大小関係を問う
算数の文章問題を扱った授業では、最初に問題文を提示することが多いと思います。すぐに解法を思いつく子もいれば、そうでない子もいます。できれば、全員を同じスタートラインに立たせたいと思うのは、私だけではないと思います。そこで、今回は、「大小関係を問う」ことで問題解決へのきっかけをつくる方法を紹介します。
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭 神保 勇児
大小関係を問う
例えば、1年生の「求大」の問題です。大きい方を求める問題です。
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おにぎりをつくりました。
ひなたさんは 8こ つくりました。
だいちさんは ひなたさんより
4こ おおかったそうです。
だいちさんは なんこつくりましたか。
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ここでは、すぐに答えを求めようとせず、「ひなたさんのおにぎりとだいちさんのおにぎりはどちらが多いでしょうか?」と発問してみましょう。大小関係に注目させるわけです。
続けて、「ひなたさんだと思う人?だいちさんだと思う人?」と聞いてみると良いでしょう。大小関係を捉えられない子は「ひなたさん」と答えます。問題文の中の「8」と「4」を比べているのです。一見正しそうな感じがします。しかし、すぐに他の子供達が「違うよ」「だいちさんはひなたさんより4こ多いんだよ」と反応します。
- 「ひなたさんのおにぎりとだいちさんのおにぎりはどちらが多いでしょうか?」
- 「ひなたさんだと思う人?だいちさんだと思う人?」
と2つの発問をすることにより、子供達は2つの立場に分かれます。話し合う必要性が出てくるのです。
和と差の見積もりにつなげる
いきなり「和と差の見積もりにつなげる」というと、驚くかもしれません。ただ、「大小関係を問う」ことは、結果の見通しを立てたり、大きな誤りを防いだりすることにつながります。文章問題を読んで、形式的に計算させて答えを求めさせるのではないように配慮していきたいですね。
例えば、先ほどの問題です。
ひなた:8こ
だいち:ひなた(8こ)より4 こ多い。
つまり、「大小関係を問う」ことで「だいちは8こより多い」ということがわかれば、子供たちは結果の見通しを立てやすくなり、大きな間違いを防ぐことにつながるのです。
では、5年生「小数×小数」には以下のような問題があります。結果の見通しを立てやすくなり、大きな間違いを防ぐために、皆さんはどのように発問しますか?考えてみましょう。
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1Lの砂の重さを測ったら、1.8kgでした。
この砂0.3 Lの重さは何kgですか。
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今回のお話はいかがでしたか?この内容は、授業スキルアップ研究会でも扱っています。また、話し合いの進め方などについては『子どもがなぜか話したくなる 算数ファシリテーション入門』(東洋館出版社)や『学び合いコーディネートスキル60』(明治図書)をぜひ参考にしてみてください。
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神保 勇児(じんぼ ゆうじ)
東京学芸大学附属大泉小学校 教諭
2020年度はコロナウィルスでの休校期間でオンライン授業を多く行うことがありました。その時に得た、オンラインでも使える問題の見つけ方、子供の自力解決の見取り方、つぶやきの拾い方、発表検討のさせ方など紹介していきます。
「jimbochanのブログ」https://jimbochan.hatenablog.com/
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