2015.05.08
  • twitter
  • facebook
  • google+
  • はてなブックマーク
  • 印刷

運動会に向けて

東京都立南花畑特別支援学校 主任教諭・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(standard) 綿引 清勝

  5月になりました。私が子どもの頃は秋に運動会を実施する学校が多かったと思いますが、最近は春に実施する学校が増えてきたと感じます。私の学校も5月末の予定になっていますが、少しずつ単元が始まり慌ただしくなってきました。

 さて、今回は、この運動会に思うところを書かせていただきます。

 

グラウンドは学校の顔

 様々な授業を見ると、グラウンドのラインにはその先生のスタンスが現れると感じます。当然ですが、ラインが歪んでいるトラックよりは、きれいに整備されているトラックの方が気持ちが良いだけでなく、動線や目印なども明確になっているとその分学習効果も高まります。

 そして、グラウンドは学校の顔でもあるので、ラインはいわばお化粧のようなところがあると思います。できる限りきれいにして、子どもたちを向かい入れたいものです。

 

 グラウンドをきれいに整えるポイントとしては、

(1) 石を拾う

 最近は人工芝のグラウンドも増えてきましたが、土のグラウンドの場合必須です。石以外の物が落ちていて驚くこともありますので、グラウンドのコンディションを観察する良い機会でもあります。

 自分たちでグラウンドを整えることは、子どもたちにとっても学習の動機づけとして大切にしたいところです。

 

(2) カラーの石灰を活用する

 学年の演技や種目など、全体として共通で使用する白の石灰以外に赤、青、黄などのカラー石灰を活用することで、それぞれの線が明確になり、より分かりやすくなります。

 事前に、学年や種目によって何色を使用するかを決めておくと効果的です。

 

(3) ポイントを打ち込む

 整列や隊形移動等には、マーカーを置いて目印にすることがありますが、マーカーによっては踏んで位置がずれたり、転倒したりする危険性や演技そのものに目立ってしまうこともあるので、そのような場合には釘にスズランテープを巻き付け、グラウンドに打ち込んでおくようにしました。

 全校生徒の演技の時にも、先頭の基準として80㎝間隔に打ち込んで置くことで、集合や整列、隊形移動などもとてもスムーズになりました。

 

(4) 三平方の定理を活用する

 トラックをつくるときには、前後のストレートとカーブをXメートルとしますが、徒競走などの直線を引く場合、三平方の定理が役立ちます。

 必要な物は、12㎡以上のメジャーで3m、4m、5mの間隔で三角形をつくれば、きれいな直角が取れます。仮にメジャーがなくても、3㎡、4m、5mのところに目印を付けた紐があれば簡単にできることなので、事前に用意しておくのも良いかもしれません。

 

体育科のこだわり

 運動会の時期になると、体育科の先生が行事の中心になっていくことが多いかと思います、実際、私も体育が専門なのでリーダシップが求められる場面が増えますが、そこで体育科の先生がこだわり過ぎるのもなかなか難しいことがあります。

 より良い授業をつくっていくことにこだわる分に良いと思いますが、古いやり方にこだわってしまうと、結果として子どもたちにはマイナスになることがあるのではないでしょうか。

 例えば、かなりの学校でなくなってきましたが、いまだに雷管を使っている学校があります。仮に、耳を塞いで嫌がっている子どもがいる状況において、そこで雷管を使う意義はどこになるのか疑問を感じます。

 雷管がいけないというのではなく、「嫌がっている子どもがいるのに使用すると」いうことが問題なのです。

 「これまでは雷管を使ってきたから」、「運動会はピストルを使うべきだから」、「ピストルの方が盛り上がるから」といった理由を聞いたことがありますが、残念ながらこれらの理由には全く子どもへの配慮が感じられません。

 確かに、私たちは経験から学ぶことも多くありますが、自分の経験にこだわってしまうと、このようなこだわりが前面に出てしまい、結果として大切なことを見落としてしまう危険性があるように感じます。

 

 「将来、陸上大会に出場するかもしれないから、今のうちにピストルに慣れさせる」

 

 そんな話を聞いたこともありますが、そこまでしてピストルを我慢しながら陸上大会に出ることを目指すなら、違う種目に切り替えても良いのではないかと思います。

 

 教師が思いをもつことは大切です。

 一方で、主語が子どもから教師になってしまった時に、指導のポイントがズレてしまうことに注意をしつつ、子どもたちの思い出に残る運動会にしていきたいものです。

 

 一人一人の活躍場が見てわかるように、課題設定と見せ方を工夫していくことが大切ですね。

 

 確かに私も体育に関しては他の教科よりも強い思い入れがありますが、こだわりにこだわらず、子どもが第一で考えていきたいと思います。

 

 余談ですが、私の学校では雷管は使わず、スタートの合図はホイッスルを使用しています。BGMなど様々な音が混ざって聴覚過敏の子どもにはつらい状況があることを理解し、少しでも負担を減らし、競技に集中できる環境を整えていけると良いですね。 

綿引 清勝(わたひき きよかつ)

東京都立南花畑特別支援学校 主任教諭・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(standard)
東京都内の知的障害特別支援学校で中学部、高等部を経験後、現在は小学部の自閉症学級を担任。自身の実践を振り返りながら、子ども達が必要としている支援とは何かを考えていきたいと思います。

同じテーマの執筆者
  • 吉田 博子

    東京都立白鷺特別支援学校 中学部 教諭・自閉症スペクトラム支援士・早稲田大学大学院 教育学研究科 修士課程2年

  • 岩本 昌明

    富山県立富山視覚総合支援学校 教諭

  • 郡司 竜平

    北海道札幌養護学校 教諭

  • 増田 謙太郎

    東京学芸大学教職大学院 准教授

  • 植竹 安彦

    東京都立城北特別支援学校 教諭・臨床発達心理士

  • 渡部 起史

    福島県立あぶくま養護学校 教諭

  • 川上 康則

    東京都立港特別支援学校 教諭

  • 中川 宣子

    京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop