2007.06.15
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楽しみな新規ALTと別れを大事にしたいALT

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

現在私の学校には、2人のALT(Assistant Language Teacher 英語指導助手)が配置されている。その一人であるイギリス人のALT、Paul先生は契約の更新をせず、7月下旬に帰国することになった。2年間Paul先生には、授業だけでなく本校での諸活動への積極的な参加や放課後の生徒への英語関係の援助等に、非常にお世話になった。またこれらを認めていただいた配属校のN高校には非常に感謝いたします。

先日、配置校から新規契約のALTが決まったと連絡があった。Paul先生の代わりは、今度はアメリカのボストンから来られる方である。前任校の語学研修で、ボストンへ生徒を引率した経験があるので、ボストン出身の方に少なからず期待と親しみを、富山へ来られる前から持っている。早くお会いできるのが待ち遠しいのである。

その資料によると、男性で、彼は、大学での専攻が音楽で、副専攻がアジア研究とコンピュータ工学であると記されている。アジア研究をしているので、日本とは限らないだろうが、親日派であることを楽しみにしている。またコンピュータ機器の使用にも秀でて、パワーポイントを始め音声や映像をいろいろと駆使して、生徒が楽しくなる英語教材の開発等で私を支えていただき、頼りにしたいと考えている。

一般的にALTの方は、大学卒業したての22~3才前後の青年が多い。ほんの数年前までは、彼らとの年齢差を感じていなかった(と思う)。最近は、新規ALTの2倍程度の年になってきて、彼らとの世代のギャップを感じ始めている(少々悲しい)。少しずつ話題や趣味・興味が噛みあわなくなってきているように思う。

何よりも、以前は同じ目線で話せたような気がするが、最近は、彼らから相当年配に見られているようだ。さらに彼らには、いい年をした日本人の英語の教師が、ジャパニーズイングリッシュにもほど遠い、英語もどきで指導していることに目を丸くしているのかもしれない。だんだん彼らの会話に会わせるのに億劫になってきている自分が見え隠れしている。

私たち日本人の英語科教師にとって見ると、ややもするとマンネリ化してきた感もある新規ALTの受け入れは、当のALTにとってみると、人生で一番初めの想い出が、ここ富山空港での出会いの瞬間である。大小様々な意匠を凝らしたプラカードを手にして、受け入れ高校や受け入れ担当者が空港ロビーへの出口で待っている。私たちは、この一瞬を大事にしたいと思う。彼らの日本での第一印象がこの瞬間、この日に決まると言っても過言でないだろう。

3年間日本に滞在されたALTが、新規のALTを迎えるときに、次のようにメッセージを残してくれたのをずっと覚えている。「彼ら、彼女ら(新規ALT)は、最初は赤ん坊のように扱ってあげてほしい。そして少しずつ日本での生活に慣れ自立できるようにサポートしてあげてほしい。外見は大人ではある。しかし、大学を出たてのものが大方で、社会人としては、ヒヨコ同然の状態で、それも異国にやってくるが、日本の事情に疎いのが普通である。しかし、そのチャレンジ精神や意欲が旺盛であるところを、潰さないで上手に大事に育ててやってほしい」

私たち英語科教師は、教師の目の前にいる生徒等に加えて、新規に日本に英語指導助手として、責務とやりがいを持ってやってくる新規ALTも上手に育てていくことを期待されている。生徒と違うところは、ある程度、大人であるので、生徒を育てるのとは若干異なると、意識改革をしなければいけないことである。

また、今年で日本をさるALTとの別れも、大事にしたいと思う。最後の週か最後の月はお別れ会または、お別れのメッセージを授業で生徒にALTの授業以外で書かせるようにしている。なかなか思い通りの日本語を英語に直せないのであるが、却って生徒らの純粋な気持ちが、拙いながらも表現されている。

「終わりよければ、全てよし」という言葉もある。帰国するALTの見送りなど、極力日時を教えてもらって、気持ちよく日本を離れてもらうように、私は心がけている。これも日本人として一つの礼儀ではなかろうか。一人寂しく誰も見送りのない状態で、空港の出発ロビーで時間を過ごす姿は想像したくないのである。

実は蛇足であるが、帰国してからもメールのやりとりを続けている。誕生日に自動的にbirthdayカードが配信されるものを利用している。興味ある方は、下記のアドレスにアクセスして活用されてはいかがでしょうか。有料のカード、無料カードもあります。
参考:http://www.birthdayalarm.com/eCard/165184175a2b476277173c26127968
出会いにしても、別れにしても「一期一会」の気持ちを自分なりに大事にしたいものです。

岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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