2014.05.21
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小学校高学年における学級経営論

広島県公立小学校 教諭 中村 祐哉

 小学校高学年の学級経営論

 今回も前回に引き続き,小学校高学年の学級経営において私が大切にしている3つの柱『プライド』『ヴィジョン』『ブランド力』について,つれづれと書かせていただければと思います。

今回は、残り2つの柱『ヴィジョン』と『ブランド力』についてです。1学期に所属クラス,そして高学年としての『プライド』を習得した子どもたちに夏休み明けから,さらなる学級の深化を目指して,どのようなアプローチが適切なのかという点も一緒に考えていきたいと思います。

 

 

2学期(前期・前半/後期・前半)『ヴィジョン』

 私は,『ヴィジョン』と横文字にして使っていますが,その内容は端的に述べるなら,教員のみなさんも児童・生徒のよく使われている『見通し』です。

私の場合はこの『ヴィジョン』を学級経営のひとつの柱にするほど重要視しています。ここでは,小学校高学年の子どもたちへ明確な『ヴィジョン』をもたせる教育的意義についても具体例を挙げながらお話していきたいと思います。

たとえば,運動会や学習発表会等の大きな学校行事で子どもたちが,ただ「運動会があるから○○しなきゃ!」ただ「学習発表会があるから○○しないと!」と一種の義務的,または消極的意味合いでの恒例行事に感じているようでは,児童それぞれが主体性をもった教育活動を見い出すことは難しいですね。ここで『ヴィジョン』をもつということは,「本番の舞台に立つ自分を思い描くことができる」そして,「自分たちの姿が他からどのように見られるのかを想像することができる」ということです。これはその学校行事に取り組む過程をも変化させるとても大切な視点です。本番に「こんな自分を見せたい!」だから,逆算して,今何に取り組まなければならないかを児童自ら自発的・主体的に考えることができるのです。

ここでは学校行事を例にあげてみましたが,他にも子どもたち個人に関するところでは,私の場合,第6学年のこの時期(2学期)からは,『中学生ウィーク』と題して,あえてスパンの長い宿題も出したりしています。中学校では,教科によって担当の教員が変わり,課題の提出に関して,曜日の離れた次回の授業だったり,期日指定をされる場合もよくあります。

それを見越して,毎日クラスの子どもたちと一日を過ごす小学校学級担任からも,「この宿題は『中学生ウィーク』の課題です。来週の火曜日に(火曜日までにではない)出してください」というように宿題の量を適宜コントロールしながら,一週間の自分の生活に『ヴィジョン』をもたせるのです。

では,この『ヴィジョン』は最後にどこにたどり着くのかということです。

それは,子どもたちの『将来の夢』への『ヴィジョン』です。近年,大学生になっても,自分の夢がなく,これから何がしたいのかも不明瞭な学生が多いとさまざまなところで耳にします。この『ヴィジョン』をもつという指針づけを教師側から徹底しておこなうことで,最後は子どもたち自身の将来に道筋をつけることができ,また小学校高学年での経験がこれからの子どもたちの『夢への基盤』になっていくと感じています。

 

 

3学期(後期・後半)『ブランド力』

 クラスの中にはさまざまな特技やよいところをもった児童がいます。それはクラスのメンバーの全員なのです。しかし,近年、自分に自信がない子どもたちが多いとも言われています。(この部分に課題がある児童がいた場合も,ここでは1学期実践の『プライド』にて補完しています)教師は,子どもたちのよいところを伸ばしていける指導力が求められています。そのためには,まず学級の児童それぞれの「伸びどころ」を見抜く必要があると思います。個性の伸長も叫ばれる昨今,これは非常に重要なことだと考えています。では,なぜここで『ブランド力』なのでしょうか?

 私の思う『ブランド』とは,その名前を聞くだけで,多くの人が共通してイメージできるものがあることだと考えています。それがあるということは大きな強みでもあります。

 たとえば,「毎日,大きな声で元気なあいさつができているあの子。あの子がA君ですね」というようにA君の名前を知らない人でもA君のすばらしいところ=A君の作り出す『ブランド』が大きな力となって広まっているということです。それは特技でも可能です。「ピアノの上手なあの子。あの子がBさんですね」といった具合です。これらの『ブランド力』をクラス全員がもつこと,もしくは教師が見つけ,そのよさを伸ばすことができたならば,そのクラスはお互いのよいところをお互いが認め合い,多方面のジャンルに強みをもった心身ともに成長した力強い集団になっていると思います。そのクラスの力強さをつないだ「絆あるあたたかい心」をもって中学校へ進学してほしいとこの時期には常々願い,取り組んでいる次第です。

 

 ここまで2回に亘り,私が小学校高学年の学級経営で大切にしている3つの柱について書かせていただきました。

これを軸として次回からは,私の学級で取り組んできた具体的実践について述べていきたと思っています。次回は,6月6日(金曜日)公開予定です。ぜひお楽しみに!

中村 祐哉(なかむら ゆうや)

広島県公立小学校 教諭


「社会科教育」「国際教育」「ESD」をメインテーマに,日々授業実践と研究に取り組んでおります。拙い教育実践ではありますが,共に学ばせていただければ幸いです。

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