あるテレビ番組の企画でタレントさんが小学生の子供たちに授業したそうです。
お笑い系のタレントさんなので、話術は巧み。
ほとんどの子供は、大笑いしながら、そのタレントさんの話を聞いていました。
パッと見ると、とても楽しい授業に見えたそうです。
でも、その中に、数人、笑わない子供がいたと。
私はこの話を、教員向けの研修会で聞きました。
その話をしてくださった、講師の先生はこう結びました。
「やはりタレントはタレントです。教師とは違います。みなさんは教師として、全ての子供を満足させることが必要です。」
全ての子供に満足を。
これほど難しいことはないと、ベテランの部類に入ってきた今でも、私はそう思います。
全ての子供に満足を。
自分が満足できないそのひとりだったら、と思うことがスタートなのだろうか。
誰も自分をわかってくれない、と思うことは人間として普通のことだと思います。教師の中にも、そういう感情を抱えている人はたくさんいると思います。
そういう負の感情、孤独の感情を、もっとポジティブに大切にしないといけないのかな。
先ほど引き合いに出したタレントの「話術」は、スキル。
話術のスキルを磨けば、まずは多くの子供を満足させることができる。
でも話術のスキルだけでは、全ての子供に満足を与えられないということ。
そんなことを、つれづれ考えさせられました。
あの研修会の講師の先生、プロだなあ(笑)。
増田 謙太郎(ますだ けんたろう)
東京学芸大学教職大学院 准教授
インクルーシブ教育、特別支援教育のことや、学校の文化のこと、教師として大事にしたいことなどを、つれづれお話しできたらと思います。
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