2014.12.26
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躓くことも成長への一歩?

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

期末考査が終わりました。
1年生のA子さんは、数学のテストの結果が、
思わしくなくしょげているようです。

A子さんの数学の学力のことで、
担任のB先生が同僚のC先生と話しています。

「A子さんは教科書に書いてある
解説の部分すら理解できない時があるようだ。
何か数学のセンスというものが不足しているのかな。
教科書に書いてある式や解説を説明すると、
ある行から次の行になると、
『どうして○○の式から△△の式になるか、分からない』
と尋ねてくる。
ある時は、数学特有の用語(日本語)の意味にこだわり、
簡単な式の変形が納得できないことがあるようだ。
分からない所があると、その部分に拘泥して、
前に進めないことがしばしばあるので困るなあ。」

これに対してC先生が、
「何を今学習しているのか分からないで困っている
状態とは違うようですね。また解き方を理解できず
無理矢理暗記している生徒とも違うようですね。
自分が納得できるまで、諦めたくなく、
悩んでいるようですね。
先生に分からない部分を質問する位
こだわるタイプの生徒の方が、
3年生など後の学年になってから
不思議とグーンと実力が伸びるものです。
○○大学に進学した生徒も同じような傾向でしたよ。」


先生は、生徒が「分からない」と困っているときに
「なんでこんなことも分からないのか」と対応する場合と
「○○で躓いているのかなあ」と対応する場合とがある。

大事なのは、「分からないのか」も「躓いているのか」でも、
今「分からなくても」大丈夫、「躓いていても」心配はいらない。
今から「分かるようになろう」「躓いている部分を克服しよう」
と、「これから分かるようになろう」と、
将来を一緒に見つめることではないでしょうか。
生徒が自己肯定感を低くすることを意図する人はいないと思います。

A子さんは、B先生との面談で、
「A子さんの数学での悩み方や質問の仕方は、
○○大学に合格した生徒と同じようだ。だから
心配いらない、今後を楽しみにしているぞ。」
と励まされました。

「自分は数学が分からない、苦手だ。」と意識していたA子さんが、
少しずつ数学の勉強に自信を持ち、「頑張ろう」という気持ちが
芽生えてきたようです。
安心した表情でニコッと「ありがとうございました」と、
教室を後にしました。


C先生のように、私も英語の学習(たとえば文法事項)で
生徒が躓いて苦手な状態であっても、
それが一過性なものであり、理解度は変容可能であり、
将来的にも、学力面で成長の可能性を秘めた
大切な一歩(一時期)になっているのであると
目の前の生徒らを見守りたいです。

成長とは「分からない!?どうして?という躓き」を
「分かりたい!」にすることが、出発点かもしれません。


追伸:
本学びの場.comでは、映画と教育≪お正月映画スペシャル≫
『バンクーバーの朝日』、『ベイマックス』が紹介されています。
観たい映画が皆さんも目白押しでしょうか。
私は、800万部突破の大ベストセラーコミックスが映画化され、
富山県と長崎県が舞台になっている「アオハライド」を
お薦めさせていただきます。12月13日から上映されています。
「アオハライド」に関連して幾つかのサイトを紹介します。
「高志の国文学館」のライブラリーコーナー(無料)で企画展示が
行われています。主演の本田翼さん、東出昌大さんらのサインのほか、
原作者の咲坂伊緒先生の直筆イラストが描かれたロッカーなどを
展示しています。機会があれば是非お立ち寄りください。
(参考サイト http://www.koshibun.jp/tsuredure-blog/info/
県内の高等学校がロケに使用されていることも分かります。
鉄道関係のロケ地について興味ある方は、下記へどうぞ。
(参考サイト [公式]富山地鉄の鉄道アテンダント日誌)
また、富山県ロケーションオフィス(富山県観光・地域振興局観光課内)
のサイト内には、2013/12/26 に公開された
「恋するフォーチュンクッキー 富山県 Ver. / AKB48[公式]」
があります(何校か県内の高校生も出演?しています)。
(参考サイト https://www.youtube.com/watch?v=-oG4uW_iqmw
「アオハライド」と合わせてロケ地としての富山県を身近に感じて
いただけると嬉しいです。

良いお年をお迎えください。

岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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