2016.07.15
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

小学生から政治に関する教育をしていく必要性

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

先日は、参議院議員選挙が行われました。

私も勿論、投票に行きました。

しかし、私が選挙に行った時、周りには若者は一人もいませんでした。

今回の選挙から18歳に投票年齢が下がりました。
結果は皆さんもご存知の通りです。
私が着目したいのは、投票率です。
特に今回、投票できるようになった18歳、19歳を含めた若者の投票率です。
現時点では、年代別の投票率は出てきていませんが、低調なことが予想されます。
今回の選挙に向けて、高校では様々な取り組みが行われてきていたようです。
また、 マスコミや総務省も色々と若者にアピールするようなことをしていたようです。
しかし、それらの取り組みが効果を発揮していたとは言えないようです。

 

こういった状況を見ていて感じることは、政治に関する教育を行うには、高校生では遅いのではないかということです。

小学校からしっかりと政治に関する教育をしていく必要があるのだと思います。

小学生は、ある意味で「素直」な面があります。

「三つ子の魂、百まで」ではありませんが、小さな時に身に付けたものは、その人の生涯に影響を与える可能性があります。

小学生でも政治に関して学ぶ内容が規定されています。

6年生の社会の中に政治の内容が含まれています。

通常、3学期から行われることが多いです。

6年生を何度も経験した立場から言えることは、どうしても政治に関する内容にかける時間が少なくなってしまうということです。

子ども達は6年生になってから始まる「歴史」に非常に興味を持ちます。

時代劇や大河ドラマなど、テレビでも歴史に関する番組が多数放映されています。

そういった影響を受け、どうしても社会の授業において歴史に比重を掛けてしまうということがあります。

そして、3学期には、卒業に向けての様々な行事などがあります。

文集を書いたり、卒業式に向けての練習を始めたり、その他、多くの行事などがあります。

そういった中で、どうしても十分に社会、特に政治に関する分野に十分な時間を掛けて取り組めないという状況があります。

 

また、近年、「教育の中立性」についても問われています。

ある新聞では、「子ども達を戦場に送るな」というスローガンが「教育の中立性を侵している」のだという記事が書かれていました。

こういった記事が出るだけで、学校の先生たちは政治に関する話題をしなくなってしまいます。

元々、学校の先生になる人達は保守的で、真面目な人が多く、こういったことが話題になるだけで、戦争や政治に関する話題に触れないようになることがあります。

私は、小学校において、「子どもの時に友達と喧嘩をしている人は、将来、大人になった時、下手をしたら戦争をすることに関わってしまうかもしれない」と言っています。

 

ところで、今回の選挙における投票率は約50%です。

選挙権のある人の半分しかその権利を行使していないことになります。

この50%という数字は、普通の生活ではありえないことだと思います。

小学校のクラスにおいて全児童30人の内、15人が欠席の状態で大事な決め事をすることは絶対にありません。

しかし、今の政治の仕組み、選挙の仕組みは、権利のある人の内、約半分が参加しない状態で大事な物事が決まっていっています。

関係する省庁なども、投票率を上げることに必死であるとは思えません。

給食を食べながらクラスの子どもと話していたのですが、子どもであっても投票率を上げる工夫をすぐに思いつきます。

例えば、「選挙に行かなかった人に罰金を払わせる」、逆に「選挙に行った人にクーポンなどを配る」などです。

他にも「投票できる場所を増やす」などです。

調べた所、海外の国によっては、こういったことが実際に行われているようです。

 

私が政治や選挙などの話をする時に必ず子ども達に伝えている言葉があります。

「政治は暮らしである」

政治に関心を持たない人が増えると、徐々にそういった人々の暮らしの質が低くなっていく可能性が高まります。

政治家はどうしても選挙に勝つということを考えると投票に行く人に喜ばれる政策を実施していく傾向があります。

若い人は、今後、まだまだ長く生きていきます。

しっかりと自分の将来を見据え、より良い世の中になるための一票を大事にして欲しいと思います。

 

今後の世の中がより良いものになって欲しいと改めて思った今回の選挙でした。

 

 

政治 一万円地球500

テロ学校教育

 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop