2024.02.01
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3学期だからこそ大切にしたい!計算ができない原因と支援方法の紹介

クラスの中に計算の苦手な子はいませんか?
3学期も1ヶ月が終わってしまいました。このまま次の学年へ送るのはかなり忍びないものです。特に、繰り上がりの計算、九九、異分母分数の計算などは、子どもたちの悩みの種になっています。そこで、この記事では、算数の計算が苦手な子どもへの支援方法について、いくつかの例を紹介します。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

繰り上がりの計算ができない子への支援方法

繰り上がりの計算ができない子は、10の合成や分解をする力が低い可能性があります。10の合成とは、1と9、2と8など、合わせて10にすることです。10の分解は10を3と7、4と9など、10をいくつといくつに分けることです。これは、繰り下がりの計算をするときに使う大切な力です。その力を高めるためには、以下のような方法が効果的です。

  • カードに書かれた数字を見て、10になる数字を言ったり、暗記をさせたりする。ポイントは、ある数が10になるのに、あといくら足りないかや、10になる数の2つの組み合わせなどを頭の中で考えられるように練習します。
  • 指を使って数えることをやめさせるのではなく、安心できるまで数えさせてあげる。指で数えることは、数の構造や関係を視覚的に表すツールであり、計算力の発達に役立ちます。

繰り上がりのある、たし算に苦労している場合は、数の小さいほうを分解して、10になるように足す方法を教えるという手立てもあります。例えば、7+8は、8を2と6に分解して、7+2=9、9+6=15と計算します。このように、繰り上がりの計算の苦手な子への柔軟な支援をしていきましょう。

九九を覚えていない子への支援方法

九九を覚えていない子は、スモールステップで練習させることが効果的です。一気に全部覚えさせようとすると、子どもは挫折してしまう可能性が高いです。ですから、九九の学習は一つの段をクリアするごとに、次の段に進むようになっています。

また、練習の方法も段階的に難しくしていきます。例えば、次のように徐々に暗記力を高めていきます。

  • 式と答えがふりがな付きで書かれたカードを見て言う。
  • 式と答えがふりがななしで書かれたカードを見て言う。
  • 式だけがふりがな付きで書かれたカードを見て答えを言う。
  • 式だけがふりがななしで書かれたカードを見て答えを言う。
  • かける数だけが書かれたカードを見て式と答えを言う。
  • 指を折ってかける数を確かめながら言う。

九九を覚えていない子は、暗算のトレーニングを楽しく行うことがポイントです。そこで、家庭でも遊びながら学習できる方法を取り入れましょう。
例えば、以下のような方法があります。

  • サイコロを使って出た目を使って暗算する。例えば、サイコロを2つ振って、出た目をかける、出た目のうち大きい方を小さい方で割る、出た目の和を10から引くなどの計算をする。
  • 時間制限を設けてドキドキ感を演出する。例えば、1分間に何問正解できるか、10秒以内に答えられるかなどのルールを決めて、計算のスピードを競う。
  • 正解したら拍手して褒めあう。例えば、親子や兄弟でペアを組んで、相手の計算に正解したら拍手して「すごいね!」や「よくできたね!」などの言葉をかける。これは、子どもの自信ややる気を高める効果があります。

異分母分数の計算ができない子への支援方法

異分母分数の計算ができない子は、通分や約分の仕方をしっかり理解させることが必要です。そのためには、分数の意味や大きさを理解する方法を考えさせることが大切です。分数は一つのものを等分したいくつぶんか、分子を分母で割った商を表します。分数の意味や大きさを理解するためには、以下のような方法が効果的です。

  • 図や具体物を使って、分数を表します。例えば、円や長方形などの形を分割して、分数の分子や分母が何を表すかを見せる。また、ピザやチョコレートなどの食べ物を分割して、分数の大小や等価性を比べる方法もあります。
  • 分数の単位を揃えます。例えば、1/2と2/4は同じ大きさの分数ですが、分母が異なることは分かりにくいです。そこで、分母をそろえるために、1/2と2/4は、同じ大きさの分数であるというように、同じ大きさの分数を探します。このように、同じ大きさの分数を探すことで、分数の単位をそろえることや、分数の意味や大きさを理解しやすくなります。

以上のように、分数の計算が苦手な子どもたちに対しての支援方法は、子どもの特性やレベルに合わせて工夫することが大切です。また、少しずつ計算できるようにしていくようにすることも重要です。

今回のお話はいかがでしたか? 
この内容は、授業スキルアップ研究会でも扱っています。また、授業に関する内容は、『子供がなぜか話したくなる 算数ファシリテーション入門』(東洋館出版社)や『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)もぜひ参考にしてみてください。

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

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