教材と出会う
2学期がスタートして1周間が過ぎた北海道です。校内に子どもたちの声が響き渡り、活気が戻ってきました。
さて、長期休業は、子どもたちにとっては普段できないことにチャレンジしたり、親戚と会ったりと大切な時間ですが、私たちにとっても普段受けられない研修を受けたり、新たな教材を作ったり、時にはリフレッシュもしたりと大切な時間です。今夏の研修会については前回お伝えしたとおりですが、その研修会の一つで出会ったのが写真にある機器です。一つひとつの小さなモジュールが磁石でくっつき、電池とつなぐことで光ったり、音が出たりモーターが回ったりできる機器です。
非常に扱いやすく誰にでも扱えるサイズであること
壊れにくいこと
操作の結果がすぐに目に見えてわかること
うん、これは教材になる!!
と直感し、企業の方にお願いをして貸していただけることになりました。
どちらが先か!?
私たちは教材を作成する時に、学習のねらいから学習内容を考え、ねらいを達成するために教材を1から考えたり、複数の選択肢から選択したりします。基本的にはこの道筋をたどって教材をデザインし、作成します。そして実際の授業で活用しながら教材自体の評価改善を行います。私もそのとおりだと考えています。
ただし、これには多くの教材を知っている、活用したことがあるという前提があるように思います。学習のねらいに合った教材をすぐに考えたり、選んだりできる力が必要なのです。経験値も必要になってきます。
もちろん、一晩寝ただけですぐにできるようになるわけではありません。日々の自己の学びと経験、他者から得られる知識など複数の項目を絶えず意識していなければなりません。
ですから、時には「これは教材になる!!」ということから発想してもよいのかもしれません。これは「教材ありき」で「ねらい」がない、と批判されるかもしれません。しかし、「これは教材になりそう」と常に意識して生活していないと見つけることすらできません。
どちらが先か、ということではなく、子どもたちの学びにとって何が必要かということが大切なのではと私は考えています。
何を意識しているのか
- 子どもたちの特性に合っているか
- 興味関心がわくか
特別支援教育では、個に応じて教材を自作することが少なくありません。ですので、私が外出する時に頭の片隅にはほぼいつも「教材探し」があります。必要に迫られている時はもちろんですが、その他でも意識していることが多いです。ホームセンターに行ったり、おもちゃ屋さんに行ったり、時にはコンビニに行ったりした時も上の2点を主に意識して、教材を探しています。
具体的な構想
最初の写真の機器を見た時、私が担当している子どもについて浮かんだことは、
「順序性、色のマッチング、色と形のマッチング、指示理解、模倣、コミュニケーション」
でした。「手順書を確認しながら1から順につなげて完成させる」「色の見本を見ながら色マッチングしてつなげ完成させる」「色と形をたよりにマッチングして完成させる」「指示されたとおりにつなげて完成させる」「相手の動作を見て、その動作を模倣しながら完成させる」「他者とやりとりしながら一つのものを完成させる」などの活動をイメージすることができました。そして、つなげることですぐに光ったり音が出たりすることが子どもの特性によく合っていて、達成感を味わうことができるだろうと考えました。その達成感が次の学習へのモチベーションにもなりますので、この部分は特に大切です。
安易な発想かもしれませんが、教職経験がまだ少なかったり、教材のレパートリーが少なかったりする場合には、そんな発想の仕方でも、子どもたちの学びのねらいを達成するため、子どもたちの学びの質を少しでも高め、豊かにするためには必要なのかもしれません。
郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)
北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。
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