2014.05.28
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法教育の学級指導への活用

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

今回は、「学校教育活動と法律」について書きたいと思います。

 

学校は、法律に基づいて日々の学校教育活動が行われています。

日本国憲法を始め、学校教育法などの様々な法律がベースとなっています。

法律というと、教師にとって何となく「しばられる」もののように感じてしまいます。

しかし、私は、法律は、教員にとって「しばられる」ものではなく、自分自身を「守ってくれる」ものだと思っています。

そう思えるには、少し勉強が必要ですが・・・。

 

ところで、法律が関わっているのは、教員だけでありません。

日々、子ども達も法律と関わった暮らしをしています。

日本には非常にたくさんの法律があります。

子どもに関わるものもたくさんあります。

法を犯してしまった時、「知らなかった」では、済まされません。

学級において、しっかりと伝える必要があるのだと思っています。

 

学校に関わることを中心に具体的に説明をします。

 

暴力の法的意味

・傷害(暴力をして、けががある場合)

  →15年以下の懲役 刑法204条

・暴行(暴力をして、けがのない場合)

  →2年以下の懲役 刑法208条

 

こういったことを子どもに伝えるだけで、子どもは非常に驚きます。

子ども達は、時に友達をぶってしまうこともありますし、時に怪我をさせてしまうこともあります。

そういった行為が世の中のルールとしては、これ程厳しいものだということを恐らく初めて知ることとなります。

 

他にも、子どもが何気なくしてしまっていることの中に法的に問題があることは次のようなものがあります。

 

・もの隠し → 窃盗(刑法235条 10年以下の懲役)

・もの壊し → 器物破損(刑法261条 3年以下の懲役)

・悪口   → 名誉棄損(刑法230条 3年以下の懲役)

 

実際の子どもの扱いに関しては、少年法が適用され、大人と同じではありません。

場合によっては、大人の刑務所ではなく、少年院に入れられることになります。

 

 

また、学校における暴力などに関しては、学校教育法に「出席停止」という規定があります。

これは、インフルエンザなどの病気の感染を予防するために学校保健安全法で定められている「出席停止」とは、少し意味合いが違っています。

学校教育法35条の規定では、「出席停止」を次のように定めています。

 

「次のような行為を繰り返し行い、他の児童・生徒の教育に妨げがあると認められる場合、その保護者に対して市区町村の教育委員会が出席停止を命じることができる。

1.他の児童(生徒)に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える行為

2.職員に傷害又は心身の苦痛を与える行為

3.施設又は設備を損壊する行為

4.授業その他の教育活動の実施を妨げる行為」

 

実際に適用されるケースは少なく、全国で年間数十件だそうです。

件数はあまり多くなくとも、そういったルールがあることを伝えるのは、とても大事なことだと思います。

 

今回話題にしているような法的な知識を教員や子ども達が知っていることは大事なことだと思います。

教師がこういったことを考えなくてはならない状況は、悪さをする子どもがいて少し困っているような時かもしれません。

子どもがこういった法律的知識を知ることで、意識がかわり、様々な行動が変容する可能性があります。

積極的に子どもたちに伝えていく必要があるのだと思っています。

 

皆さんがうまく子どもと関われることを願っています。

 

 

 

私の様々な実践などを記録したHPがあります。

興味のある方はご覧ください。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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