2014.06.20
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

行事でチカラをつける(2)

兵庫県姫路市立坊勢小学校 教諭 宗実 直樹

 

 今、我がクラスは児童集会の発表に向けて「劇」づくりに励んでいます。

オリジナル時代劇を創ると意気込み、休み時間もせっせと作業、練習をしています。

自分たちで話合い、自分たちで決定し、自分たちで責任をもって活動することによって身に付く主体的な力を大切にしたいものです。

 

 

 さて、先日、6月14日、北海道の山田洋一先生をお招きし、姫路で「第2回学級力向上セミナー」を行いました。

その時に『学校行事で学級力up!』と言う題で実践発表させていただきました。たった20分で伝えきることは難しかったですが、私の拙い実践を、山田先生が見事に分析し、価値づけてくださりました。

実践を記録し、分析することで、さらに自分の実践を改善していけるようにしなければいけないと強く思いました。

 以下、その時の発表よりも少し詳しく当時の様子を書き記していきたいと思います。

当時の記録を掘り起こすことになるので、少し日記風になりますが…。

前回記事の続き、自然学校の具体についてお話させていただきます。

 

 

☆1日目『出逢いの日』☆

 海から山へと移動する子どもたち。
山や田、川を見るのも珍しい子どもたち。
新しい場所で、新しい人・モノ・コトとの出逢いを大切にします。
 

【シンボルづくり】

 野外活動センターに到着しての最初のプログラム、各班の旗立シンボルづくり。

班で協力して、自然物、空間を変化させる。

図工の造形遊びと関連づけている。

作品の完成を目的にしているのではなく、活動そのものを楽しんだり、活動する中で想像を広げたりすることに意味がある。

活動しながらどんどんイメージが変わってきたらいい。

「色」をふんだんに活用したり、「空間」を限定したりしながら、なかなか面白いものができた。5日間、これが残る。この空間を大切にさせる。

自分たちの班の「絆」がここにある。

 

【他校との交流会】

 司会進行はワイワイ係の人たち。ワイワイ係は忙しいが、がんばってくれていた。

まずは坊勢の紹介。

リズムに乗りながら紹介。

体を動かしての活動は、やはりこの子たちらしい。

人数比でいうと約1:4。そんな人数差を前にしても、表現できることはすばらしいこと。

ようやく表現できるようになってきた、と言った方がいいかもしれない。

「アホになる時はアホになる。」

子どもも大人も、大切なことだ。普段からこのことは徹底して伝えている。

それにはまず、私が一番アホになることからなのだが…。

 他校との交流ゲームでは、キャンプリーダーさんが盛り上げてくれる。

一人でいいから他校の子の名前を覚えてほしい。そして、逆に名前を覚えてもらいたい。

こういう時の出逢いは、けっこう続いたりするものだ。

 

 

☆2日目『団結の日』☆

 一日目で慣れて、二日目でよりいっそう団結していけるようにします。そういうプログラムを意図して組み立てます。

 

【極上!にぎり飯大会!】

 4月に飯ごう体験をしていることもあって、前回よりスムーズに火おこしもできている。

前もってグループで作るにぎり飯を考え、材料も自分たちで考える。

それぞれのグループのにぎり飯は本当にユニーク。

卵で巻いたり、雪だるまの形にしたり、混ぜ合わせたり…。

「おにぎり」という形から、創意工夫する過程があり、見ている方も楽しく感じた。

それにしても、上手に三角おにぎりがにぎれる子がいたことには驚いた。

 さて、校長先生はNo1を決めなければいけない。難しいな…。大変な役だw

 食事の後は地獄の洗いもの。何度も何度もやり直しをさせられる。

4月の西島で経験しているからよく分かっている。甘くない。徹底する。

何度もやり直しをさせられても、そこでぶつぶつ言わずに明るくやり直しができる心が大切。

それができるのとできないのとでは大きく違う。

しんどいことにも負けずに明るく笑顔。そういう人に人は心を動かされる。

そして、細心力。

細かいことまで気をつける。細かいことに意識を向ける。細かいことにこだわる。

小さな意識が大きな成長に繋がる。何度も何度もあきらめない。

 

