2015.04.06
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新年度が始まる際に学級担任が意識すると良い事

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

埼玉県深谷市立桜ヶ丘小学校の鈴木邦明と申します。

どうぞよろしくお願いします。

 

新年度が始まった時期なので、今回は「学級始め」を話題にしたいと思います。

この時期に学級担任が取り組むべきこととして「黄金の三日間」などの実践があります。

私があれこれ述べるよりも、立派な先人達の英知を頼ってください。

「黄金の三日間」「新年度 担任」などと検索をすれば、様々な実践を見つけることができます。

是非色々と調べて、自分に合うやり方を見つけてください。

 

私は「黄金の三日間」などとは少し違った視点を話題にしたいと思います。

先に挙げた「黄金の三日間」などの実践は、年度はじめの数日間に一年間の学級のルールを整え、スムーズな学校生活を送れるようにするためのものです。

そのこと自体は、大切なことですし、必要なことだと思います。

しかし、そこには、「どんな子どもなのか」という視点が多くはないように感じます。

新しい学級が始まったこの時期は、クラスのルールなどを整えるのと同じ位、「それぞれの子どもを見つめること」「出会いの質を高めること」が大事なのだと思います。

学級担任が「黄金の三日間」などに拘りすぎ、クラスの子どもの実態を置き去りにしてしまうことがあります。

真面目な人ほど、示されたものにとらわれ、それによって視野が狭くなってしまう場合があります。

学校の先生になる人は、真面目な人が多いので特に注意が必要です。

 

新年度のこの時期は、その子どもの特性を見つめることがとても大切です。

それぞれの子どもの強い部分、弱い部分を把握し、また集団としての強い部分、弱い部分をしっかりと把握することは、今後の学級経営を行うに当たって重要な情報です。

そういった情報を元にこの一年間の作戦を立てていきます。

一年後に目指す姿をイメージし、その間の手立てを考えます。

子どもの実態によって、目指す姿が変わってくるはずです。

良い点を伸ばし、課題となる点を減らしてくような作戦を練ってください。

そういったことに時間を掛けることは、後になって効果が出てきます。

是非、じっくりと子どもを見つめてください。

 

また、教師と子どもの「出会い」も重要です。

心理学では初対面に関して「初めて会った最初の3秒でその人の雰囲気を感じ、1分で性格を知り、3分で印象を決めてしまう」というデータがあります。

新年度の教師と子どもの出会いも同様に「始め」が大切です。

良い印象を持たれれば、その後にも良い影響を与えますし、逆もあり得ます。

「良い出会い」のためにしっかりと準備をしたいものです。

4月の始めのこの時期、教師は様々な事務仕事などで慌ただしく過ごしています。

一年間の中でも最も事務仕事に費やす時間が多い時期です。

事務仕事に追われ、大切な「子どもとの出会い」のための準備が十分にできない場合があります。

そうなると始めの印象が悪くなる場合もあり、それがその後の生活に影響を与えることもあります。

それ程急ぎではない事務仕事は、後回しにしてでも、出会いのための準備をしっかりとしたいです。

ちなみに私は今年度も「手品」で始めます。

始業式の日に私が手品をします。

その仕組みを考えてくる宿題を出します。

一年間大事にしていきたい「考える」ということを伝えたいからです。

 

この一年が皆さんにとって良い年となることを願っています。

忙しい時期です。

気苦労も多い時期です。

体を大切にしてください。

 

特に若い先生にエールを送ります。

 

 

以前、関連した内容で下のような文を書きました。

興味のある方は読んでみてください。

 

 新学期が始まる際に学級担任がすべきこと

 新しいクラスを始める時に考えていること

 初めての宿題は「手品」

 若い先生のクラスがうまくいかなくなってしまう訳

 若い先生の良さが生きる授業とは

 教室で笑っていますか?

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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