2015.01.02
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新年に楽しみながら相手を思いやる心情を育てる ~おみくじ作り~

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

     

 

新年明けましておめでとうございます。

今年が皆様にとって良き年となることを心から願っています。

 

私の書く文章が少しでも皆さんのお役に立てるようなればと思います。

今年もどうぞよろしくお願いします。

 

今回は、新年にちなんで「おみくじ」を使った実践の紹介です。

 

年始などにクラスで「おみくじ」を作り、それを互いに引き合うということを毎年しています。

 

ねらいは、「相手を意識し、思いやる気持ちのある文章を書くことができる」というものです。

 

まず、それぞれの子どもがどんなおみくじを作るのかを決めます。

クラスの人数分の小さな紙に「大吉」「中吉」「吉」「凶」「大凶」などと書き込みます。

あまり悪いものばかりにならないように枚数を調整します。

例えば、30人のクラスでは次のような感じでしょうか。

「大吉10」「中吉10」「吉6」「凶2」「大凶2」

大吉などと書かれた紙を混ぜてから、子どもに引かせます。

これは、大吉、中吉など、どのおみくじを書くのかを決めるための作業です。

 

その後、引いた紙に書かれているもの(大吉、中吉など)に合ったおみくじを作成していきます。

「おみくじ」と言っても、どういったものなのかを知らない子どももいますので、少し説明をします。

神社などで実際にされているおみくじの画像を見せることやこれから作るおみくじの見本(担任が作ったもの:左の写真)を見せます。

このおみくじの実践だけでなく、様々な作業において、事前に教師が見本を作り、それを示すことはとても大事なポイントです。

 

子どもがおみくじを作成する際、中央の写真にある様に、ある程度の枠を作っておくと取り組みやすいです。

小学校の高学年で、こういったものを作るのに慣れている子ども達であれば、枠を無しにしてもよいかもしれません。

その方が却ってオリジナリティが出ます。

 

実際におみくじを作成する際に注意することは「悪いことの書き方」です。

「大凶」のおみくじの健康運に「あなたはがんになって6か月以内に死んでしまいます。」や「交通事故で死んでしまいます。」と書くわけにはいきません。

何も指導せずにおみくじを作らせてしまうと相手を傷つけるような文章を書いてしまう子どももいます。

この悪い部分を如何に書かせるかが、とても教育的に意味があります。

相手を意識し、良くないことなのだけれども「相手が傷つかない」ように書く必要があります。

これはとても高度なことですし、こういったことができる子どもが増えると子ども達の関係もスムーズなものとなります。

具体的な健康運の書き方は次のようになります。

「今年は好ききらいをすると病気になる可能性があります。好ききらいをしないで食べるようにしましょう。ラッキーアイテムは、ニンジンとブロッコリーです。」

 

実際に子どもが作ったものが右の写真のものです。

子どもが作ったものは、とても微笑ましいものが多いです。

 

「笑う門には福来る」です。

子ども達と笑いのある日々を過ごすことができたらと思います。

 

良い一年のスタートとなることを願っています。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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