2015.04.02
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楽しいことは後回しに

東京都立南花畑特別支援学校 主任教諭・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(standard) 綿引 清勝

 

 新年度が始まりました。

今年は新しい学部になり、また異校種のようなワクワク感がありますが、子どもたちと楽しみながらの一年間にしていきたいと思います。

 さて、若手の先生からは、楽しいことは先がよいのか?あるいは、後からがよいのか?と聞かれることがあります。

 

「先に楽しいことをやることで、リラックスし、後からの難しい課題にチャレンジできる。」

 

あるいは、

 

「後から楽しいことがあるから、先に難しい課題にチャレンジすることができる。」

 

 これは、どちらかが絶対的な正解というものではなく、その子のそれまでの経験や状況、支援者の関わり方など様々な要因の影響があるでしょう。

ただ、どちらかと言えば私は『好きなことは後回し』にすることが多いかと思います。

 

プレマックの原理から

 冒頭の図に示しましたが、プレマックの原理によるとあまりよく見られない行動を想起させるには、よくやっている行動の後に設定することがよいとされています。

 この原理を指導の場面に応用すると、先に難しい課題をやってから、後から本人が楽しみな課題に取り組むことで、苦手な課題にも前向きに取り組むことができるようになると言えます。

 スケジュールを提示して、あとどれ位頑張ったら好きな活動ができるのか見通しをもたせてあげることも大切ですね。 

 

 また、給食の指導などにも同じようなことが言えます。

 以前、豆類が苦手なお子さんがいました。そこで、少しだけでよいから、豆を食べてから他の好きな物を食べようというやり取りをしました。

 その結果、最初は見るのも嫌がっていましたが、そのうちこちらが何も言わなくても最初に『ほら、食べたよ!』と自分から口に入れて自慢気に教えてくれりようになりました。

 確かに、偏食が強いお子さんにはこういったやり方が間違いな場合もありますが、ちょっと勇気を出してみることで、 食の広がりが出たり、苦手な物を克服して自信をつけたりということがあります。

 

 お子さんにとっては、活動そのものがご褒美になることもあります。

 その点では、給食は多くのお子さんが楽しみにしているので、何かチャレンジするときには、午前中だと、『◯◯を頑張って美味しい給食を食べようね』というような励ましが効果的なこともあります。

 

 ただ、ここで気を付けたいのは『◯◯をやらないと、給食はなしだよ!』といった罰の約束です。

 

 約束は、本人にとって楽しみであることが大切だと常々考えていますが、先の楽しみに向かって、今を頑張る力を付けていけると良いですね。 

綿引 清勝(わたひき きよかつ)

東京都立南花畑特別支援学校 主任教諭・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(standard)
東京都内の知的障害特別支援学校で中学部、高等部を経験後、現在は小学部の自閉症学級を担任。自身の実践を振り返りながら、子ども達が必要としている支援とは何かを考えていきたいと思います。

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