2014.05.01
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たかが学活!? されど学活!!

兵庫県姫路市立坊勢小学校 教諭 宗実 直樹

爽やかな春の海

 春の海が大好きです。

晴れた朝の海はキラキラと光っていて何とも言えない美しさとあたたかさがあります。

 

 ところで、先日、子どもたちに

「キラキラしたものを探してこよう!」

という宿題を出しました。

どんなものを見つけてくるのだろう?

と、楽しみに次の日にノートを開きました。

「スプーン、メダル、コップ、ダイヤ、指輪、夕日の沈む海」等々…。

実に様々なものを見つけてきました。

その中に、

「笑顔、チーム6-1の笑顔、友情、みんなの心、絆」

と書いている子もいました。

見えないものを見えるようにしている子どもたちの視点が素敵で、

「うん、ええなぁ。」

と言葉をもらしました。

そして最後に、

「悪いことをしている妹の眼」

笑いました(笑)

 

 

はじめよう!学級活動!

 週1回の学級活動の時間。

忙しいからといって、無くしてしまったり、別の教科にしてしまったりすることはありません。

学級活動の時間を大切にし、意図的・計画的に指導していくことで、必ず子どもたちに力がつくことを確信しているからです。

 

 まず、「第0回学級会」をやります。

司会、黒板記録、ノート記録、提案者、はじめの言葉、おわりの言葉…すべて教師がします。

フル活動ですが、まずは話合いの「カタチ」を教えるために、がんばります。

ただ、「カタチ」は「カタチ」であって、「カタチ」だけを重視する学級会にはしたくないと思っています。

 

『何のために学級会をするのか。』

 

それを子どもたちにしっかりと伝えなければいけません。

 ・決して遊びの時間ではなく、自分や学級を育てるための時間。

 ・みんながより仲良くなるための時間。

 ・みんなで考え、みんなでひとつの目標に向かうことによって、学級の力を高めるための時間。

 ・ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために考える時間。

 ・自分たちで考え、自分たちでつくっていくみんなの時間(自治的諸活動の範囲内)。

 ・折り合いをつけ、みんなで問題を解決していく時間。

 ・よりよい自己決定をし、自分の生き方をみつめる時間。

といったことを子どもたちに必ず伝えます。

 

 

学級会の名前

 学級会の名前を決めます。

昨年度のうちのクラスで言えば、学級目標が「笑顔と勇気あふれるTEAM5-1」だったので、学級会の名前は「第○回 5-1TEAM会議」でした。

子どもたちと話し合いながら決めました。

自分たちで決めたネーミングなので愛着もわきます。

こういう「自分たちでやっています感」はとても大切だと思います。

 

 

提案理由こそ命

 毎回の学級会で何を大切に話し合っているのか。

そこで重要なのが「提案理由」です。

提案理由が「バレーをしたら楽しいから」では、弱過ぎます。

「苦手な子も楽しめるようなルールを工夫し、チームで協力してバレーをしたら、クラスの仲も深まるから。」

といったように、しっかりと意味をもたさなければいけません。

話合いのすべての拠となります。

そうすると、

「クラスの仲を深めるためにチームで協力し、苦手な子のことを考えたルールを出し合う話合い」

になるはずです。

提案理由からそれた話合いになってはいけません。

また、話がそれたら必ず提案理由に戻るようにしています。

 

 

やさしい時間に

 数年前の話です。

心臓病でペースメーカーをつけている子を担任しました。

胸に強い衝撃があるといけません。

周りの子たちは気を配っていました。

その子自身は、とても元気で、果敢に色々とやりたい子なのです。

そのことも周りの子はよく知っています。

 例えば、ドッジボールといった類いの議題であれば、そのままにしていてはその子には危険なのでできません。

ではやめて違う議題にしてしまえばいい。

でも、やめてしまうことでその子が気をつかうのも知っています。

だから、常にその子が活動できるように工夫をしていました。

その子のことをよく知り、気をつかいすぎることが優しさでもないことを理解し、ベターな方法を考えて話合いをしていました。

「ポートボールやバスケットボールなどでは、ボールを柔らかく大きいものにする。」

「野球などでは、デッドボールがないように、ピッチャーなしのティーバッティングにする。」など…。

それが「当たり前」になっていました。

 

 初任の頃、正直話し合い活動をほとんどしていませんでした。

「話し合う時間がもったいない。とにかく実践活動してたら仲良くなるやん!」

ずっと思っていました。

だから、活動に「工夫」がありませんでした。

「すべての子が楽しめる工夫」

「苦手な子が楽しめる工夫」

です。

この「工夫」を考えることが、自分だけでなく、周りに心を向けるやさしさの時間となり、あったか~い雰囲気、あったか~い空気をつくりだします。

 

 

 何となくの学級活動ではなく、一人ひとりが大切にされ、だれ一人不幸にすることのない学級活動にしていきたいものです。 

宗実 直樹(むねざね なおき)

兵庫県姫路市立坊勢小学校 教諭
特別活動を学級づくりの中心に、「字をかき、汗をかき、恥をかき、頭をかき」ながら、子どもたちと共に伸びていく姿勢を大切にしています。日々是好日。地道に一歩ずつ精進していきたいです。

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