2025.04.28
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対話を通して「公平」を学ぶアニメーション教材 ~国際パラリンピック委員会公認教材『I’mPOSSIBLE(アイムポッシブル)』日本版~

『I'mPOSSIBLE』日本版の待望のアニメーション教材第二弾「公平について考えてみよう!」が発表されました。この教材は、こども達が仲間との違いを尊重し、インクルーシブな考え方を身につけることを目的としています。 また、日常生活で「公平」を意識し、実際に行動できる力を育むことを目指して制作されました。総合的な学習(探究)の時間、道徳、学級活動など、幅広い授業で活用できる内容です。

新教材紹介

『I'mPOSSIBLE』日本版のアニメーション教材第二弾は、パラリンピックが重視する4つの価値(勇気、強い意志、公平、インスピレーション)のひとつ「公平」がテーマです。

小学生版、中学生・高校生版共に、導入からまとめまでアニメーション映像が授業を進行し、ルールや用具、サポートの仕方の工夫などを通じて、公平な競技環境がどのように作られているかを学びます。

グループワーク「考えよう」では、児童・生徒が画面をクリックすると段階的に出てくるヒントを参考に、ワークシートに考えを記入していきます。ヒントを徐々に出すことで、主体的な考察を促すとともに、協働的な学びを効果的に深める設計になっています。

生徒用ページ(左)と、教師用ページ(右)を右上のボタンで切り替えられます。

◆特徴

  1. アニメーション映像
    一方的に知識を提供するストーリーではなく、子どもたちが自分たちなりに多様な答えを考えられる内容
  2. サイトデザイン
    児童・生徒が自分たちで学び進められる操作デザイン
  3. 教師用ページ
    授業の流れとポイントが記載されており、授業の概要を一目で把握できる内容 「教師用指導案」、「児童・生徒用ワークシート」、「画像」がダウンロード可能
  4. +アルファ映像
    発展学習や宿題用に使える映像教材。パラリンピアンのインタビュー映像も含まれています。

◆実際に活用した教員の声

「これまでの授業の中で児童がここまで一生懸命真剣に考えて、全員が発言した授業はなかったかもしれません。」
「公平と平等の考え方について自身でも曖昧な部分があったのですが教材を通じて生徒とともに違いを理解することができました。指導案、ワークシート、アニメーション教材がそろっているので、準備時間がほとんど時間がかからなかったのもよかったです。」

小学生版内容

クラスのみんなが一緒にドッジボールを楽しむための工夫を考えながら、「公平」について学ぶ内容です。途中でICTを活用しながら、考えたりクラスで話し合ったりする時間が設けられています。

+アルファ映像では、車いすラグビーを題材に誰もが「公平」なスタートラインに立ち、力を発揮できるように、ルールや用具が工夫されていることを紹介します。倉橋香衣(くらはしかえ)選手(パリ2024パラリンピック金メダリスト)のインタビューを通じ、公平について考察をさらに深めることができます。

授業展開(計45分)

  1. 導入(2分)
  2. 初めの映像視聴(5分)
  3. 考えよう(10分)*ワークシート活用
    ヒント1を参考に考える、発表
  4. 続きの映像視聴(3分)
  5. 考えよう(15分)*ワークシート活用
    ヒント2を参考に考える、発表
  6. まとめの映像視聴(4分)
  7. 振り返り記入(6分)*ワークシート活用
イメージ写真
  • 映像視聴

  • グループワーク

  • 発表

  • 振り返り記入

中学生・高校生版内容

生徒が日常生活での「平等」と「公平」の違いを考え、問題解決に取り組む内容です。ファストフード店の利用場面を通じて、誰もが同じスタートラインに立つための工夫を考える活動を展開します。生徒は「技術・モノ・人」の視点から工夫を考え、グループで話し合いながら意見を深めます。

+アルファ映像には、パリ2024パラリンピック金メダリストのお二人、木村敬一(きむらけいいち)選手(パラ水泳)と倉橋香衣選手(車いすラグビー)が日常生活の中で「困ったな」「よかったな」と感じることや、生活の中の工夫について紹介するインタビューも含まれています。

授業展開(計50分)

