2014.08.04
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小型ジェット機を用いた無重力での実験

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

夏休みに興味深い研修に参加することになりました。

 

航空機を用いた教員研修」というものです。

東京学芸大学の理科教員高度支援センターが実施するものです。

 

小型ジェット機で急上昇や急降下を繰り返し、無重力(正確には微小重力)の状態を作り、その状態を利用して、様々な実験を行うというものです。

募集が12人と少なかったのですが、なんと、そこにうまく選ばれました。

 

センターが指定する実験を行うのですが、それ以外に無重力状態における実験を提案し、可能である場合は行うことができます。

担任しているクラスの子ども(小3)などにも投げかけて、まとまったものが次のものです。

 

・飛んでいるトンボはどうなるのか?

・シャボン玉はどうなるのか?

・回っているコマはどうなるのか?

 

これらを参加申込書に書き、センターに送った所、参加することに決まりました。

健康診断も無事済んだので、数回の予備実験などを行い、8月の下旬にフライトの予定です。

 

無重力の実験への参加が決まってから色々なことを考えています。

申込書を送る時点でもそれなりに考えてはいたのですが、実際、参加が決定してからはさらに様々なことを考えています。

 

中高の理科の教員免許を持っているので「無重力の状態」というものがどんなものなのかは、一応、理屈としては分かっているつもりなのですが、実感として、感覚としてどうなのかということがよく分かりません。

専門の本を読んだり、ネットで検索などをしたりもしています。

 

分からないことも多く、「もやもや」した感じと「わくわく」した感じの入り混じった不思議な心境です。

無重力の状態など、普段全く考えないことなので、とても新鮮で、脳が活性化されてくるようにも感じます。

無重力の実験だけでなく、新しいことにチャレンジすることの意味はこういうことなのだと思います。

 

 

ところで、7/30に無重力状態での実験についての第一回目のレクチャーがありました。

 

物理学が専門の先生に基本的なことから説明をしてもらいました。

本当に面白かったです。

私は大学時代、「教育学部小学校教員養成課程理科専修」だったので、きっと今回聞いたような内容は聞いていたのだと思います。

けれども、生物に興味があったこともあり、当時は物理に関することにあまり真剣に取り組んでいませんでした。

今思い起こしてもあまり面白かったという印象は残っていません。

 

状況が変わり、違った立場で物理の話を聞くと、感じることが全く違ってきます。

その人のモチベーションがその人の学びに大きな影響を与えるということをまざまざと感じています。

大学時代の私は、卒業のための単位が取れればよいと思いながら物理の授業を受けていました。

確か物理の授業は、一度でクリアーできた(と言っても「C」でしたが・・)のですが、化学に関する授業は、一度単位を落とし、4年の後期にギリギリでクリアーしました。

その成績は勿論「C」でした。

あまり興味がなかったので、面白味も感じなかったのだと思います。

 

それが今のような状況(小学校の教員を20年続けた、微小重力の実験に参加予定、色々な論文などを書いてきたなど)では、聞くこと聞くことが本当に面白いのです。

物理の先生の話に聞き入ってしまいました。

他の参加者とのディスカッションでも良い刺激をたくさん受けました。

 

ちょっと大げさなのですが、レクチャーの帰り道、それまでとは、世界の見え方がまるで違って見えました。

「重力」というキーワードが常に頭の中にあり、見るもの見るものについて、無重量の実験では使えないだろうか、仕組みはどうなっているのだろうかと思えてくるのです。

車を見ても、風でそよぐ葉っぱを見ても、飛んでいる鳥を見ても・・・。

脳が活性化しているのがよく分かります。

 

帰り道、更なる刺激を求めて上野にある国立科学博物館へ訪れようとしました。

しかし、ホームページを調べてみると、なんと閉館時間が迫っていました。

急いで行けば間に合うかもしれない時間だったのですが、それでは30分しか見ることができない状態でした。

 

そこで、予定を変更し、秋葉原の電気街へ向かうことにしました。

秋葉原では、変な恰好をした人たちがたくさんいて、ある意味刺激を受けました。

それ以上に面白かったのが、家電売り場と子どものオモチャ売り場です。

見ていて気になったものは・・・。

 フードプロセッサー

 自動掃除機

 タンバリン

 模型の車

 宇宙コマ など

タンバリンは通常の重力下では、重力の影響で金属板の動きが小さくなり、しばらくして音が収まるのだと思います。

もしかしたら、無重力状態では、ずっとなり続けているのかなあなどと思いを巡らしながら幾つかの電気屋を回りました。

 

脳科学者の茂木さんの本に書いてあった脳にスイッチが入ったような状態なのだと思います。

 

本当に楽しい日々です。

 

色々なものに感謝です。

 

 

実際のフライトは8月22日を予定しています。

報告を楽しみにしていてください。

 

 

追伸

 面白いアイデアをお持ちの方はご連絡いただければ、実施可能かもしれません。

 私が研究で使っているHPがあります。

 そのページを経由して連絡ができます。

 お待ちしております。 

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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