2007.04.05
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新しい特別支援教育の時代を迎えて

東京都立港特別支援学校 教諭 川上 康則

はじめまして。川上康則と申します。

特別支援教育の元年とも言われる平成19年度が始まりました。新しい特別支援教育の時代を迎えて、この教育は大きく変わることを期待されています。

養護学校が「特別支援学校」と呼ばれるようになったのはご存じでしょうか。また、地域に住む障害のある子どもたちの教育に関して相談を受けたり、支援したりするような「センター的な機能」を発揮することが法的に位置づけられたのを、どれくらいの方がご存じでしょうか。私たちの職域は校内に限定されたものではなくなり、地域で活用される教育支援のリソースになったと言えます。

昨年度、私は、特別支援教育コーディネーターとして、地域の小・中学校、保育園、児童館、場合によっては保護者の方からの要請を受け、巡回相談や支援を行ってきました。

支援の対象は、障害名がつく子ばかりではありません。従来までは「手のかかる子」、「困った子」、「わがままな子」、「しつけのできていない子」といった問題視されてきた子どもたちが、実は、行動や学習において支援を必要とする子たちかもしれないということに気づいた先生方が、近年の発達障害の概念の拡がりとともに次第に増えてきたのです。特別支援教育では、そうした子どもたちも支援の対象としています。

その一方で、まだまだ誤解されることも多いのが現状です。「支援が必要かもしれない」という見方で見てもらえるようになった子はまだよいほうかもしれません。「やる気がない」、「努力が足りない」といった負の評価が固定化してしまっている子も多く、この場合には、その子だけでなく、担当する先生、ときには学校全体や家庭も含めた包括的な支援が必要になります。

今回、「学びの場.com」より、貴重な情報発信の場をいただきました。これまでの経験を踏まえながら、①子どもの行動の読みとり方、②具体的な支援の実践事例、③その他、特別支援教育に関することなどをお伝えしたいと思っています。そして、少しでも多くの方々に、特別支援教育で扱われている内容が日常の教育技術や学級経営を支える「便利なツール」であることを知っていただければ幸甚に存じます。

どうぞよろしくお願いいたします。

川上 康則(かわかみ やすのり)

東京都立港特別支援学校 教諭
障害のある子どもたちの指導に携わる一方、特別支援教育コーディネーターとして小中学校を支援してきました。教育技術の一つとしての「特別支援教育」を考えていきます。

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