2014.07.01
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「教師の多忙さ」とその中でできること

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

 経済協力開発機構(OECD)は6月25日、OECD国際教員指導環境調査(TALIS)を発表し、日本の教員の1週間あたりの勤務時間は53.9時間で、34か国・地域でもっとも長いことが明らかになったそうです。

 

 今回は「教師の多忙さ」について書きたいと思います。

 

 教員の仕事において、学習指導に掛ける時間については、多くの調査国と日本での違いはなかったそうです。大きな差があったのが、それ以外の部分の仕事だったそうです。

 調査にあったように私も忙しい毎日を送っています。大事な仕事である学習指導をはじめとして、様々な事務仕事などにも取り組んでいます。そういった中で、自分が担当している部分において、トラブルやミスを発生させないように配慮をしています。

 具体的には、学級担任であれば、自分の担当しているクラスにおいて、防ぐことのできるトラブルを減らすように心掛けるということです。

 

廊下を走らないように指導し、けがなどが起こらないようにする

クラスでいじめなどが起こらないように指導する

配布物のミスをなくす など

 

こういった学級担任としては当り前のようなことを「きちん」と「しっかり」とやっていくことが大事なのだと思います。そうすることで、トラブルの後の対応のための時間を減らすことができます。「けが」や「いじめ」が発生すると、それらの対応で多くの時間が必要になります。学校で怪我が発生した場合、ケガの手当、管理職などへの連絡、親への連絡・説明、見舞い、事故報告書の作成などで多くの仕事をする必要があります。怪我を防ぐために費やす時間や労力はそれ程大きなものではありません。その部分で手を抜かず、きちんと取り組んでいくことで、怪我などを最小にすることができます。怪我だけでなく、学級での全てのことにこのような配慮を行っていきます。

 逆に、こういった配慮ができてない状況を想定します。クラスにおいて、日々の細やかな配慮が欠けた状況では、先ほど、書いたように子どもが怪我などをしてしまいます。そういったことに対応することで、他の部分に隙のようなものができ、さらに怪我が起こり、いじめなどの人間関係のトラブルなども発生してしまうことがあります。そうしているうちに教師にとって最も大事であるはずの学習指導に多くの時間やエネルギーを掛けることができなくなってしまいます。授業の質が下がると、子どもによっては、教室で騒ぐようになったり、教室から抜け出してしまうようになったりします。教師が対応しなければならないことがたくさん発生し、対応できなくなってしまいます。こういった状況は学級崩壊の一歩手前と言えるでしょう。教師は肉体的に、精神的に調子を崩し、療休に入ってしまうことや退職につながってしまうこともあります。学校全体で対応し、何とか持ちこたえ、年度末まで担任を続けることができる場合もあります。

 

 日々の学級指導などにおいて、「先手」の意識で取り組んでいくことが、質の良い状況を維持することにつながります。逆に、対応が「後手」に回ると、不のスパイラルに陥ってしまう可能性があります。

 

 1学期も残りが少なくなってきました。

 

 すべき事を「先手」で取り組み、余裕を持った状態で学期末を迎えたいものです。

 

 もうひと踏ん張りです。がんばりましょう。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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