2007.09.07
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やる気

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

私が興味関心を持っている「やる気」という言葉を入力して検索してみました。Niftyでは約532000件、googleでは約16,900,000件、yahooでは約29,200,000件が検索されました。「やる気」という1語だけの検索であり、検索の方法としてはあまり良い方法ではないかもしれません。非常に数が大きいので全部を眺めることは不可能です。それぞれの20番までの表題を眺めてみました。
その中で「やる気ってなんだ」
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0706/18/news100.html)というタイトルに惹かれアクセスしてみました。
この中で平本相武(ひらもと あきお)氏が、平本メソッドの観点からコミュニケーションに誤解があるからだと、次のような例を紹介しています。

――例えば「あいつ遊んでる」という言葉を聞いて、どんな風にイメージしますか? ある人は「仕事をしないでどこかでサボっている」とイメージし、またある人は「夜、飲みに行っているような人」をイメージするかもしれません。「女の人と遊んでばかりいる」ようなイメージを持つ人もいれば、“あいつ”という言葉を子供としてとらえ「滑り台で遊んでいる」ようなことをイメージする人もいるでしょう。つまり“遊んでる”という表現1つを取っても、その人が何をもってそう言っているかはそれぞれ違うのです。――「良いコミュニケーションを取るために:第1回 “やる気”って一体なんだ?」より

ここで平本氏は「やる気」の前に、「誤解」が当事者の間で生じているのではないかと言っています。では「誤解」が生じないようにするための対処法としてはどうしたらいいのか、次のように彼は話を展開しています。

――コミュニケーションの誤解を減らすためには、聞き手が話し手に好奇心を持つことです。「やる気を出せ」と言われたら、自分の“やる気”の体験を振り返る前に、「やる気とおっしゃいましたけれど、具体的に私のどういうところにやる気が足りないですか?」とか「どのへんをもう少し改善すれば、やる気があるといえますか?」と聞いてください。――「良いコミュニケーションを取るために:第1回 “やる気”って一体なんだ?」より

私は最近、目の前の生徒らに「やる気」がないと感じ、なんとか「やる気」を出させたいと思っていましたが、実は、双方の「コミュニケーション不足」が大きな原因ではないのかと気づきました。

では「やる気」はどうしたらなくなるのでしょうか。それは、生徒への興味関心を持たないことによるのではないだろうか。そもそも、私が抱いている「やる気」が生徒らのと乖離しているのではないだろうか? 

「やる気」に対するイメージや意味あいが、私と生徒らとでは大きく離れてきているのは事実ではないかと反省させられました。では、そのギャップを埋めるために、生徒らと単純ではありますが、できるだけ話をしていかなければなりません。堅苦しいことを考えず、ちょっとした一言でも良いでしょう。朝夕の挨拶や休み時間の何気ない声かけから、開始できるものだと思います。

私達教師は、クラスや教科担当の生徒らに、平生から温かい眼差しと「あなた達のことを気に留めていますよ」「関心・好奇心がありますよ」「しっかり認めていますよ」というメッセージを送り続けてきたつもりです。が、改めて「やる気を起こす」という視点から、今まで無意識に積み重ねてきた営みを、大切にしなければと考えさせられました。

「やる気」の醸成って、やはり人と人とのコミュニケーションの正否と関係があるのですね。私は、上の事に加えて《誉める》という調味料が隠し味になるのではないかと勝手に考えています。

岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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