みなさん、こんにちは。
お久しぶりです。
今年もよろしくお願い申し上げます。
突然ですが、教員のみなさん、3学期のスタート時に、クラスの子ども達へ、どんな話をしましたか?
今日は、3学期のスタート時に、私がクラスの子ども達にした話について紹介します。
これから紹介する話は、特別な準備もなくて簡単に用意した話でしたが、とても効果がありました。
話しの最中、子ども達は、嬉しそうにうなづきながら、目をキラキラ輝かせて聞いてくれました。
そして今、みんなが生き生きと学校生活を送っています。
まるでブースターを付けて勢いよく宇宙へ飛び出していくロケットのように成長しているなぁと感じる子がたくさんいます。
その成長を感じる姿とは、たとえばこうです。
・行儀がよくなった。
・発言に積極的になった。
・忘れ物が激減した。
・字が丁寧できれいになった。
・友達とのトラブルが減った。
・助け合う姿が増えた。
・作業への集中力が増した。
・話の聞き方が良くなった。
・積極的にお手伝いをする子が増えた。
・小テストの出来が格段に良くなった。
・教室内の整理整頓が良くなった。
・教室内のゴミが減った。
・みんなのために働く子が増えた。
これは、もちろん私の印象です。
元来、楽天的な性格の私は、子ども達をポジティブに見過ぎているのかもしれません。
ですが、社会科教師の私にとって、自然とみんなのために働く子ども達の姿はとても眩しく、嬉しい、ということを差っ引いても、3学期の成長は目を見張ります。
みんな、かなりやる気です。
そして、4年生に向かって大成長しているように見えています。
もちろん、これから紹介する話だけが、子ども達を、成長に導いたはずがありません。
子どもの育ちに関わる要因は、多岐にわたりますし、今回の話は、学級経営のために打った手立てのほんの一部です。
他の先生方やご家庭のバックアップもたくさんいただいています。
しかし、この話は、子ども達に大きな影響があったのではないかと感じています。
3学期初日の様子
始業式終了。
書初め大会が始まるまでの狭間の時間での3学期初顔合わせでのこと。
私は、こんな話をしました。
録音したわけではないので、細かいところは忘れてしまったので、概略で紹介します。
(録音しておけばよかった)
すみません。
子ども達、始業式が終わってクラスで待つ
担任登場
T「立ちましょう。」
T「あけましておめでとうございます!」
子ども達も同様に新年の挨拶をする
T「先生は、みんなに会えるのを楽しみにしていました。」
子ども達一人一人の顔を見渡す
T「みんな、元気そうで嬉しいです。」
T「楽しい冬休みはすごせましたか?」
子ども達、口々に返事をする
T「そうか、それは良かったね!」
T「ところで、今年は凄い年なんだけど、知ってる?」
宝物でも発見した子どものように言う
子ども達、「えーっ何だろう?」とか言いながら考えては答えを当て始めるが、当たらない
そこで、
T「今まで不可能だったことが、できる年なんだよ。」
と、ヒントを出す
子ども達、なおさら考え、自分の考えを口々に言い始めるが、すぐに答えは言わず、ニコニコと聞きながらしばらく見守る
そして・・・
T「あっ!今、当てた人がいた!」
子ども達は、えっ!と、担任の視線の先を一斉に見る
C「北陸新幹線だ!」
と、何人かが叫ぶ
T「そう、北陸新幹線が開通するんだね!よく知っていたね!」
言い当てた子は、嬉しそう
他の子は、それかぁ!となる
T「北陸新幹線ができると、東京まで、ものすごく早く行けるようになるんだよ。今までは4時間以上はかかっていたのに・・・」
と話し始めるが、私は全て説明しなくても大丈夫のよう
私の話しの腰を折って
C「知ってる!2時間28分で行ける!」
との発言が出る
ここまで来るともう安心
T「凄いなぁ!どうなるの?教えてくれる?」
と、私の話の腰を折った子に説明を振る
その子は、軽く興奮しながら嬉しそうに話し始める
C「3月14日に北陸新幹線が開通するんだと思います。東京まで2時間28分で行けるようになります。」
我がクラスにも鉄夫君が何人かいるようである(頼もしい!)