【キャンプファイヤー】

 自然学校のひとつのメインイベントとも考えられるキャンプファイヤー。

テーマは、とにかく「心の底から楽しむこと」。

スタンツはしない。やっても見えにくい。なので、ゲームや踊りメイン。

ただただアホになって思いっきり楽しめば良い。楽しさを仲間と共有できれば良い。

自分の心を解放する楽しさを自然学校前半で味わうことに意味がある。

 教頭による猿神様からはじまり、たくさんのゲームや踊り、様々なパフォーマンス。

モグラのダンス♪ダイコンニンジンカブラ♪で~ましょでましょ♪

…それぞれの歌とリズム、自然学校が終わってもきっと口ずさむことになるだろうな。

キャンプリーダーが大いに盛り上げてくれた。

火の神も出没していたみたいだが…。それは置いておこう。

 しかし、子どもたちはすこし疲れ気味だった気がする。

いつもの「はじけ感」がない。

一日目の夜、調子に乗りすぎて、夜更かしするからだ。自分の体をもってして感じる。これも勉強。

今日は、絶対に、寝る!だろう。明日はもっと元気に会いましょう!

 

 

☆3日目『挑戦の日』☆

 様々なことに挑戦させます。1日、班の仲間と協力し、知恵をふりしぼり、冒険へ出かけます。
夜は子どもたちの自主企画。
自分の内なるものを開放・解放し、ある意味自分をさらけ出す挑戦です。

 

【極上!チャレンジアドベンチャー】

 いよいよこの自然学校でのビッグイベント!チャレンジアドベンチャー!

冒険の旅へと旅立つ勇者(?)たち。

山崎町内各地(店)に散らばる魔法の書を集め、そこに書かれた謎を解く。

そしてどこかに潜む「魔人アカシロン」を見つけだす。

行き先、行く順番など、すべて自分たちのグループで決める。

正に自分の頭をフル活動し、自分の足で行動し、仲間と協力しなければ絶対に成り立たないイベント。

事前に計画を立て、冒険中も、グループで相談することが多くなると思う。

困ったこと、分からないことも多くあると思う。

それでもみんなで知恵をふりしぼり、チカラを合わせれば、乗り越えられることを経験して学んでほしい。

 子どもたちの話を聞いてみると、それぞれのチェックポイントで随分親切にしてもらったようだ。知らない土地で、人に優しくされたとき、人はほっと温かい気持ちになる。

そのような経験を通して、人と人との繋がりの素晴らしさを感じとってくれるといい。

それぞれのお店へのお礼もきちんとできた。「ありがとうございました!」

 トラブルも多かれ少なかれあったようだ。どうにかしようと必死で行動している子もたくさんいた。こういう時に即座に行動できる子はやっぱりかっこいいと思う。

その時の話をきいていると、一人一人の子の素の姿が思い浮かぶ。

 明日の感謝祭の食材も自分たちで考えて調達できたみたいだ。

与えられた金額ぎりぎり上手に買い物をしている。たいしたものだ。

あすの感謝祭は、「お•も•て•な•し」の心をもってみんなにふるまいたい。

 ゴールした時にいただくアイスクリーム。無言で味わっていた。

本気でがんばった後だから、極上においしかったと思う。きっと今まで食べた中で一番美味しかったのではないだろうか。

並んで食べる姿は極上にかわいい(^_^)

 「明日、体調を崩した○○さんが戻ってこれそうだ」、との連絡あり。

本当に嬉しかった。それをみんなに伝えた時の拍手喝采。

これこそ仲間を想う気持ちだと思う。

 

【極上!坊勢っ子のしゃべり場】

 子どもたちの自主企画。係の子が中心になって計画を立ててくれていた。

歌を歌い、今だから言える話や夢の話など、思い思いのことを話す。聴く。笑う。

いろんな想いも伝える(告白)。勇気もいったと思う。この子たちらしい。

しかし、この気持ちを大切にしてやりたい。  

 

