皆さんは、ご自身の「メンタル」大丈夫ですか。
先日風の便りに、知り合いの先生が9月に退職されていたと知り、
驚きとてもショックを覚えています。
そう言えば、今年の3月末の人事異動の時に、新聞報道で
同期の先生の名前を退職の欄で見かけ、一抹の寂しさを感じました。
2人とも「精神疾患」が理由の一つで、職場を去られたようです。
定年退職までに、まだ十分長い期間を残しているので
このような話になると、とても無念だと感じます。
エネルギッシュに活躍されていた時代を知っていたからこそ、
有能な人材が教育界を離れざるをえないことを辛く惜しいと感じます。
と同時に、何とかもっと出来る術はなかったのか、
残念で非常に悔しい思いで一杯です。
この『学びの場.com』では、
アグネスさんが教育アドバイスのコーナーで
「教師のうつ病、対策は?」(2013年2月6日の記事参照)
渡辺敦司さんが教育ウオッチのコーナーで
「教職員のメンタルヘルス対策の遅れ」(2012年11月14日の記事参照)
を扱っておられ、とても興味深く読むことができます。
私は、文部科学省の「教職員のメンタルヘルス対策について
(最終まとめの概要)」(平成25年3月29日付け)や
「教職員のメンタルヘルスの現状等」における参考資料
から読み取れることと、心がけておいたら良いことを
今回は眺めたいと思います。(参考資料は文科省のサイトで検索)
上記の資料によりますと、
・教員の病気休職者数は8,544名(平成23年度)と平成19年度から
8,000名台を継続しており、在職者数に占める割合は0.9%であります。
また、精神疾患による病気休職者数は5,274名(平成23年度)であり、
平成20年度から5,000名台を越えており、在職者数に占める割合は
0.6%となっています。
・精神疾患による病気休職者数は増加傾向です。
10年間で約2倍に増えているそうです。
・精神疾患を理由とした離職教員は、病気を理由とした離職教員の
約6割を占めること。
・精神疾患による休職教員の年代別割合では、40歳代、50歳代以上が
高いこと。
・精神疾患による休職教員の学校種別割合では、中学校、特別支援学校が
高いこと。
・精神疾患による休職教員の約半数は、所属校への勤務後2年以内に
休職していること。
・精神疾患による休職教員の内訳を見ると、女性が多いこと。
が指摘されています。
休職された教員の方がスムーズに職場復帰するためにも
渡辺敦司さんも記事の中で紹介しておられますが、
教員の「復職プログラム」の整備とその充実が早急に行われ
実行性のあるものとなることを強く願う次第です。
1つの例としては、平成25年に東京都教育委員会が設置しました
「リワークプラザ東京」があります。
(参考 http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr100527f.htm)
「教職員のメンタルヘルス対策取組事例集」の中では、他の教育委員会の
取り組みも紹介されています。(参考資料は文部科学省のサイトで検索)
幾つか紹介されているメンタルヘルス対策の取り組みで
2つ課題があるように感じています。
1つ目は、復帰プログラム(のようなもの)の期間です。
4週間や3か月という期限を区切っています。
精神疾患の場合は、たとえば服用する薬を見極めるのに2週間程度のスパンを必要とされる場合があります。個人的には6か月から1年ほどの
長めの期間が必要ではないかと思います。
ただ、復帰プログラム中の代用教員や給与、身分等、様々な関連する
問題があるのでしょう。
2つ目は、復帰プログラムの内容です。復帰までのステップを幾つかに
区切っています。例えば東京都の場合は、以下のように3つの段階を
設定しています。できるだけプログラムを受ける方にストレスが掛
らないように配慮が必要です。
第一段階〈職場の雰囲気に慣れる〉で、週3日の半日勤務
勤務内容は、文書作成補助、パソコン練習、図書管理・整理等
第二段階〈教職を視野に入れる〉で、週3~5日の半日勤務以上
勤務内容は、分掌補助、指導案作成、授業参観、給食・清掃指導等
第三段階〈教壇に立つ〉で、週5日ほぼ前日勤務
勤務内容は、授業参観、給食・清掃指導、担当教科の指導、
管理職のもと授業実施等
このような復職プログラムを実際に体験し終了した方々から
丁寧なフィードバックを取り、受け手の教師の内面に寄り添って
改善に改善を重ねていくこともお願いしたいものです。
さて、たとえば自分が「うつ」ではないかと不安の方には
自己診断できるサイトがいくつもあります。
「うつ病ドリル」(参考サイト:http://u-drill.jp/usage.php)
「うつ病 こころとからだ」(http://utsu.ne.jp/self_check/)
などはいかがでしょうか。
これ以外にも「うつ 診断」と検索して色々と
お試しになってはどうでしょうか。
教職員のメンタルヘルス不調の背景については、
色々と分析され、理由付けがなされているようです。
精神疾患は個人によって異なる理由があるので
理由や背景をいくつかに絞ることは難しいかもしれません。
秋深き
隣は何をする人ぞ
蛤のふたみにわかれ行秋ぞ
ふと芭蕉の句が思い出されました。
収穫された秋の実りを口にして
今年最後の開催となった横浜女子マラソンや
錦織選手のテニスなど
スポーツの秋をテレビで楽しんでおります。
その秋も、11月中旬にやってきた寒波で
ここ富山の立山連峰にも薄っすらと
雪化粧が始まりました。
紅葉も足早に過ぎようとしています。
心穏やかに季節の移ろいを味わいたいものです。
失礼します。
岩本 昌明(いわもと まさあき)
富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。
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