2015.02.10
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冬季研修会 開催しました。

北海道札幌養護学校 教諭 郡司 竜平

 冬季研修会 開催

 去る1月15日に勤務校を会場として特別支援教育の冬季研修会を開催しました。

当日は、校内外から170名を超える参加者の皆さんが参加してくださいました。本校は北海道における特別支援教育のセンター的機能を担う立場から、特別支援教育に携わる多くの教員へ向けて情報を発信したり、研修の場を設けたりする立場にあります。そのような立場であることを確認しながら、今年度は研修会の企画から関わらせていただきました。研修会の構成は、全体講演ではベーシックな内容で、広くニーズのあるもの。教材教具展示会は、見るだけではなく、相互の交流があり、出展者にもメリットがあること。分科会は、より個々人のニーズに添えるものを考えました。

全体講演では、応用行動分析の基礎から北翔大学の和先生にご講演いただきました。講師との打ち合わせでは、特別支援学級を初めて担任する教員から、支援学校でキャリアを積み重ねたベテランの教員までを対象とする内容で、具体的な事例も交えて、というなんとも難しい依頼をさせていただきました。和先生は、しっかりとオーダーを踏まえて、2時間があっと言う間のお話をしてくださいました。プリファレンスチェックやABC分析、好子や嫌子の用い方などオーソドックスで大切な内容を具体的な実践を交えてお話いただきました。

 

 教材教具展示会では、校内の教員による自作教材を中心に展示、説明を行いました。実際に製作、活用している教員が参加者の質問に答える形で、設定をしました。今年度は一般教員だけではなく、栄養教諭や養護教諭まで協力していただき、非常に内容の濃い教材教具の展示会になったかと思います。

 

実技研

 午後からは4部会に分かれてワークショップでした。1部会は、iPadを使ったワークショップ、2部会は自閉症のお子さんへのアセスメントのワークショップ、3部会は、言語発達検査についての説明と実技を外部専門家から、4部会は、特別支援教育を担当する上での悩み相談を本校の特別支援教育コーディネーターが行いました。

 私は、1部会のiPadを使ったワークショップを担当させていただきました。おかげさまで40名を越す参加者の方にお集まりいただくことができ、学校間の交流も交えながら、あっと言う間の1時間30分を過ごすことができました。

 参加者は、初めてiPadに触れるという方から、すでに授業実践レベルで使いこなされている方まで多岐に渡りました。事前にメールで端末の有無等を確認させていただいていたので、おおまかなニーズを把握した上での部会運営でした。

 まず行ったことは、本校の実践例の紹介。私の仲間が日々、試行錯誤して取り組んでいる実践を私なりに精一杯伝えさせていただきました。そこで一番強調してお伝えしたのは、日常のツールであること。私が常々口にしている「魔法ではない」ということでした。特に初めて触れたり、自分の余暇として使われている方がいざ授業で活用しようとすると一番陥りやすい感覚だからです。これは、私たちがここ数年取り組みを続けていて、一番強く感じていることですので、ここは何度も何度も口にしてお伝えすることにしました。授業のねらい、活用場面、活用方法をしっかり計画して使い始めなければ、高価なおもちゃになってしまう可能性があることを繰り返し伝えました。

 そのあとは、実際にiPadのKeynoteアプリを用いて、授業における視覚的な提示データを作成するワークを行いました。各グループ3~5名程度のグループ編成にして、お互いが意見を交流する形でワークを進めさせていただきました。校内外のいろいろな方にご協力いただき、一人一端末でワークを行うことができましたので、グループでもらった意見やアドバイスをすぐに自分のデータ改善に活かせる環境でのワークでした。ご協力いただいた皆さんにはこの場をお借りして感謝申し上げます。

 今回は、提示を作る際の教材として「little Bits」という電子教材をお借りして活用しました。この教材自体、とても魅力的なものですので、参加者の皆さんはこの教材に興味津々で、教材の取り扱い自体に多くの時間を費やしました。ある程度は予想して用いた教材でしたが、あまりの魅力に、40名を越す大人が夢中でした。

(この教材を用いての授業の取り組みは現在進行形ですので、また機会があればお伝えできればと思います)
 

 ワークショップの最後には、授業を想定して、実際に作成していただいたデータを用いて、参加者全体に発表していただきました。ここはさすが教員!発表をお願いした方はどなたもすぐに授業者の表情になり、真剣に取り組んでくださいました。

 

 10のグループに分かれてのワークだったので、もちろん私一人では運営することが難しく、今回もうちの仲間が大活躍してくれました。細かな打ち合わせはほぼしていなかったのですが、すぐに私の意図を汲み取って、各グループをまわり、適切なアドバイスをしている姿を私は遠くから頼もしく見ているだけで十分でした。そろそろ世代交代かもしれません。

 

まとめながら

 いまアンケート結果をまとめているところですが、ポジティブなコメントの数々に企画者として安堵しているところです。これからも、特別支援教育を推進する立場の職場の一員として、日々アンテナを高くし、ニーズに応えられるよう実践を実直に積み重ねて、また皆さんにお伝えできる日に備えたいと思います。

郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)

北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。

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