 今日は、チームとしての絆がよりいっそう深まった気がする一日だった。

最高に気持ちよく眠れるだろう。

さて、明日はどんな一日が待っているだろう。ドキドキワクワク、明日が待ち遠しい。

 

 

☆4日目『感謝の日』☆

 私の学級経営の柱の一つとして「感謝」は欠かせません。仲間に感謝。お世話になった人たちに感謝。リーダーさんに感謝。親に感謝。家族に感謝…。たくさんの「感謝」の心をいっぱいに表す日にします。親元を離れ、仲間と共に過ごしてきたからこそ分かる「感謝」があります。

 

 今日は「感謝の日」。「感謝」の2文字を全面的に前へ出していく日だ。

たったの5日間だが、感謝すべき人はたくさんいる。

それを意識して過ごしてほしい。そしてそれに気づかせたい。

 朝からTEAMパーティー会場の準備をする。

風船を膨らまし、色とりどりの会場へと変える。

「仲間+内容+雰囲気」がセットで揃えば極上になる。

特にワイワイ係は、最後まで会場づくりをしてくれていた。

 その後、各場所でダンスの練習をする。さて、どんなダンスになるか、本当に楽しみ。

子どもたちもきっと大いに盛り上がるに違いない。

 

【おもいっきり感謝祭】

 チャレンジアドベンチャーで購入してきた食材で感謝祭の料理を作る。

もうすぐ終わろうとしている自然学校。

お世話になった方々や仲間たちに感謝の気持ちをこめて、料理をふるまう。人のために、つくるのだ。

それぞれの班でそれぞれのメニューづくりが行われる。

もう慣れたものだ。手際よく準備が行われる。

それぞれ役割分担がしっかりとでき、一人ひとり自分の責任を果たしていた。

さて、お世話になった方々、そして仲間たちに感謝の気持ちをこめて…「いただきます!!」

 1班の温玉スパゲッティ、ゆで卵と麺の相性が抜群で、いくらでもツルツルと口の中に入ってくる。

2班のTEAMオムライス、卵で巻くのは難しい。しかし、中のケチャップライスはナイスなおいしさ!

3班のスペシャルお好み焼き、しっとりふっくら、食べごたえ抜群!

4班のごっそり焼きそば、ソース味がしっかりとついて、こくのある美味しさ!

5班の手巻き寿司、酢のバランンスばっちり!疲れも吹っ飛ぶおいしさ!

 すべて、お世辞ぬきにおいしかった。今まで食べた野外飯ごうの中で一番かもしれない。

子どもたちは味わう間もなくがっついていた。みな、満足!!みな、ありがとう!!

 

【TEAMパーティー】

 いよいよ最後の夜。極上!TEAMパーティー。

最初はワイワイ係によるゲームで楽しむ。

次は各班のスタンツ。台風の影響で練習時間を十分にとれなかったため、少しダラダラとなってしまう。

こういう時に時間意識を持って取り組めるようになることが今後のこの子たちの課題だ。

 校長のギター演奏、キャンプリーダーの光のパフォーマンス、すばらしかった。

 そして、いよいよダンス甲子園。各班のダンス。すばらしい!

やっていく内に熱を帯び、見ている方も総立ちで踊りまくる!

