2014.09.23
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博物館などの効果的な利用法 ~宇宙博2014で感じたこと~

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

  

 

幕張メッセで行われている「宇宙博」に行ってきました。

 

学び場.comの中にも紹介されています。

詳しくはそちらをご覧ください。

 

展示は、想像していた以上に規模が大きいものでした。

NASAからも多くのものが出展されていました。

現在、火星で地表を探索しているキュリオシティの実物大の模型がありました。

アポロ計画の時に用いられた月面車(複製)も展示されていました。

写真のタイヤはスペースシャトルのタイヤの実物です。

実際に宇宙に行って、戻ってきたものです。

圧倒的な存在感です。

 

JAXAの展示もスケールの大きなものでした。

ISSにある日本の実験棟「きぼう」も実物大の模型がありました。

想像していたものよりも大きかったです。

様々なロケットの模型やエンジンの実物が展示されていました。

 

その中でも私が最も見入ってしまったものが、1枚目の写真です。

「月面から見た満地球の出」です。

「満地球」とは、「満月」と同じようなもので、満ちている地球のことです。

月と地球と太陽の関係で、月から見た地球は欠けて見えることがあります。

「出」とは、月面の地平から地球が出てくることです。

地球で言う「月の出」のようなものです。

これが動画で流れていました。

本当に美しいものでした。

 

実物には訴える力があります。

 

この展示は残念ながら9月23日(この記事の公開日)までとなっています。

 

今回は、宇宙博に関連して、博物館や美術館などの施設と子どもの育ちの関わりについて書きたいと思います。

 

今回紹介した宇宙博のように実物に触れることは大きな教育的効果があります。

その効果を分類すると、次の様になります。

 

(1)興味を広げる

(2)理解を深める

(3)予習をする

(4)生活とつなげる

 

「(1)興味を広げる」は、博物館などで展示物を見ることで、今まで知らなかったことを知り、他のことなどにも興味が広がっていくことです。

教科書などで習ったもの(例えば、化石など)を実際に見ると子どもは非常に興奮します。

学校は、貴重なものなどは持っていないことが多いので、貴重なもの(化石や隕石など)は写真やビデオなどで紹介することになります。

博物館などにある実物には訴える力があります。

子どもはそれを敏感に感じ取ることができます。

こういったことがきっかけで学びが広がったり、深まったりすることがよくあります。

 

具体的な博物館:国立科学博物館(東京上野)、生命の星地球博物館(神奈川県小田原市)

 

 

「(2)理解を深める」は、教科書での学びをしっかりと理解することができます。

実物や模型などを見ながら、時には、実物に触れながら、理解を深めていくことです。

エリアによっては、実際に野外を観察するプランを設定している所もあります。

虫や花などを手に取って観察することで、植物や昆虫の作りの観察ができます。

教科書などでは一面的にしか見ることができなかったものを、立体的に多面的に観察することができます。

 

具体的な博物館:県立自然の博物館(埼玉県長瀞町)

 

 

「(3)予習をする」は、学校で習うものを事前に触れておくということです。

学校で教科書を使って学習する時に「あ、これは知っている!」となることが狙いです。

授業の中でも、積極的に発言をすることができるようになります。

博物館などには、様々な種類の展示物があります。

算数などでも予習をしておくことで、学校での授業での質が高まります。

苦手な子ども程、予習の効果が高いようです。

 

具体的な博物館:国立科学博物館(東京上野)

 

「(4)生活とつなげる」は、教科書で学んだことが、いかに生活に中で役立っているのかを知るということです。

教科書で習ったものが、どの様な形で、実際の暮らしの中で使われているのかを知ると理解が深まります。

例えば、科学技術館には、小学生が学校で学ぶ「モーター」「光」などを用いた展示がされています。

そういったものを見ることで、実際の製品の中でどのように科学技術が使われているのかを知ることにつながっていきます。

 

具体的な博物館:科学技術館(東京北の丸公園)、科学未来館(東京有明)

 

 

これまで書いてきたようなことは、それぞれの子どもの状態によって少しずつ変わってきます。

その子どもの興味関心によってアレンジしていくとよいかと思います。

基礎知識の乏しい場合は、解説の音声ガイドなどを利用することがおすすめです。

理解が非常に深まります。

それと共に、「予習」のようなことをしていくと理解がさらに深まります。

今回、例に挙げた宇宙博は小学生がそのまま見るには少し高度な面があります。

事前にパソコンを使ったり、テレビなどを使ったりして、基礎知識を得ておくと、理解が深まります。

 

博物館などを上手に利用し、子どもの育ちをより良いものにしていきたいものです。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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