落ち着きのない児童への対応に困っている先生へ! リラックスしたクラスづくりのための5つのポイント
落ち着きのない児童がいるクラスは、授業の進行を妨げられたり、他の児童の集中力が削がれたりと、先生方を悩ませます。
しかし、ベテラン教師が長年実践してきた対応方法を知っていることで、クラスを落ち着かせるコツがわかります。
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児
落ち着きのない児童の共通点
落ち着きのない児童には、注意力が散漫になりやすい、衝動的な行動をとりやすい、感情のコントロールが難しいなどの共通点があります。
1.落ち着きのない児童への第一歩は「受け入れる」
落ち着きのない児童に対しては、否定的な言葉を吐き出したり、怒鳴ったりするのではなく、まずは児童の気持ちを受け入れるようにします。
児童の行動の背景にある理由を探り、共感的な態度で接することで、児童は安心感を持ち、落ち着いて行動を選択することができるのです。受容的な雰囲気があれば、良好な関係づくりの第一歩となります。
例えば,「少し落ち着かなくなったんだね。でも先生はあなたの気持ちはよくわかるよ」と、児童の気持ちを受け入れた上で、穏やかに声をかけるとよいでしょう。
NGな指導例: 「何度注意したら分かるの?」と一方的に叱責する。
2.児童に合わせた「個別の対応」を心がける
落ち着きのない児童には、発達の課題や家庭環境など、それぞれに異なる背景や要因があります。
児童の特性を理解し、個別に対応する必要があります。
注意散漫な児童には短い指示を、衝動的な児童には落ち着いて時間を加えるなど、個別の対応が効果的です。
一様な指導では十分な効果はありません。
NGな指導例: すべての児童に対して同じ指導をする。
3.ルール作りに「児童の参加」を促す
落ち着いた雰囲気作りには、児童を保護するクラスのルールを決め、主体的に取り組ませることが何より効果的です。
机の上に置く物、移動時のルールを決め、児童自身の実態に合わせて決めていきましょう。
ルール作りに参加することで、児童は規範意識を持ち、自律的に行動を起こすようにします。
NGな指導例: 一方的に先生がルールを決め付ける。
4.「褒める機会」を積極的に設ける
落ち着きのない児童でも、認められると頑張る気持ちが芽生えます。
小さな良い行動も見逃さずに、具体的に児童を励ますようにしましょう。
例えば「○○くん、今日はみんなの話をよく聞けていたね」と、行動を具体的に伝えれば、児童の自尊心が高まり、さらに良い行動をとるようになります。
一般的な言葉で済ませるのではなく、行動に対する賞賛を続けましょう。
NGな指導例: 「いいね」と大雑把な言葉で済ませる。
5.「リフレッシュの時間」を設ける
落ち着きのない児童には、集中力が続かないことが課題となります。
そこで、一定時間が経ったら,活動を変えてみましょう。
例えば,音読だと次のような感じです。
①立って音読をする。
②席の前から順に一文ずつ読む。
③隣の人と一文ずつ交代して読む。
④1月生まれ,2月生まれ‥‥の順に読む。
他にも方法はあります。
音読をするとき役割をいろいろと変えることで,児童の集中力を保つことができます。
NGな指導例: 長時間,同じ活動をさせる。
まとめ
落ち着きのない児童への対応は一朝一夕にはできませんが、児童理解を深め、寄り添う姿勢と工夫次第で、リラックスした雰囲気のクラスづくりは可能です。
児童の言葉を大切に認め、受容する心を忘れずに、粘り強く対応を続けましょう。
神保 勇児(じんぼ ゆうじ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
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