2014.06.04
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行事でチカラをつける

兵庫県姫路市立坊勢小学校 教諭 宗実 直樹

 

 運動会の練習もいよいよ大詰めです。

撮りためていた動画や写真をすべて観ていきました。

組体操に取り組む姿勢、態度、表情が変わってきていることがよく分かります。

「どうしても成功させたい!!」

そんな気持ちがひしひしと伝わってきます。

諦めずに何度も何度も挑戦したり、歯を食いしばって耐えたり、仲間を思いやる言葉をかけたりする姿は、練習はじめでは到底みることができなかった姿です。

今の彼ら彼女らを見ていると、

「本気で一生懸命生きています!!」

ということを感じずにいられません。

心の底から、

「成功させてやりたい!」

そう思います。

 

 

行事で

 「運動会」という行事を通して、子どもたちは大きく成長しようとしています。

「仲間を思いやる心」
「諦めずに挑戦する心」
「一生懸命努力する心」
「自分に負けない耐心」

しっかり心の根を太くしてくれています。

 

 さて、運動会の他にも、この先には宿泊的行事も多いのではないでしょうか。

宿泊的行事になると、つい力が入ってしまう自分がいます。

私自身、そういった活動が大好きだからなのでしょう。

「素敵な思い出」をみんなでつくると共に、せっかくの学校を離れた場での経験を大いに生かして、しっかり力をつけさせたいものです。

 

 

自然学校

 兵庫県は、5年生なると、4泊5日の宿泊体験「自然学校」があります。(以前は5泊6日でした。個人的には5泊がよかった!)

昨年度、

「自分の心で考えよう。自分の足で行動しよう。仲間と手をつなごう。チカラをつける 極上!自然学校」

をテーマに取り組んできました。

 

◉自然学校のねらい

自然学校でのねらいははっきりとしています。

 (1)自分で考えて行動し、自立した生活を送れるようにすること。
 (2)いっぱいの心揺さぶる感動体験をし、たくましく豊かな心を育むこと。
 (3)仲間や家族、自然など、自分の身の回りにいる人やものに深く感謝できる心を育むこと。

この3つは外せません。

ねらいがはっきりしているので、自然学校後にあるべき子ども像もはっきりしています。

もちろん、たった5日間で子どもたちがすぐに変わることなんてあり得ませんが、変わるきっかけとしての一つの行事にしたいと思っています。

「子どもが育つ行事」にしたいと思っています。

 

◉ねらいに沿った計画

 「こんな子になってほしい!」ということを明確にして計画に取り組みます。

ねらいに即して、特色ある活動に。

「おもしろくてワクワクする活動」を仕組んでいきます。

「感動体験のある活動」を仕組んでいきます。

「多少負荷のある活動」も仕組んでいきます。

楽をして楽しいことはあり得ません。

活動の中から協力せざるを得ないような活動を仕組んでいくことが大切だと思います。

 

 ただ、それらの活動をみんなで楽しむため、とにもかくにも、まずは集団行動を徹底させます。

5分前行動を基本にします。

当然1秒でも遅れようものなら集合やり直しです。

履き物も徹底して揃えさせます。

厳しいところは厳しく。

規律あるからこそ、楽しさが引き立ちます。

価値ある厳しさと価値ある楽しさを愉しんでいきたいものです。

 

◉毎日のテーマを決める

 1日1日、どのような日にするのか「めあて」をもたせるためにも、1日1日にテーマを決めます。

例えば、

1日目「出逢いの日」

2日目「団結の日」

3日目「挑戦の日」

4日目「感謝の日」

5日目「旅立ちの日」

といった風に。

それらのテーマを意識した活動を具体的に仕組んでいきます。

昨年度の自然学校であれば、大まかな活動として

○1日目 「出逢いの日」

・極上!シンンボルつくり!(造形遊び)

・他校との交流会での極上!学校紹介!

○2日目 「団結の日」

・極上!握り飯大会!

・極上!ドッボン 滝壺滑り!

・極上!団結キャンプファイヤー!

○3日目 「挑戦の日」

・極上!チャレンジアドベンチャー!

・極上!坊勢っ子のしゃべり場!

○4日目 「感謝の日」

・極上!思いっきり感謝祭!

・極上!TEAMパーティー!

○5日目 「旅立ちの日」

・ゆ~っくり思い出タイム

 

 テーマを決め、そのテーマに沿ってどういう1日にすべきなのか、常に意識させておきます。

 

◉1日のおわりには

 1日のおわりには「TEAM会議」を行い、円になって、1日いっしょに過ごした仲間へ「ありがとう。」の気持ちを伝え合います。

そして、ホワイトボードを使って本日のふり返り、そして明日の計画、めあてを確認します。

1日の終わりを気持ちよく、意味のあるものにして締めくくります。

そこで書いたものは次の日まで残しておきます。

朝にも確認できますし、仲間の言葉をまた朝に見て、やる気を喚起させます。

 

◉非日常の気分を大切に

 非日常の場では、いつもと違った雰囲気があります。

そんな中で、普段は見せない子どもたちの一面をたくさんみることができます。

普段聞けないような何気ない話を聞いたり、また時間をとってゆっくりと話をしたり、子どもたちとの交流の時間も大切にしたいものです。

「あまりキツキツの予定にしない」ことも大切だと思います。

常に余裕とゆとりをもって。

子どもの「声」をたくさん聴けるように。

 

 

 次回は、自然学校1日1日の活動の「具体」をお話ししていきたいと思います。

宗実 直樹(むねざね なおき)

兵庫県姫路市立坊勢小学校 教諭
特別活動を学級づくりの中心に、「字をかき、汗をかき、恥をかき、頭をかき」ながら、子どもたちと共に伸びていく姿勢を大切にしています。日々是好日。地道に一歩ずつ精進していきたいです。

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