2015.01.21
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今改めて考えたい、東日本大震災とその後の暮らし

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

昨年末、東北自動車道を通ってきました。

この道は年に何度も通っている道です。

 

今回、初めて除染で出たものを保管している場所を目にしました。

これまでは見た事のないものでした。

除染した後のものを保管していることについては、ニュースなどで目にしたことはありましたが、実際に自分の眼で見たのは初めてでした。

高速道路を走っていながら、びっくりしてブレーキを踏みそうでした。

除染が進むのは良いことなのは当たり前ですが、単純にそうとだけは言えない現実があります。

 

ちょうど3年前に書いた文章があります。

以前と変わらない福島市の景色から考えたこと

あの頃と何が変わったのだろうと考えてしまいました。

 

少しずつ色々なものが風化されていっているように感じます。

報道で取り上げられる機会も減ってきています。

実際には大きな問題はあまり進展していないように感じます。

特に原発については、先ほども書いたように報道されることが減ってきており、原子炉の廃棄や除染の状況を知ることが難しくなっています。

その少ない情報によると、原子炉も除染も、順調ではない印象を受けます。

 

東日本大震災は、現代の日本において、非常に大きな出来事に違いありません。

「1945年の第二次世界大戦の終戦」そして「2011年の東日本大震災」はそれぞれ100年に一度のレベルでの大きな出来事です。

絶対に忘れずにいなければならないことだと思います。

 

日本人は忘れやすい国民だと言われています。

第二次大戦の後、それまで敵国だったアメリカに対して、親密に関わる形になったのなどはその一例です。

しかし、震災に関すること(地震、津波、放射能など)は、決して忘れてはいけないことなのだと思います。

昔の人は、津波が来た最高地点に石碑などを作り、後世の人に津波があったことを伝えていたそうです。

今の時代は情報があふれています。

その良い部分もあるのですが、悪い部分もあります。

どんどん大事なことが忘れ去られるテンポが速くなっています。

本当に大事だと思うことは、意識的に大事にしていかなければ、風化されてしまいます。

震災に関することは、意識していかなければ、経済性や利便性など様々なものに流されていってしまいます。

大震災から数年になる今、改めて、そのことを捉え直し、教育におけるあり方について真剣に考えていく必要があるのだと思います。

「エネルギーのこと」「暮らしのこと」「安全のこと」などをしっかりと議論し、これからの暮らし方について考えていくべきだと思います。

 

大震災で様々な苦労をされた人を含め、全ての人の暮らしが穏やかなものになることを願います。

そして、それがずっと続くことを願います。

 

そのために自分自身が何をすることができるのかを考えていきたいと思っています。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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