2008.03.21
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胃潰瘍かな? 楽観主義者

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

情けないことですが、お酒の飲み過ぎが主な原因で、ここ1週間ずうっと胃の調子が優れません。自業自得とお叱りを受けても仕方がないでしょう。とは言うものの本当に毎日が苦しいのです。朝から1日中、胃のあたりが凭(もた)れています。先週の水曜日から胃液が戻ってくるような状態が続いています。目に見えないので素人判断の域を出ないのですが、胃潰瘍でないかと心配しています。

しかし、心配しているだけであって、具体的に医者へ足を運ぶとか、何か常備薬などを服用しているわけではありません。胃カメラを飲んで検査を受ける勇気と時間がないのです。バリウムでも飲んでX線撮影で診断してもらうこともしようとしていません。なにか異常である状態を自分なりに把握・自覚しているのですが、それに対する対処や処方を行動に移そうとしていないのです。自己責任で仕方がないですね。症状は違うかもしれないでしょうが、私だけでなく、似たような状況におかれている方は、世の中でも本当は多いのではないでしょうか。

どうして上のようにしないのかというと、忙しいからである。「休み」を取って、通院すればいいのにと読者の方は、不思議に思われることでしょう。でも「休み」がとれる状況にないのです。本当に忙しいのです。休みがとれないのです。忙しいという字は、誰か言われました。「心が亡くなる」と書くことができる。言い換えれば、気ぜわしいのです。

さて、心とは、どんな心でしょうか。「ゆとり」「落ち着いて考えることができる余裕」とでも考えることが可能ではないでしょうか。皆さんは、別の「こころ」を頭に浮かべることができますか。今現在も胃のあたりがチクチクしています。多分この原稿が進まないことも原因の一つなのかもしれません。こんな体験は、生まれて初めてです。ふ~。

提出物について似たような状況が生じるような気がしています。
提出物を出さなくてはいけないと分かっていながら、そのことに対しての対策がとれない生徒が増えてきています。生徒の立場からすると、胃が痛い思いをしているのかもしれません。そんな思いになっていない場合の方が多いかもしれません。

もしかすると、提出物に対する意識が、私たち教師の思いと生徒とずれが大きくなっているのかもしれません。なかなか「提出物」が出なくて、教科担当者は気をもんでいます。というか、腹を立てたりします。この時期になると成績と連動するのでなおさらです。ところが生徒の方は全く気に止めていないようです。なかには少しは心配しているのでしょうが、しかし提出できるように実際に行動に移すことはせず、気にしているだけで、時間だけが徒(いたづら)に過ぎているようです。残念なことに、全く心配すらしない生徒もおります。

私のクラスには非常に雑多な生徒が存在しています。心配しない生徒が多くて困っています。担任や教科担当は何とか提出物を促そうと躍起になっています。でも、馬を川岸に連れて行くことができても、水を飲ませることができないような生徒らに、もどかしく感じて、私は別の意味で胃が痛い思いに追い込まれるのです。適当に出しても出さなくてもと考えている者と、必ず出さないといけないと考えている者等が混在しているのです。前者には頭を悩まされつづけています。

悪気はないのですが、忘れっぽい性格の生徒もいます。この生徒に対しては、「ルーズ」だと決めつけることはどうでしょうか。忘れっぽくしない対策を教えてやらないで「提出しなさい」と声を張り上げるだけでは能がありません。私の場合は、黒板に名前を書いて、四六時中自分の名前を目にできるようにしています。さらに個別に提出物の紙を配布しています。最近は、全体に対して話したことには聞く耳を持たない傾向が強くなってきたからです。

次に個々人に前日の夜、携帯にかけて確認していきます。または保護者の方に連絡をします。最近困っているのは、保護者に連絡しても、子供に伝わらないことが増えてきました。また、保護者に連絡を取ろうとしても、つながらない場合もよくあります。「出しなさい」と言っても、煙たがられるだけでは、生徒との人間関係が崩れるだけです。提出物のことを聞いただけで〈やる気〉が失せてしまっては、私の本意ではありません。声高に叫んでもほとんど効果が期待できません。できれば生徒一人ひとりと、話をして、やんわりと「提出物」への意識を高めたいものです。「提出物」を出すことで、「よく出せたね」と褒め、本人の次の学習へのステップにつなげたいものです。「提出物」から、楽観的にものを見つめることを生徒から教えていただき感謝しています。

なんとなく、今胃が心持ち軽くなったような気がします。皆さんもお体をお大事にしてください。

岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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