2015.03.27
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なぜ「走る」

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

3月22日の日曜日は「富山マラソンプレ大会神通川マラソン大会」が開催
されました。14日には、悲願の北陸新幹線が開通いたしました。

この22日私は、陸上競技審判員として、中継地点での業務に携わりました
(公認審判の資格を持っております)。同じ部署のボランティアの方々と
話をする機会がありました。県外のマラソン大会にも積極的に参加してい
る知り合いの方がいるようで、県外まで出かけて走る理由として、
・走ること自体が楽しい。
・ご当地の風景を眺めながら走ることが楽しい。
・ご当地の料理や文化などに触れることができて楽しい。
・走っている時に、沿道の応援や声援からやる気や元気をもらえることが楽
しい。
・走る仲間との出会いが楽しい。
・走ったタイム(記録)の伸び縮みを知ることができ楽しい。
があるそうです。「走る」ことにも、人それぞれ様々な楽しさがあるようで
面白いと思います。皆さんは何ですか。

11月1日(日)に開催される「富山マラソン2015」を盛り上げたいと考え
ています。(参考 http://www.toyamamarathon.com/
興味ある方は、是非走りに富山へお越し下さい。


「内外教育(3月17日号)」で、東京都立羽村特別支援学校指導教諭の
鈴木先生の、「一人でできる」ということ、の記事が気になりました。

障害の有無や軽重に関係なく、「一人でできる」ことが重要である。
一人でできることは「褒められる」ことにつながり、
褒められることは「自信」を育む。
そして、自信は次なる活動への「意欲」を引き出す。


英語の教科にも当てはめてみることができるのではと考えさせられます。
一人で英語が学習できる。
一人で英語の英文が声に出して読むことができる。
一人で英語を日本語に直すことができる。
一人で日本語を英語に直すことができる。
一人で英語を聞き取り理解することができる。

私は今年1年間、英語の教科だけでなく、他の場面でも生徒が出来たこと
を「褒めた」であろうか。
出来て当然と思っていなかったであろうか。
生徒に「自信」を育む言葉かけができたであろうか。
英語学習を継続する「意欲」を引き出すことができたであろうか。
生徒だけでなく、教師にとっての評価として大事ではないかと考えました。

生徒のところを自分の家族や子どもに置き換えてみることもできます。


同じ「内外教育(3月17日号)」の巻頭に「ストライクゾーン」というタ
イトルで、日本大学の広田照幸教授が、3月4日付の初等中等教育局長通知
「学校における補助教材の適切な取扱について(通知)」について触れてい
ます。
この通知が引き金になり、補助教材に政治介入する危惧と、現場の教員の
手作り教材やユニークな教材選びが避けられることとなり、個々の教員の創
意工夫を凝らしたものが衰退してしまうであろう危険性を指摘しています。
地域や学校及び児童生徒の実態等に応じ工夫を凝らして作り上げてきた補助
教材も否定される危険性を孕んでおり、補助教材の使用範囲である「ストラ
イクゾーン」が制限される通知ではないかと心配しています。
私も同感です。
この通知は、大阪府松原市の出来事や小中学校の授業で遺体画像を見せる
など不適切なケースが相次いで起きたことが背景にあるというが、背景事例
が忘れ去られ通知だけが一人歩きしないだろうか。今後の現場での変化を注
視したいものです。
(参考 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/1355677.htm


これとは違うケースですが、「3日連続で欠席の子ども 安全確認へ 文科
省」という記事が飛び込んできました(3月19日)。
川崎市で中学1年生の男子生徒が殺害された事件を受けた対策に関してで
す。私は、生徒の欠席は3日と言わず、毎日確認することが基本と思ってい
ました。事実担任の先生は、1月以降30回以上も保護者に電話をしていたよ
うです。教師の日常は多忙を極め、学校は疲弊して疲労困憊な状態にあるの
ではないかと心配に思いました。普段の何気ない子どもの表情からサインを
読み取りたくても余裕がない現状に蓋をして、「不登校や非行とみられる子
どもたちのなかにリスクが潜んでいると考え、子どもの姿を見失わないこと
が重要で、指針が関係機関が垣根を越えて対応する第一歩になればと思う」
という山梨県立大学の西澤哲教授の発言を紹介しています。どのような指針
が出されるか定かではありませんが、私は、あれもこれもと、これ以上学校
現場に何でも求め過ぎないような視点も大切ではないかと感じています。こ
の事件は2度と起きて欲しくないですが、先生方にも限界があることも分か
ってほしいという気がします。教員、教育を取り巻く様々な条件整備に政権
側が責任を担って頂きたいものです。
(参考 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150319/k10010021441000.html)


「つれづれ日誌」は、今回で最後になります。しばらくお休みいただきま
す。長期にわたりお付き合いいただきありがとうございました。まだまだこ
れからも一教師として「走り」続けたいと思います。失礼いたします。

岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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