2014.05.26
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ICT活用事例

北海道札幌養護学校 教諭 郡司 竜平

札幌養護学校 ICT-PJTの取り組みから 

 昨年度、本校の小学部プロジェクトチームで取り組んできたICTの活用について、その一端を事例としてまとめました。

 各事例につきましては「実践事例」をご覧いただければと思います。なんとか形としてまとめることができました。

 

 この取り組みで、私はプロジェクトリーダーの立場から、前回こちらにも書かせていただいたように、タブレット端末を「魔法ではない」日常のツールの一つとして活用することを意識して取り組みました。そして、とにかく「実践的であること」をチームの仲間に意識してもらうように進めました。活用の基本ラインをチームで共有しましたが、そこから先は子どもたちのニーズと指導・支援のねらいに応じて、各学年、学級、教員のアイディアと評価・改善の取り組みだったかと思います。そして、各自が実践した内容をすぐにチームで共有できたことがこのチームの強みでした。こうして実践的に積み上げてきた事例です。

 今回の事例をまとめる際には、どんな方にも事例を見て、「お!うちの子どもたちにもできそう!」「すぐにやってみたい!」「今より成果があがるかも!」と思っていただけるようできるだけ簡素にしました。主に「視覚的な支援」にターゲットをしぼった取り組みで、そこは予想どおり、予想以上の成果を上げることができたと考えていますし、その取り組みの中から派生していろいろな活用例を見いだせたので、今後の活用を考える上で大きかったのではないかと考えています。

事例を一つだけピックアップ

 校内オリエンテーリング

 この学習は、私が今年度持ち上がりの学年で担当した小グループでの学習です。

新年度を迎えてすぐの学習でした。グループ別で校内を巡り、新年度の教室や先生を知ろうというのが主な狙いでした。

昨年度この学習を構成した時には、「教師と一緒に」校内を巡り、教室や先生を知ろうだったと記憶しています。そこで、今年度は「一人ひとり」「自ら動いて」校内を巡ることをグループの学習目標としました。できるだけ私の出番を減らし、子どもたちが自ら活動する学習を構成したいと考えました。具体的には、一人ひとりが手順書、指示書を見て、校内を巡るイメージで固まりました。

 グループの子どもたちは昨年度も多くの授業で担当していた子たちが多く、一定レベルでタブレット端末を操作できることは押さえていました。紙の手順書を活用するべきかタブレットでの手順書を活用するべきかで検討しました。複数の箇所を巡るために、情報をどう伝えるのがベストかを検討しました。一度の情報量が多いと一人ではゴールを完璧に導きだすことが難しいことがあるためです。シンプルな情報を、その都度確認できるのがいいと考えました。そして複数の紙のシートだと管理の必要性があることも考慮しました。これらのことを考え、今回はタブレットを一人一台持って、その中でシンプルな情報を複数回に分けて提示する、のがベストではないかと考え、準備をしました。

 さらに、この学習は、数回予定されていましたので、単元を、

1.グループでタブレット端末を操作しながら、校内を巡る。

2.一人一台を持って校内を巡る。

3.みんなで校内マップを作り、学年で発表する。

と構成しました。1回目は、校内を巡るイメージを友達の動きも見ながら一人ひとりが持つことに重点を置き、活動しました。そして2回目にいざ一人!です。

子どもたちは実にいきいきと校内を巡りました。一回目にほぼ全域を巡ってイメージはできていたと思いますが、そこからピックアップしたヒントを見て、次々に巡っていきます。ヒントには、新しい校長先生のプロフィールやタンバリン、体温計と子どもたちがイメージしやすいものを設定しました。遠くから「先生わかったー!」と私が来るのを手招きしたりしながら、どんどん先に行ってしまいました。私は学習の振り返り用の記録を撮るだけの役目だったのですが、危うく追いつかないところでした(子どもたちは6名、教員は2名編成のグループ。残念ながら当日は欠席もあり4名が参加)。

そんな子どもたちの様子を見ながら、私の改善点はまだまだあるものの、「自ら動く」ことの大切さを改めて感じたところです。

日常のツールにするために

 プロジェクトでは、より日常のツールの一つとしてタブレット端末を活用していこうと今年度は校内で年間計画で

教員の実技研修を考えているところです。

限られた回数でどこまで広げられるかが勝負かと思いますが、チームの仲間と協力しながら進めていこうと思います。

その様子もまたこちらでご報告できればと。

郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)

北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。

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