2024.01.04
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初任の先生必見 算数の問題解決能力を高めるための3つのステップ

問題解決能力を高めるためには、問題を適切に理解し、必要な情報を利用して解を見つけることが重要です。今回は、算数が苦手な子どもを抱える先生のために、指導のポイントをお伝えします。

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児

1. 何が分かれば問題が解けるのかを確認する

問題を読む時に、キーワードや問題のポイントを見逃さないように指導します。子どもたちには、問題文の中から必要な情報を見つける練習をさせます。例えば、「3人で1個のケーキを分けると何個になるか?」という問題に対して、人数や物の数など問題解決に必要な情報を見逃さないように促します。

⑴よくない指導の例

子どもにただ答えを導き出すように促すことです。例えば、問題文を簡単にまとめて解答するように促すことで、子どもが問題の根本的な内容を見逃す可能性があります。

⑵よい指導の例

よい指導は、子どもが問題文全体を読み、問題が何を求めているのかを理解することに焦点を置きます。子どもに、問題の背景や条件を丁寧に読むように促し、必要な情報を取り出し、問題のポイントを把握することを教えます。
例えば、「1個30円のりんごを3個買いました。代金はいくらですか。」という問題では、りんごの個数と値段、代金に注目させ、全体の問題を理解する必要があります。問題を把握するためには、問題解決に必要な情報を見つけることが重要です。
そのためには、問題文全体を読み直し、「何が分かれば問題が解けるの?」と問いかけたり、問題解決に必要な数値などを○で囲ませたりするのもよいでしょう。

2. なぜその答えになるのかを確認する

子どもたちには、問題を解く前に「何を求めるのか」を確認することを重要視します。
例えば、「1個が50円のりんごがあります。5つ買うといくらになりますか。」という問題では、5つのりんごの合計金額を計算する必要があります。

⑴よくない指導の例

答えを求めることをよしとする指導があります。これは、単に問題文にある数を使って式を立て、解答を導くことや計算の答えを覚えてしまうことに焦点を当てているケースです。
例えば、「1は0.5の何倍ですか。」という問題があったとします。何を求めるのかを確認せず、答えが「2」であることを覚えさせる指導がこれに当たります。

⑵よい指導の例

何を求めるのかを確認することに焦点を当てます。子どもには、問題の意味や数学的な概念を探求することを促します。
例えば、「1は0.5の何倍ですか。」という問題に対して、式が1 ÷ 0.5=2になることに気付いたとします。「なぜ、その答えになるの?」と子どもに問いかけることで、子どもは計算の仕方を考えるようになります。
なぜその答えになるのかを確認することで、子どもが表面的な答えだけでなく、前に習ったことを使ったり、問題を簡単にしたりするように促していくことが重要です。

3. 本当に正しいのか確認する

解答を導いた後は、それが本当に正しいかどうかを確認し、説明できるよう指導します。子どもたちには、解答を言葉や数や式、図を使って説明する場面をつくります。そのためには例えば、「1500 ÷ 5 = 300」といった正確な答えを示します。

⑴よくない指導の例

ただ答えが正しいことを確認することにとどまるのはよくない指導です。答えが本当に正しいのかを確認しなかったり、解決の過程や手順を説明しなかったりして、単に答えだけに焦点を置かないようにしましょう。

⑵よい指導の例

答えを出すだけでなく、その答えが正しいかどうかを確認することの重要性を子どもに気付かせます。また、答えの妥当性を自ら確かめることや、答えを正確に説明することの重要性を示します。さらに、答えだけでなく、その解決過程や手順、解法を適切に表現して説明する方法も考えさせることも大切です。このような指導を通じて、子どもたちは自分の解答を疑問視し、その正確性を理解する力を身につけます。

今回のお話はいかがでしたか? 
この内容は、授業スキルアップ研究会でも扱っています。また、授業に関する内容は『子供がなぜか話したくなる 算数ファシリテーション入門』(東洋館出版社)や『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)もぜひ参考にしてみてください。

 

神保 勇児(じんぼ ゆうじ)

東京学芸大学附属大泉小学校 教諭


2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/

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