2023.09.27
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新刊『対話型鑑賞のこれまでとこれから』

1980年代後半、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された対話型の美術鑑賞法(VTC)は、その後派生したVisual Thinking Strategies(VTS)をふくめ、日本では「対話型鑑賞」として徐々に広まりました。近年、この鑑賞法は美術鑑賞のみならず教育現場や医療、サイエンスの分野でも評価され、さらにビジネス界にも普及しつつあります。本書は各分野の専門家が対話型鑑賞の現状を把握し、問題や課題を浮き彫りにした上で、対話型鑑賞の可能性を見つめ直す一冊です。
※2022年夏に開催されたフォーラム「対話型鑑賞のこれまでとこれから」をもとに書籍化

美術・教育界の領域を超えた熱い議論を書籍化

著者より

京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター(ACC)が主催し、2022年8月に開催した「VTC/VTS日本上陸30周年記念フォーラム 対話型鑑賞のこれまでとこれから」の記録をもとに書籍化した『ここからどう進む?対話型鑑賞のこれまでとこれから アート・コミュニケーションの可能性』を出版いたしました。 

MoMAで開発されたVisual Thinking Curriculum(VTC)が日本に上陸して30年が過ぎ、日本でVTCは「対話型鑑賞」という名称で、美術館・博物館や学校教育現場に徐々に普及していきました。いまでは「対話型鑑賞」をネット検索すれば100万件もヒットすることからも分かるように、現在は美術・教育界にとどまらず、科学、医療、ビジネス界でも用いられるようになっています。

その普及と共に、さまざまな可能性と課題点も議論してくことが必要であるという目的から開催されたフォーラムでは、領域を超えて対話型鑑賞に取り組む実践者が一堂に会し、その歴史と展望、未来に向けて課題が熱く議論されました。

本書では、フォーラム当時の発表・議論を記録した章と、登壇者とモデレーター達により対話型鑑賞の可能性や今後「これから」について議論を重ねた一冊となりました。初めての方はもちろん、フォーラムにご参加いただいた皆様にも読み応えのあるものとなっていますので、ぜひお手にとっていただければと思います。

目次

はじめに
一章 対話型鑑賞の黎明期:アメリカ→ドイツ→日本
二章 美術館と対話型鑑賞
三章 学校教育と対話型鑑賞
四章 科学/医療と対話型鑑賞
五章 ビジネスパーソンと対話型鑑賞
六章 対話型鑑賞の功罪:美的知覚の観点から 
七章 対話型鑑賞ファシリテーターの育成と課題
八章 対話型鑑賞の今後 
おわりに

【著者紹介】

監修 京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター  

人が人との間で生きていくために最も重要な要素であるコミュニケーションのあり方・育て方について美術教育の現場から問い直すことを趣旨とし、アートの可能性を多角的に探る研究活動を担う機関として2009年4月に設立。 ニューヨーク近代美術館で開発された鑑賞教育プログラム「VTC(Visual Thinking Curriculum)」を源流に、京都芸術大学が2004年度から展開する対話型鑑賞教育プログラム「ACOP/エイコップ(Art Communication Project)」を応用して、美術の分野からコミュニケーションの問題と「生きる力」の向上にアプローチしている。 ACOPの実践展開に加え、対話型鑑賞のファシリテーターの育成、各領域の実践者の交流や情報交換、技術研鑽のコミュニティの運営を行い、アート・コミュニケーションのハブも担っている。また、全国の美術館や他大学との共同研究、芸術祭・アートプロジェクトなどと連携した地方創生やコミュニティ創出、社会的包摂への取り組みや、ACOPを応用した医療・福祉など対人援助者の研修、2012年度からは企業と提携した社内研修やビジネスパーソンに向けた人材育成の取り組みも展開しており、年々その活動の領域を広げている。

新刊『対話型鑑賞のこれまでとこれから』

監修:京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター
編:福のり子・北野 諒・平野智紀
発行:淡交社
価格:2,750円(税込)
仕様:A5判 240頁

文・画像提供:淡交社

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