トレーディングゲームで「働く」を考える 筑波大学附属坂戸高等学校
埼玉県坂戸市にある筑波大学附属坂戸高等学校にて、起業家マインド育成を目指した職業教育の授業が一日がかりで実施された。夏休みの最終日に学校に呼ばれた生徒たちは、「働くことはまだ先のこと。あまり興味はないかな。」(M.Sさん)「職業教育の授業はあまり好きじゃない。最後に結果を聞くのは面白いけど...」(K.Kさん)など、職業教育の授業については消極的なコメントが多かったのだが、次第にそのゲームの面白さに生徒たちは目を輝かせた。(取材日2004年8月31日)
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筑波大学附属坂戸高等学校は、経済産業省の平成16年度企業家教育促進事業の一環で、モデル自治体の指定を受けている学校である。他にも、文部科学省の研究開発学校の指定も受けており、職業教育に関する授業への取り組みが盛んである。 普段から、毎週2コマの職業教育の授業を受けている中学2年生の39名の生徒が公開会場に次々にやってきた。この手の特別授業は彼らにとって特にめずらしいものではなく、「うちの学校はこういうの結構多いよ。」とクールに答える生徒もいた。
・ 今日は何をやるのかな 授業の開始と同時に、まず生徒たちと(株)ウィル・シードのインストラクターの間に、いくつかの約束がされた。「失敗おめでとう!」「答えはひとつじゃない!」「得意を生かそう!」これら3つの約束は、まさにこのあと行われるゲームで活かしてほしい要素が込められている。インストラクターは「誰かが発言したら、拍手をしよう。」という提案をして、生徒たちに積極的な発言を勧めたのだった。
・ いよいよゲームの時間です まず始めに、「ゲーム終了の時点で一番お金を持っている国が優勝です。」と最終目標が伝えられた。このトレーディングゲームは、グループに分かれて国を運営し、国を豊かにしていくゲームだ。国によって条件は異なり、設定された資源や情報量など、その国の特徴を生かして商品を生産しながら資金を増やしていく、まさに起業家体験のできるゲームなのだ。
生徒たちの活動がようやく軌道に乗りだしたころ、「お知らせです!」というインストラクターの発表で、様々なアクシデントが起こり、生徒の思ったようにはなかなか進まない。アクシデントを回避する為には、他国の動向に目を向けたり、情報を集めたりすることが必要となる。情報収集の大切さを理解させることが狙いだ。
ゲーム終了後、ゲームの前には職業教育の授業はあまり好きじゃない、と言っていた生徒にもう一度話を聞いてみた。意外にもゲームの順位は気にならないという。「一生懸命やったし、順位は別にいい。躊躇していないで、もっと行動すればよかった。」(K.Kさん)とても前向きな言葉が返ってきた。他にも、「封筒をあけるときは緊張した。もっと、的を絞って製品を作ればよかった。」(M.Oさん)といったような、ゲーム中を振り返って反省点を明確につかめた生徒が多かった。 (取材・編集:須藤 綾子)
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