  1. 導入(5分)
  2. 初めの映像視聴(10分)
  3. 考えよう(10分)*ワークシート活用
    ヒント1を参考に考える、発表
  4. 続きの映像視聴(3分)
  5. 考えよう(12分)*ワークシート活用
    ヒント2を参考に考える、発表
  6. まとめの映像視聴(5分)
  7. 振り返り記入(5分)*ワークシート活用
開発者コメント: 『I’mPOSSIBLE』日本版事務局プロジェクトリーダー マセソン美季より

『I’mPOSSIBLE』日本版の教材開発は、教育現場でのニーズに応える思いを込め、内容やアプローチを慎重に設計しています。心のバリアフリー教育や人権教育の中で「違い」や「障害」を教えることにためらいを持つ教員も一定数存在していることがわかり、その不安に寄り添いたいと考えました。

アニメーション映像で授業を進行しやすく、ICTを活用して対話を促す工夫を取り入れました。今後は、さらに多くの子どもたちにインクルーシブな社会の重要性を伝えるため、教材を進化させ、より多くの学びの場で活用できる教材を目指します。

ぜひ、一人でも多くの先生方にご活用いただいて、インクルーシブな社会づくりを一緒に加速させていきましょう。

『I’mPOSSIBLE』日本版とは

各ユニットの紹介(教材の選び方はこちら

『I’mPOSSIBLE』は、国際パラリンピック委員会(IPC)が開発した教育プログラムで約40か国で活用されています。世界中の子どもたちがパラスポーツを題材に、パラリンピックの価値や、インクルーシブな世界作りに必要な理念を理解できるよう制作されたものです。この国際版教材をもとに、日本の教育現場での活用のしやすさを考慮し開発されたのが『I'mPOSSIBLE』日本版です。 

東京2020パラリンピック大会後にはデザインや内容の一部を改訂したデジタル教材を、さらに2024年には初のアニメーション教材を発表しました。 誰も取り残さず、様々な違いのある人たちと一緒に楽しく活動するための考え方のヒントや、公平について考えさせる話題、人権感覚を育むきっかけなども含まれています。

小学生版(4年以上を想定:45分)と中学生・高校生版(50分)の2種類があります。それぞれに、座学11ユニット(授業)、実技5ユニット、合計14ユニット分の教材のセットを『I'mPOSSIBLE』日本版公式サイトより、無償でオンライン上でご利用いただけるようになっています。教材は単独でも、以下のように他のユニットと組み合わせても活用が可能です。

1.パラリンピアンとの交流を中心に
目的 実際のパラリンピアンとの交流を通じて、障がいへの理解や共感を深める
使用教材 座学 アニメーション教材「パラリンピアンが学校に来るとしたら」
講演会* パラリンピアン/パラアスリートによる講演
座学 アニメーション教材「公平について考えてみよう」
2.体験からの気づきを重視
目的 実際にパラスポーツを体験することで理解を深める。
使用教材 座学 スライド教材「パラリンピックってなんだろう」
実技 「ボッチャをやってみよう」
体験交流会* 特別支援学校との体験交流会
3.日常の遊びを題材に深めたい
目的 身近な遊びや運動を通して「公平」や「工夫」について考える。
使用教材 座学 アニメーション教材「公平について考えてみよう」
実技 「ゴールボールをやってみよう」
4.表現活動までつなげたい
目的 学びを形にして発信することで、理解を深め、社会に広げる。
使用教材 座学 スライド教材「東京2020パラリンピックのレガシーについて考えてみよう」
校外学習* 「町のバリアフリーを調べてみよう」
座学 アニメーション教材「公平について考えてみよう」
表現活動* 学習発表会用の「バリアフリーマップ」を制作
*教材提供はありません。

活用事例も公式サイトで随時更新中です。是非ご活用ください。

※初版教材は日本パラリンピック委員会(JPC)と日本財団パラスポーツサポートセンターが、べネッセこども基金の協力のもと共同で開発しました。現在はJPCが開発・普及を担っています。

【教材の名前の由来】 
I'mPOSSIBLEは、「Impossibleー不可能」という単語に「'」(アポストロフィ)を加えた造語で、「I'm possible―私はできる」という意味があります。「'」を加えただけで言葉の意味が変化したように、ほんの少し考え方や工夫をすることで、それまで無理だと思っていたことも、異なる結果に導けるというメッセージがあります。

文・画像:日本パラリンピック委員会『I’mPOSSIBLE』日本版事務局

※当記事のすべてのコンテンツ(文・画像等)の無断使用を禁じます。

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