すごいライブ会場になっていた。

みんなで歌えるクラスに悪いクラスはない。みんなで踊れるクラスに悪いクラスはない。

経験から言える。みんなでこれだけはじけて盛り上がれることは本当にすばらしいことだ。

こういうクラスは、「やる時には、やる!」。…と信じている。

気持ちのいい汗をかきまくっていた。

職員のサプライズダンスにも度肝を抜かれた。

教師もやる!ほんといい学校だと思う。

 そして、最後のキャンドルサービスへ。

校長より、ふり返りの言葉をいただき、一人ひとりに分火していく。

真っ暗な中、キャンドルの光だけがゆらゆらと浮かぶ。

キャンドルの炎を見つめながら、様々なことを考えていたに違いない。

私も想いをこめて語る。

四日間をふり返る。いろんなことがあった。

そんなことを考えるうちに涙を流す子もいる。

そして最後に子どもたちに極上のプレゼント。

家族からの手紙。

その手紙を読んで号泣する子どもたち。

4日間を思い返して涙を流していた子もいるだろう。

キャンプリーダーとの別れが寂しくて涙を流した子もいるだろう。

家族が恋しくて涙を流した子もいるだろう。

様々だとは思うが、「感動」と「感謝」を共有することができた。

そして、それらを共有できる「仲間」がいること。

これほど素晴らしいことはない。

会場の出口には「絆」のキャンドル文字。

家族との「絆」、仲間との「絆」、ずっと、大切にしてほしい。

この夜のことは、きっと一生忘れないと思う。

 

 

☆5日目『旅立ちの日』☆

 以前、最後の日にもプログラムをよく入れていましたが、最後の日は、完全にフリーで、ゆっくりおしゃべりしたり、リーダーさんと遊んだり、自然散策したり、自然とふれ合ったり…。そういう余裕のある時間にしています。ゆったりと思い出をふり返りながら、人・モノ・コト、場所、空間を心に焼き付けて帰りたいです。

 

 自然学校最後の日。長いようであっという間の5日間。

大掃除をする。「来た時よりも美しく。」

当たり前のことだが、感謝の気持ちがあるのなら、自然とそういう気持ちになるものだ。

 あとは思い出タイム。

川に入ったり、リーダーさんと遊んだり、栗を焼いたり(?)、野外活動センター内でゆっくりと過ごす。

 そして退所式。お礼の言葉、○○さんが気持ちをこめて言う。すばらしかった。

バスに乗り込み、姫路港へ。

バスの中ではアカペラのカラオケ大会がはじまる。どれだけ元気なんだ…w。

 キャンプリーダーとは姫路港でお別れ。

2人からの言葉を聴いた後、みんながこっそり用意していたお礼の色紙を渡す。

感謝の気持ちをいっぱいに書き綴った色紙。

その時のお二人の嬉しそうな顔が印象に残っている。

また、会えるといいなぁ。

 さすがに疲れたのか、船の中では眠ってしまう子も数名。

しかし、ほぼ元気すぎるぐらい起きていた。

○○さんは船の中で到着の言葉をしっかりと確認し、練習していた。立派だ。

 そして奈座港到着。懐かしい感じもする。

解散式をはじめ、○○さんが到着のあいさつをする。

たくさん学んだこと、感謝感動がしっかり伝わるあいさつだった。

「帰ってまず何したい?」

「ゲームする!」「炭酸一気飲み!」「とりあえずお風呂!」「お菓子食べる~!」

うんうん、それが当たり前のようにあるありがたさが分かったでしょう。

連休明け、元気に会うことを約束して

「さようなら!!」

 そして自然学校が終わった。

これを機会に、子どもたちはまた変わると思う。

そう感じた「極上の」自然学校だった。

 

 ちなみに、その当時のキャンプリーダーさん、秋の音楽会や、6年生になった春の運動会まで、わざわざ島へ見に来てくれました。子どもたちは極上に喜んでいました(*^_^*)

 

 

 さて、次の行事もねらいとめあてを明確にもち、子どもたちにしっかりチカラをつけていきたいと思います。

そして、子どもたちにとって最高の思い出にもなるように…。

 

 長文、読んでいただきありがとうございました! 

宗実 直樹(むねざね なおき)

兵庫県姫路市立坊勢小学校 教諭
特別活動を学級づくりの中心に、「字をかき、汗をかき、恥をかき、頭をかき」ながら、子どもたちと共に伸びていく姿勢を大切にしています。日々是好日。地道に一歩ずつ精進していきたいです。

同じテーマの執筆者

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop