2014.12.16
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12月8日に考えた「戦争」と「平和」

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

12月8日は、太平洋戦争の開戦の日でした。

今回は、それに関連して「戦争と平和」について書こうと思います。

 

太平洋戦争は、73年前の1941年(昭和16年)12月8日にハワイの真珠湾への奇襲で戦争が始まったとされています。

実は、ハワイへの攻撃の数時間前、日本軍はマレー半島に上陸していました。

時差の関係で、その攻撃が太平洋戦争において最も早いものだったのだそうです。

 

約20年前、マレーシアのコタバルという町の海岸を訪れました。

日本軍が最初に上陸した海岸です。

クアラルンプールから夜行列車に乗り、バスに乗り換え1時間ほどで辿り着いた場所でした。

現在のその場所は、のどかな海水浴場でした。

戦争の痕跡は全くありませんでした。

それまで、グアムやサイパンでの生々しい戦争の痕跡を見たことがあったので、少し拍子抜けしたことを覚えています。

 

サイパンでは、バンザイクリフ、スーサイドクリフなどの痛ましい場所を訪れました。

1944年(昭和19年)アメリカ軍の猛攻による島の陥落の際、民間人が捕らわれることを嫌い、多数の人が崖から身を投げた場所です。

そこから見える太平洋の美しい景色と対照的な悲しい事実を想い、複雑な心境になりました。

そういった想いで眺めるので、崖の下に吸い込まれそうな気がして不安になったことを覚えています。

 

シンガポールにある博物館ではマレー半島に上陸した日本軍が用いた自転車も見ました。

あっと言う間にマレー半島を支配下にしてしまった部隊は「銀輪部隊」と呼ばれていました。

実際に見たその自転車は、都市部で年賀状を配達する時に郵便局の人が乗っている自転車のような感じでした。

しっかりとした作りだったのですが、戦車や戦闘機などとは違い、非常に庶民的な感じでした。

 

これまで書いたような様々な経験をもとに、小学校の担任として、私は積極的に子ども達に戦争の話をしています。

太平洋戦争の開戦の様に過去の戦争に関わる日本のこともそうですが、現在、行われている世界中の戦争や紛争についても積極的に話題にしています。

過去における日本が関わった戦争も現在世界中で行われている戦争や紛争も今に生きている子ども達にとって関係がないものではないからです。

 

今の日本の平和は第二次大戦の時に亡くなった約300万人に直接的に支えられています。

様々な形で亡くなっていった方々なしに日本の今の平和はあり得ません。

また、海外の戦争などの状況によっては日本も間接的、直接的に戦争に巻き込まれます。

日本が戦争に関わることになった際、直接的に影響を受けるのは今の子ども達、若者達です。

 

そういったことを子ども達に伝え、自分のこととして戦争を考えさせます。

国家や民族、宗教などの対立についての話もしますが、子どもにとって身近である子どものケンカについても話もします。

子どもの時にケンカをする人は問題を暴力によって解決しようとする傾向のある人です。

そういったことが改善されないまま大人になってしまったら、大人の世界でもトラブルを暴力によって解決しようとしてしまう可能性があります。

もし、国家同士の問題になった場合、そのような発想の人が多くいたならば、戦争になってしまいます。

トラブルがあった際、子どもの頃から言語(話し合い)による解決ができるよう繰り返します。

そういったことが将来の平和につながるのだと思います。

 

平和を切に願うことなしに、平和を作ることはできないのだと思います。

未来の社会を作る子どもに対して、積極的に「戦争と平和」について伝えていきたいと思っています。

 

日本、そして世界が平和であることを心から願います。

 

 

以前、今回のテーマに関連した文章を書いています。

興味のある方はご覧ください

 

仙台の七夕で改めて感じた平和の大切さ

希望のある未来にするために今教師ができること

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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