今回のつれづれでは、国語科の教科書を子供にわかりやすく教えるためのリライト教材をご紹介します。
リライト教材とは、そもそもは外国人の子供たちに対して、教科書本文を子供の日本語力に対応させて書き換えた教材です。
そして、リライト教材を活用した国語科の学習は、発達障害をもつ子供にも効果があると報告されています。
私は、2年生の教科書に載っている「いなばの白うさぎ」(光村図書・2年上巻)でリライト教材を作成してみました。
作成の際のポイントは、
(1)主語を冒頭にもってきて、行為の主を明確にします。
(2)ある程度のところで改行する。1~3文節程度だと読みやすくなるようです。
(3)改行するときは、(縦書きの場合は)一文字下げると、視認性がよくなります。
たとえば、教科書では次のような一文があります。
「なんとか して、海を わたって この 国へ きたい ものだと 思って いたんですが、ぼく およげないんですよ。」(スペースは教科書ママ)
これをリライトすると
「ぼくは、
なんとか して、
海を わたって
この 国へ きたい ものだと
思っていました。
ぼくは、
およげないんですよ。」
と、いう感じになります。おわかりでしょうか?
このリライト教材を、私が担任する特別支援学級で使用したところ、内容の読解においてとても効果が見られました。
難点は、作るのに結構時間がかかること。
怠け者だと、叱られてしまいそうですが。この教材を、教員仲間に見せたときも「うわー、わたしには作るの無理」という反応でした(笑)。
いつの日か、コンピューターが画像を読み取り、ワンタッチで作れるようになる「リライト教材作成ソフト」を開発してくれる人が現れますように!
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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