「学級の安定こそが学力向上につながる。」
と、とある校長先生に先日ご指導いただいた。
学級が荒れている、そんな状況では、学力なんかおぼつかない。
それはそうだろう。簡単にイメージしやすい。
けれど、これは学級とか学校だけのことではない。
例えば、家庭。
家庭だって、安定していた方がいいに決まってる。
あの子も安定した家庭の子ならもっと伸びるのに・・・と、無責任に思う教員は多い。
例えば、国。
国だって安定していた方がいいに決まってる。
教育力が上がれば、国家の力も高まる。有名な話だ。
例えば、人間。
人間だって人格が安定していた方が学力は伸びるだろう。
邪念ばかりじゃ、テスト前の勉強がおぼつかなくなるのは、みんな知っている。
「学級の安定こそが学力向上につながる。」
個人で学力を上げる方法はたくさんある。
たくさん教材が開発されている。学力だけをあげるのであれば、本屋さんにいけばたくさんツールが売っている。
学級が安定するようなツールってあるのだろうか?
学級が安定すれば、学力が上がる。
それなら、ツールでもなんでも頼って、学級安定を目指すべきでは?
いやいや、結局、ツールに頼った学級安定は、教員にとってつまらないのだろう。だから、あったとしても流行らない。
教員だって、生身の人間。
おもしろいな、つまらないなといった感情で日々動いている。
どうしても、教育ツールは、子供目線で作られることが多く、使う教員のことはあまり考えられていない。
いや、違うな。教員が使いやすいように考えられているのだけども、教員という職業集団の感情の幅広さに気付いていないのかも。万人受けするものは、結局誰もが使いにくい。
ツールを開発する人は、そういう教員という職業集団の感情の機微に気付いたほうがいい。ナイーブさや、デリケートさに(笑)。
校務のIT化なんかもそうかも。
もちろん助かる教員も多かった。でもついていけずに、相当な学級安定の技量をもった教員が苦しんでいたりする。
結局、ひとりひとりのニーズに合わせたということになってしまうのかな。
ひとりひとりのニーズに合わせるのは特別支援教育の本筋!
特別支援教育のノウハウが、なにか大きな発明につながる日がくるのだろうか。社会全体に影響を及ぼすような。
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
同じテーマの執筆者
-
東京都立白鷺特別支援学校 中学部 教諭・自閉症スペクトラム支援士・早稲田大学大学院 教育学研究科 修士課程2年
-
東京都立南花畑特別支援学校 主任教諭・臨床発達心理士・自閉症スペクトラム支援士(standard)
-
富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
-
北海道札幌養護学校 教諭
-
東京都立城北特別支援学校 教諭・臨床発達心理士
-
福島県立あぶくま養護学校 教諭
-
東京都立港特別支援学校 教諭
-
京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会
-
福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士
-
信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
-
在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
-
静岡市立中島小学校教諭・公認心理師
-
寝屋川市立小学校
-
目黒区立不動小学校 主幹教諭
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)