広がってきた活用
先日、学習発表会が終わりました。私が担当する学年・ブロックはもちろんですが、小学部全体でずいぶんタブレット端末の活用が広がってきたように感じられました。
学習発表会は、日常の学習活動をメインとして演目を組み立てるので、日常の学習活動場面で活用されていれば、その延長線上にある発表会場面でも自ずと活用が増えるのだろうと考えていました。
具体的な活用場面
学習発表会で私が目にした活用場面をいくつかご紹介します。
まずは学習発表会単元の導入場面。
多くの学年やグループで、iPadのkeynoteが活用されていました。単元全体での学習の予定、実際の演目の動画提示。演じる児童の順番や役割。数々の必要な情報が、整理された状態で、子供たちに提示されていました。
学習発表会の練習場面。
ここでもKeynoteの活用が目立ちました。その日の練習内容、練習順、ゴールが明確に示されていました。子供たちはその提示を確認してから各々の練習に向かっていました。
また、学習活動場面を記録するのにも活用されていました。撮られた画像は、次回の学習での提示に組み込まれたりして、児童の前時の想起に一役買っていたかと思います。
学習発表会当日。
毎年恒例のオープニング。うちの学部では、1年生の始まりの言葉からスタートしますが、ここ数年は、1年生の半年間の成長をスライドショーにしてお見せすることが定番となっています。ここでも活用されていました。
演目発表では、ナレーターの台本補助として使われていました。舞台袖のナレーター役の児童が、iPadを片手に演目の進行役にチャレンジしていました。ここには、セリフを吹き出し式にしたり、画像を用いて場面をイメージしやすくしたりの工夫が見られました。
実況中継の役の児童もいました。他の児童がいろいろな課題にチャレンジしているのを実況するのです。ただ、その状況を瞬時に伝えるのはまだ難しいこともありましたので、iPadに予想される動きの描写が提示されていて、その児童は他の児童の動きに合わせて読み上げるということにチャレンジしていました。これも日常的に端末を活用していなければ、なかなかできないことなのかなと思いました。
その他には、器楽演奏の色楽譜に用いている場面もありました。これも普段の音楽の学習で取り組んでいなければ、有効に活用できない場面だなと感じました。
学習発表会後。
事後学習では、児童の振り返りの学習にスライドショーが多く用いられていました。これは以前にこちらの記事に書かせてもらったのと同じです。このあたりの準備もタブレット端末を活用し始めてからずいぶんと容易になったかと思います。
また、うちの学年の児童は、学習発表会の思い出を日記にまとめていました。これも以前、運動会の記事でこちらに書かせていただいた手法を用いています。子供たちは本当に自在にiPadを操りながら、自分の学習活動を振り返り、一人ひとりがしっかりと日記に記していました。これは、継続して使用してきた成果だなと強く感じているところです。
ねらいと活用するターゲットを考えて
指導をする教員も学習に活用する児童もずいぶんと増えてきたなと感じた学習発表会でしたが、一つだけ改めて考えさせられた場面がありました。
それは、音響への活用です。私の担当学年は、演目の音響でもiPadを活用しようと準備を進めていました。曲目も目に見える形で出てきて、タップするだけで次の曲へ移行できる便利さから、CDやMDよりもミスも少なく、ベストのタイミングで曲を挿入できると考えていたからです。しかし、実際には使用しませんでした。
音響を担当するのは、学年の教員ではなく、練習数回と当日にお手伝いいただく教員です。
私たちは、実際に使用する方が一番使いやすいものは何か?という基本的な発想が抜け落ちていたのです。CDプレーヤーよりもiPadの方が使いやすいだろうと勝手に決めていたのです。
音響は、その場面に合った音楽を、ベストのタイミングで流すことが一番のねらいです。そのために、必要なことは、流す人がベストのタイミングで流すことのできるツールを用意することでした。
この出来事は、改めてタブレット端末の活用について考え直す機会となりました。
これは、大人だけではなく、子供たちの学習場面についても同じことが言えると思うのです。
私が普段口にしているねらいとツールの発想がすっと抜け落ちてしまっていた出来事でした。反省反省。
郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)
北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。
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