 朝倉 しおり
素朴な疑問
生徒と話をしている時や掃除をしている時に、ふと「先生ってなんで先生になったんですか?教員ってブラックなんですよね。」と聞かれました。彼らの質問に特に深い意図はないのだろうと思っていますが、ニュースや話題になっているからこそ、シンプルに気になるのかなと思いました。
自分が聞かれたときには、「もちろん大変なことも多いけれど、みんなと一緒に過ごす毎日は楽しいからね~」なんて言ってのらりくらりやり通すのですが、聞かれるたびに「教員ってブラックなのか?」と自ら問いかけ、考えてしまいます。
ブラックなのかもしれないけれど
教職がブラックだと思われる原因の一つに「時間外勤務が多い」ということがあげられるのではないでしょうか。朝早くから仕事をして、夕方には部活動があり、夜も仕事をして帰る時間は21時や22時を過ぎている。また、休日でも部活動があれば半日や1日をそれにとられてしまう。
確かに朝早い先生は始発で、遅い先生は終電(もしくはそれ以上)までお仕事をされている姿を見たことがあります。部活動の練習や大会が続いて、1~2か月無休で働いている先生にもお会いしたことがあります。私がお会いしたことがなかったり知らなかったりするだけで、もっと働いていらっしゃる先生も存在するのだと思います。こんな現状がなにかに取り上げられたり、ピックアップされたりすれば「教員はブラックで大変だ」というイメージがつくのも当然です。大変なこともたくさんありますが、それだけではないことも事実です。
誰がどう考えるか
私は一般企業で働いた経験はなく、大学を卒業したらすぐに教員として働き始めたのでわかりませんが、きっとどんな職業でも大変なことはたくさんあるでしょうし、つらい思いをしている人もたくさんいることでしょう。何が”ブラック”かどうかは人によって違うことだと思います。
同じ職業でも働く場所や部署によって仕事は変わってきますし、一緒に働く人間関係も変わってきます。人が違えば基準も違います。環境や人によって最善は違うわけで、自分にとっての楽や苦が、他人にとっての楽や苦とも限らないということです。一般的に「教員ってブラックなの?」と聞かれても、回答は教員の数だけあると思います。
同じことのない毎日だから
幸い、自分自身は学校や生徒、他の先生方に恵まれて、楽しく毎日過ごすことができています。働き始めてから常に楽しいわけではなく、辛いことも大変なことも苦しい思いもしてきました。
それでも、生徒たちの成長を毎日近くで感じ、できなかったことができるようになっていく姿を見ることができると、「彼らのために頑張ろう!」という気持ちになります。そう思わせてくれる生徒たちと出会えたことが幸せなのかもしれません。そういうことが続いていくと、ブラックだとか大変だとか関係なく、自分にできることを一生懸命頑張ろうと思いますし、「教員になって良かったな」と思います。

朝倉 しおり(あさくら しおり)
東京都内公立中学校 教諭
大学を卒業してすぐに公立中学校の教員になりました。
若手(寄り)の立場で生徒と一緒に日々勉強中。
「成長し続ける教師」を目指して考えたことや独り言を発信していきます。
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