2014.05.12
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教室における安全への配慮

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師 鈴木 邦明

新年度も始まり一か月が過ぎました。

クラスの状況はどうでしょうか?

うまくいかないこともあり、悩みが尽きないのではないでしょうか?

教員の仕事は「これでよし!」というものがないので、「さらにより良くなるには?」と考え出すとキリがありあせん。

前向きな悩みであることを願います。

 

逆に、様々なトラブルが発生しているようであれば、早目の対応が大切です。

クラスにおける問題では、担任が関わらずに放置しておいて、状態が良くなることはほとんどありません。

積極的に教師が関わることで、良い状態が維持できるのだと思います。

クラスの状態が少し悪くなると心配なのが「怪我」です。

大きな怪我が発生し、その対応の仕方などで、保護者との関係が難しいものになってしまうことがあります。

そういったことにならないようにするために絶対に必要なことが「安全への配慮」です。

これは十分過ぎる位にやってちょうどよいものだと思います。

怪我などが起きてしまうとその後の対応がとても大変になります。

その対応に時間が掛かり、授業の準備などが十分できなくなることもあります。

子どもに障害などが残ってしまうケースもあります。

そういったことを可能な限り無くしていきたいものです。

 

具体的な方法を紹介します。

 

まずは、「子どもの周りにある危険物をなくす」ことです。

廊下に段ボールが置かれていたり、不必要な机などが置いてあれば、ぶつかったり、つまずいたりする可能性が出てきます。

子どもの動線を考え、そこには物を置かないようにすることが大事になります。

教室の中の机と机の間の通路にもできるだけ荷物を置かないようにします。

机の脇に掛ける荷物はできるだけ少なくし、絵の具を使う際には、水入れの置く場所などへも配慮します。

また、廊下の床などが濡れていれば、滑って転倒する可能性が高くなります。

不必要な画鋲は壁から取ることも大事なことです。

次に使うことなどを考え、一時的に壁に画鋲を指しておくことがあります。

こういった状況では、子どもがいたずらで遊ぶことも考えられますし、壁から取れてしまって、踏んでしまい、怪我することも考えられます。

こういった「子どもの周りにある危険物をなくす」ことで、怪我を減らすことにつながります。

常に教師がそういったことを意識することができるようになることも大切です。

 

方法の2つ目は、「子どもに危険な行為をさせない」ことです。

廊下を走ったり、教室の中でプロレスごっこをしたりすることで、怪我の可能性が高まります。

私は、教室の後ろにあるロッカーの上には子どもは乗らせないようにしています。

子どもは、高い所に登って、習字などの作品を貼る仕事をしたがりますが、私はさせないようにしています。

万が一、落ちた場合に大怪我につながる可能性が高いからです。

以前、知り合いの学校で、ロッカーの上から落ちてしまった子どもが大怪我を負ってしまったことがありました。

私は、少し面倒でも高い所の掲示物は教師自身がやるように心がけています。

 

方法の3つ目は、「子どもに危険性を意識させる」ことです。

私は今年度、安全への配慮の話をする際に、骨格標本(骨の模型)の頭の部分を見せながら話をしました。

その頭蓋骨は中央部で分かれる形のものなので、頭蓋骨の厚さが分かるようになっています。

実際に見ると分かるのですが、頭蓋骨は思っている以上に薄い骨です。

大切な器官である脳を守るためには、骨を厚く、丈夫にした方が良いのですが、そうすると重さによって、頭の安定感が損なわれます。

そういったことを考え、現在のようなものになったと考えられます。

その薄い頭蓋骨を見ると、頭を床や角にぶつけてしまったら、大変なことになってしまいそうだということが子どもにも分かります。

ただ「落着きなさい。廊下は走らないように。」と言うのではなく、子どもが納得できるような形での説明をしていくことが必要なのだと思います。

 

こういったことを常に教師が意識しながら、学級経営を行っていくことで怪我などを減らすことにつながっていきます。

それが日々の学校教育活動の質の維持につながります

皆さんが関わる子ども達が怪我などになることなく日々健やかに過ごせることを願っています。

鈴木 邦明(すずき くにあき)

帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。

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