かなり詳しく話してくれた
T「工夫と努力で作られた新幹線が、不可能を可能にするのです。」
子ども達、黙って聞いている
T「もうひとつ、2050年にだけど、凄いことができるようになるんだよ。」
さすがに、先の話過ぎて、誰も当てられないので、担任から紹介する
T「誰でも、宇宙に、エレベーターで行けるようになるんだ。」
えーっ!!と、子ども達、声をあげる
中には、あっ!テレビでやっていた!と反応する子もいる
T「今、宇宙に行こうと思ったら、一人当たり1億円以上かかるし、行きたくてもロケットに乗せてはもらえないよね。だけど、2050年には・・・、あと何年だっけ?」
子ども達、計算をして、つぶやく
T「そう、あと35年後には、一人当たり100万円ほどでエレベーターに乗って、スーって宇宙へ行って、地球をながめることができるんだ。100万円だったら、がんばって貯めれば行けそうだよね。凄いことになるね。早くなって欲しいなぁ。」
子ども達
C「行きたい!」、「安っ!」、C「まだ高いよ~」
と様々な反応
T「今年は、北陸新幹線が一つの不可能を可能にする。人間も同じなんだよ。誰でも成長して不可能を可能にすることができるんだ。みんな、見違えるほどグンと成長できるんだよ。どうだい、みんなで凄い4年生になってみないかい?」
と、新年のスタートに当たって、だいたいこんな感じの話をしました。
この話は、一応はこれで終わりです。
だけど、それから毎日、私は、頑張っている子を見つけては、
「やるなぁ!」
「凄い!」
「ありがとう!」
「おぉ~!」(感心する様子で)
「別人のような成長だ!」
と、子ども達に対して感心しています。
そして、小さなことを見つけては、なるべく全員に一声かけられるようにコメントしています。
この話をしたのはなぜか
なぜ、こんな話をすることになったのかというと、こういう経緯からです。
実は、2学期の終わりに、私から見て、表情がやや暗いと感じる子どもがいました。
私は、冬休み中、そのことを反省していました。
どうにかして、もっと明るい顔で学校生活をおくらせてあげたいと考えていました。
だから、新学期のスタートには、その子を含めてクラスの子全員の心に、希望と勇気の火を灯してあげたいと思いました。
毎日に希望があり、勇気をもって自分が成長しようと心が変われば、3学期はもっと笑顔で過ごせるに違いない・・・。
だから、この話をしました。
いい話は日常にたくさんある
北陸新幹線や宇宙エレベーターの話は、日常的に目や耳に入ってきた情報です。
子ども達を笑顔にしたいと心で求めていたから、耳に止まった話な気がします。
願いをもっていれば、日常の中で、必ず願いを叶えるきっかけと出会えるものです。
子ども達の心に希望と勇気を湧かせる話は、身の回りにたくさんあります。
タイムリーな話題なら、なおグッドです。
それを取り上げて、生かす。
みんなに話すこともあれば、一人だけに対して話すこともあります。
話は子どもの為ならず
(子どもの為に一生懸命考えて探して話したことは、子どもの為にだけなるのではなく、自身の為にもなって返ってくる)
今日は朝の会で、大相撲の郷土力士「輝」と師匠の話をしました。
今年の3学期のスタートは、子ども達の心に希望と勇気の火を灯したいと願っていました。そして、それにつながる話をしたら、子ども達の目が輝き、グンと成長し始めました。
そして、今、私はそんな子ども達の姿に、日々、希望と勇気をもらっています。

泊 和寿(とまり かずひさ)
石川県金沢市立三谷小学校 教諭
私は、子どもたちが目を輝かせて生き生きと学ぶ姿が大好きです。子どもが本気になって学ぶと、グワッと教師を越えていきます。今年も、そんな感動をめざしたいと思います。
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