2016.01.06
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2016年の日本の教育において大事なこと

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

新年あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

今年が皆さんにとって良き年であることを願っております。

 

2016年の年始に当たって、昨年を振り返り、改めて今の教育に必要なことは何なのかということを考えていきたいと思います。

 

2015年は、日本において、そして、世界において非常に大きな意味のある一年だったと思います。

数十年、そして100年経ってから見た時、歴史的に大きな意味のある一年であったとなるかもしれません。

この一年では、それまで常識と思われてきたことがそうではないということに気づかされることがいくつもありました。

日本を含めた世界中の人々の不安が増した一年であったようにも感じます。

 

一年をふり返るキーワードとしては「平和」「格差」「原発」「政治参加」「環境」です。

 

「平和」については、日本を含め、先進国と言われる国々では、それぞれ悩みが多い一年でした。

ISを中心としたテロ活動は、これまで行われてきた戦争とは、そのスタイルが違っていました。

人々の日常の暮らしの中にまで不安が入り込んで来ている印象を受けます。

日本では、安保法案が可決され、様々な形でアメリカと近い形で活動をしていくようです。

日本でのテロの可能性が高まったと感じます。

 

「格差」については、新聞や雑誌などのメディアで盛んに取り上げられていました。

日本においては、「貧困老人」「一億総貧困社会」「貧困の連鎖」「非正規雇用の不安定さ」などが話題になっていました。

世界においては、「難民」の問題などが取り上げられていました。

 

「原発」については、2011年3月の東日本大震災からもうすぐ5年が経とうとしているのに、問題は山積みです。

福島第一原発の廃炉などに関しても、順調とは思えません。

近隣地域の除染なども難しい状況です。

除染で出た放射性廃棄物が大雨の際に流出するなどのトラブルも発生しています。

そんな状況の中、日本各地の原発の再稼働が始まっています。

再稼働を始めた川内原発では、事前審査において最重要事項とされていた「免震重要棟(東日本大震災の時に対策本部が置かれたもの)」について、新設を撤回するという報道がされていました。

高浜原発は、京都や大阪などから100㎞も離れていません。

本当に不安でなりません。

 

「政治参加」については、選挙年齢の引き下げが大きな出来事でした。

選挙権が18歳に引き下げられたことによる大きな変化が起ころうとしています。

高校を中心とした学校現場での変化も明るい兆しですが、SEALDsによる若者が自分たちの意見を外に向けて発信したことは今後に向けて大きな希望となるものでした。

 

「環境」については、パリでCOP21が行われました。

京都議定書以来の国際的な枠組みを決める話し合いでした。

難しい話し合いの末、何とかまとめまでたどり着いていました。

中国におけるPM2.5の問題では、日本も他人事ではありません。

また、スーパーエルニーニョと呼ばれる現象の影響は世界各国に及んでいます。

勿論、日本でも局地的な大雨や気温の上昇などの影響が出ています。

これらは、一国で解決するものではありません。

国境という境を超えた立場での話し合いが必要だということを改めて感じさせられました。

 

 

これまで書いてきたように、様々な難しい問題がある現在、日本では何をしていったら良いのでしょう。

そこで非常に大切になってくるものが「教育」だと思います。

上で書いた5つの問題「平和」「格差」「原発」「政治参加」「環境」の全てを解決に導く可能性があります。

 

これまで話題にしてきたものは「答えが一つではない」問題であると言えます。

言い換えると「立場によって答えが違う」ということです。

現在のシリアやイラクにおけるISの問題を含めた国際間の紛争は、互いの価値観をぶつけあっているものと捉えることができます。

具体的には「グローバルスタンダード」という経済優先主義が世界の至る所で問題を発生させていると言えます。

その「グローバルスタンダード」と言われるものは「アメリカンスタンダード」とも言い換えることができます。

冷戦後、唯一の超大国とされるアメリカの価値観を世界に広げようとする際に、文化的、宗教的、民族的、歴史的に受け入れがたいというある種の抵抗のようなものが、現在のテロなどの形で表れているとされています。

暴力が暴力を呼び、世界は出口の見えにくい争いを続けています。

 

そういった状況の中、教育において「平和の尊さ」「他の人のことを思うこと(利己的にならない)」「話し合いの大切さ」などを伝えていく必要があります。

学校の現場においては、子ども達に、問題への解決の方法を学ばせていきます。

子どもの「喧嘩」や「いじめ」は、その構図がそのまま「戦争」や「格差」に当てはまります。

喧嘩などへの対応は、小さな頃から人との関わり方を学ぶ大切な機会となります。

様々な意味でのコミュニケーションのスキルをアップさせていくことが望まれます。

日本や世界で起こっている様々な問題は、きちんと「話し合う」ことで解決に向かうことができると考えます。

どこかの時点で、誰かが、その話し合いを壊すようなことが起こることで、「戦争」「格差」「地球温暖化」「原発の問題」などがまとまらなくなり、場合によっては、大きな混乱が生じてしまいます。

その最たるものが、第二次世界大戦におけるドイツのヒットラーでしょう。

不幸な出来事です。

 

現在の日本、そして世界における様々な問題は一気に解決するとは思えません。

冗談になりますが、それこそ、宇宙人がUFOに乗って地球に攻めて来て、地球に住む人が一致団結しなければならないような状況にでもならなければ、一気に解決、団結するということはないでしょう。

そういった非現実的なことではなく、現実的なことでは、やはり地道に教育現場における教師、家庭における親などが、子どもをしっかりと育てていくということなのだと思います。

特に大事になることが、広い意味でのコミュニケーションの技術でしょう。

日本においては、具体的な手段としての「英語」も重要になってくるでしょう。

 

子どもに関わる全ての人が、しっかりと未来を見据え、そして目の前の子どもを見つめ、日々、活動していくことが大事でしょう。

それらが積み重なっていった時、状況が少しずつ、好転していくのだと思います。

 

 

この一年が日本にとって、世界にとって幸せを感じることのできる年となることを心から願います。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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