仙台の七夕に行きました。
私が育った神奈川県平塚市の七夕も大掛かりなのですが、仙台はさらに華やかな感じでした。
その中で気になったのが写真の飾りです。「ノーモアヒロシマ」と書かれています。
仙台の七夕は8/6-8に行われ、第二次世界大戦末期、原爆が投下された時期と重なります。
核廃絶や平和な世の中を作っていきましょうというアピールでした。
飾りのそばで、お年寄りの方が、熱心に原爆のこと、戦争のこと、現在の核開発のこと、日本の原子力利用のことなどについて話されていました。
七夕の願いごとに最も適したものだと感じました。
それと共に戦争体験者の存在の貴重さについて感じました。
終戦(昭和20年、1945年)は今から69年前です。
現在70歳の方は、戦争を体験していることになります。
しかし、実際に戦争の体験について語ることができるのは、80歳位から上の方なのだと思います。
終戦時10歳位であれば、そこでどんなことがあったのかをしっかりと語ることができるのだと思います。
そして、実際に戦場に兵士として出向き、苦労した人は、90歳位から上の方になります。
そういった貴重な体験をした人たちが徐々に減っていっています。
この数年が本当に大切な時期なのだと思います。
日本、そして世界において、多くの人が亡くなり、悲しい思いをし、心を痛めた人たちは、人類にとって大事な財産です。
そうった人たちの貴重な声を様々な形で受け継いでいくことができるのかが非常に大事なことなのだと思います。
政治の世界においても戦争を体験した世代は徐々に引退し、影響力を弱めているようです。
自衛隊の海外での活動や原子力の扱いなどについて、少し危い気配を感じます。
そういった時だからこそ、先ほど書いたように実際に戦争を体験した人の声が大事になってくるのだと思います。
こういったことを考えながら思い出したのが、海外での広島や長崎の捉え方についてです。
海外では、広島や長崎を非常にシンボリックなものとして捉えています。
以前訪れたニューヨークの国連本部では、広島で破壊され、その時刻で止まったままの時計が展示されていました。
私が訪れた時、メインの入り口の非常に目立つ所に展示されていていました。
また、ワシントンDCのホワイトハウスの前では、抗議活動をしている人が持っている写真の中に広島のものがありました。
アメリカでは、日本以上に広島や長崎のことをしっかりと捉えている人がいます(勿論、そうでない人もたくさんいますが)。
ところで、今の子ども達も、先ほど書いた80歳以上の方と同じ様に将来、非常に大切な存在になる可能性のある世代です。
以前、この内容については少し文章を書いたことがあるのですが、今の子ども達は、3.11の東日本大震災、津波、そして、その後の放射能の拡散などについて実際に経験をした世代になります。
その当時、私は小学校3年生の担任で、下校の準備をしている際中に地震に遭遇しました。
教室で子ども達と安全を確保し、その後、テレビをつけ、状況を把握しようとしていました。
そんな中、あの津波が東北地方を襲ってきたのです。
子ども達と一緒に生中継の映像を見ながら、皆、言葉を失い、まるで映画の様だと感じ、恐ろしくなったのを覚えています。
その後、私の住んでいる関東地方も様々なことが起こりました。ガソリンの欠品、停電、食品への放射能の影響などです。
東北地方の被災地の方に比べたら、苦労は少ないものだったのだと思いますが、日本中の全ての人が少なからず、苦労をし、被災地のことに思いを寄せていました。
今の子ども達(特に小学生以上)は、そういったことを自分が実際に体験をしている最後の世代になります。
エネルギーのこと、防災のこと、人とのつながりのことなど、将来、世の中が間違った方向に進みそうになった時、歯止めとなる可能性があります。
学校において教師はしっかりと子ども達と関わっていく必要があります。
今、日本では、未だ解決できていない東日本大震災の問題(放射能の問題、エネルギーの問題など)、自衛隊の海外活動の拡大など、暮らしや平和に関する難しい問題を抱えています。
人がしっかりと考え、しっかりと行動していかなければならないのだと思います。
そんなことを改めて感じた仙台の七夕でした。
※以前、似たテーマで書いた文章があります。興味にある方は読んでみてください。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。
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