2014.03.25
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Can-doリストとマラソン大会を終えて

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭 岩本 昌明

3月16日は富山市で「神通川マラソン」が開催されました。
陸上競技場を起点に富山県の中央を流れる神通川の堤防沿いを走ります。
日本陸連公認のコースです。マラソンと名前が付いていますが、フルマラソ
ンはなく、ハーフマラソンから、10km, 5km, 3km, 2kmと男女別年齢等で幾
つかの部門に別れており、今年で24回目となりました。

私は、ボランティアで、3Kmの折り返し地点のお手伝いをしました。
スタート地点から1.5kmに作ってあるので、スタート地点から行き帰りは徒
歩での移動になりました(色々と忘れ物を取りに戻ったりしたので、この日
は6Kmのウォーキングをしたことになりました)。


3kmの折り返し点では、5kmや10km,ハーフの出場者も通過していきます。
ランナーがぶつからないように、プログラム上では時差を設けてスタートし
ているのですが、この地点では、今までに道路上で選手同士の接触が起きた
りしたので気を抜けません(一応、左側車道を走ること、または道路の左側
を走ることになっています)。タイムを意識して走っている方は、道路中央
寄りに走り、また曲がる角でも内側内側へと走ります。曲がり角付近は対向
して走ってくる選手と接触に注意が必要になってきます。幸い今年は、心配
した選手同士の接触事故もなく終わることができました。

本部に帰る途中に、既にゴールされたらしい選手の方が、今日の走りを振り
帰りながら話しているのが聞こえてきました。耳をそば立てていたわけでは
ありません。2人は、ハーフ(21.0975m)を走られた方のようでした。能登の
地名が上がっていましたので、隣の石川県の方だったのかもしれません。
走る地形や天候状況について触れておられたようでした。マラソンでは、途
中に高低の起伏があることが自然です。また天候状況では気温の高低や向か
い風などの影響を受けることが多々あります。アスリートにとっては、私に
は悪条件に思えることにも意味があるようなのです。

起伏又は傾斜があることや風が色々な方向から吹いてくることで、からだに
いくらの負荷や負担があります。それを乗り越えようと心拍が変化し、身体
の色々な部分が克服しようと調整機能が働くように鍛えられるようです。
練習の段階で、平坦な地形ばかりを走ることや天候などコンディションが
良い時だけ走っていては、本番での記録が思うように伸びないことが起きる
ようです。少々坂道や傾斜などからだに負担のかかるコースを走ることや天
候などが良くない日にも走り込むことができて、記録の短縮に繋がるのだそ
うです。話をしている1人の方は、フルマラソンで4時間を切ることを目標
にしているらしいのですが、あと5分程度がなかなか短縮できない事に対し
て、もう片方の方が、上述のようにアドヴァイスを含めて語っておられまし
た。神通川マラソンのゴール前は、ほんの少し傾斜がありなだらかな登り坂
になっています。1人の方は、最後がきつかったと感想をもう1人の方に話
しておられました。それに対して、上の話が出てきたようです。

私は、マラソンのような42.195kmを走ることは現在できていません。しか
し、まずこの距離を走ることができるようになれば良いなあと夢というか目
標を持っています(なぜなら北陸新幹線開業を機に富山マラソン2015が開催
されます。詳細は公式フェイスブックの状態で公開されています)。今日参
加された方には、ハーフだったのですが、フルマラソンを完走した上で、更
に自分の持っている記録を更に縮めようという目標を持っておられたようで
した。私は、参加者の中により高い自分を求めている人の話を聞くことがで
き、神通川の堤防沿いに吹き付ける風で冷え切っていた身体が、幾分ですが
温まり気分が爽快になったように感じました。


身近な学校で置き換えてみますと、「○○することができる。△△すること
ができた。」と児童生徒の成長や伸びについて学期ごとや1年を振り返り、
話し合いをすることがあります。私は「できた」で終わりにせず、その先の
もっと上のレベルや段階を目指し続けることについても話し、気づけるよう
にすることも大事ではないかと考えました。

具体的英語で考えてみると、例えば「あるまとまった分量の英文の意味が分
かった。」とします。これができるのにかかった時間が1回目で15分であれ
ば、2回目には12分、3回目には10分などと(こんなに順調にいくことは少
ないかもしれませんが)少しでも時間を短縮して、理解も伴うようにするこ
とは、大事で有効なことであるかもしれません。
英文を5分間で、5行(20語)覚えることができた。何ヶ月かして同じ5分間
で、30語以上覚えることができれば、それが成長でもあり、向上でもあると
考えて良いかもしれません。

 

今、英語教育の世界でCan-doリストが、数値目標設定と同時進行で進んで
います。目の前の1人1人の生徒に、その人に合ったCan-doリスト作りと
なることを期待したいものです。またこのCan-doリストが有効に運用され
るように指導担当者がこの意義や有効性について分かっていなければなりま
せん。そうでないと「教科書の何ページから何ページまで今学期進んだ。」
や「仮定法まで教えた。」や「問題集を半分答え合わせした。」などの話が
聞こえてくることになります。本当は、「(内容は問わず)生徒同士英語で
対話が5分間続くようになった。」「10分で英文を10行以上書けるようにな
った(本当は語彙数や中身も大事なのですが)」「1分間で150語の英文の内
容把握ができるようになった(使用されている語句の難易度でも変わってく
るのですが)」

英語学習でも、何かができるようになったら、それで満足し良いとせず、次
のレベルに高めることを求めていくことで、英語力の向上が期待できるかも
しれません。英語に限らず言葉は、使うこと、時間をかけることが大切で、
これで終わりというものがなくエンドレスなものかもしれません(このこと
がイヤだと思われる方もいるかもしれません)。ここでピリオドということ
はないのではと思います。少しでも今までと異なった一工夫を加え、英語学
習上での負荷を指導者が与えることが大切になってくるようです。また、学
習者はちょっと辛いこともあるかもしれませんが、負荷のあることにチャレ
ンジし続ける気持ちを持つこと(できれば楽しさ、面白さを加味して、これ
が難しいことですが)が大事なのかもしれません。

先ほどの2人の男性が、これから起伏のある場所を走ることを加えることに
よって、近い将来きっと4時間切るタイムでフルマラソンが走ることができ
るようになったと話していることを期待します。

3月中旬とは言え、まだまだ寒い日もぶり返す(三寒四温って死語ですか)
ここ北陸で、春を迎える恒例の「走り始め」となったようです。
みなさまにおかれましても、4月からのよい「新年度」のスタートが切れま
すように。

終業式等を終えてホット一息(?)ついて、来(きた)る新年度の準備ですね。


失礼いたします。

岩本 昌明(いわもと まさあき)

富山県立富山視覚総合支援学校 教諭
視覚に病弱部門が併置された全国初の総合支援学校。北陸富山から四季折々にふれて、特別支援教育と英語教育を始め、身の回りに関わる雑感や思いを皆さんと共有できたらと願っています。

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