もうすぐ新年度が始まります。毎年、この時期になると、4月からの新しい一年が良い年となればよいと思います。
今回は、「新年度が始まる際に学級担任がすべきこと(小学校学級担任)」について紹介します。
以前、私の所に教育実習に来ていた人が「初めて学級担任をする際には何をしたら良いのですか?」と聞いてきたことがあり、その際にまとめたものです。その後、年々改良を加え、現在のものになっています。学校によって違う部分もありますので、参考程度に扱ってください。
こういったものを利用し、新年度がスムーズに始まることを願っています。(特に若い先生)
「笑う門には福来る」と言います。子どもも教師も「笑顔」の多い年になるようがんばっていきましょう!
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「3月中にすること」
□自分の教育方針を考えておく
どんな子どもに育てたいのか。
何を核(中心)とするか。
(自分のカラー:花を育てる,休み時間は遊ぶ,コンピューター,笛,なわとび等)色々な本などを読む
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「初日(始業式)までにすること 4/1―」
□名簿を作る
出席簿,児童名簿などを作る。
要録などで,読み方をチェックしておく。
エクセルなどで作っておいた方が活用しやすい。
□子どもの状況の把握
大まかに、家庭の様子(兄弟、片親、学区外など)、子どもの様子(学力、友達関係、障害など)を把握し、配慮しなければならないことを確認する。
前担任がいる場合は、話を聞く。
□教室などの準備
机・いすの確認(数、傷、汚れ、名札など)
下駄箱、ロッカー、机、いすの名前のシール
□親向けの文書を作っておく
学年便り、学級通信第1号
自分の考え方(どんな子どもにしたいのか)を表明しておく。
雛形(定型)を作っておくと後が楽になる。
□初日に話す内容をしっかりと考えておく。
メモを作っておくと万全。
多くなりすぎないように注意する。
□時間割を作る
校庭,体育館,音楽室、専科などの割当を考えながら。
月曜に図工や習字等を持っていかない。(忘れ物が多い)
□色々な機械の使い方を理解する(異動した場合)
印刷機,コピー機,裁断機など(これができないと,プリントを出せない)
学校によって、いろいろと違う。
□学年内での役割分担を決める
分担しなければならないものを決める
□学年で共通理解をはかる
学年で共通にする部分はどこなのか
守らせるルールは何なのか
などを学年内で相談する
□補助教材などを決める
テスト、ドリル、資料集などを学年で相談して決め、注文する
□配布物の準備
初日に配布するものの準備
□数日間の流れの確認
始業式の日から数日間に取り組むことの確認
子どもの動きや持ち物、配布物などについての確認
異動した場合は、周りの先生に色々と質問し、確認する(学校によって同じ言葉でも意味が違う場合がある)
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「一日目(始業式の日)にすること」
□笑顔で子どもの前に立つ
担任発表の後、笑顔を見せる
□名前を間違えずに呼ぶ(一番大事)
要録などで読み方をチェック(読み方の難しい名前が増えている)
□新しいクラス(担任)は楽しいと思わせる(とても大事)
いろいろな仕掛けで子どもに期待感を持たせる。(例:簡単なゲーム、手品・・)
□自分の考え方の表明(子どもへ)
基本的な考え方,やり方を分かりやすく話す。
どんな子どもに育てたい。(例;自分で考えられる子ども)
こんな子どもが好きだ。(例;元気に遊ぶ子ども,嘘をつかない子ども)
絶対に許さないこと(例;暴力は絶対に許さない、いじわる、勉強のじゃま・・・)
□席を決める(教室に入らないときは次の日以降)
色々なやり方があるが,始めのうちは出席番号順が無難。
理由としては,お互いに名前を覚え易い。
始めのうちは,机に名札を付けておくと名前を早く覚えるし,呼び間違えがなくなる
それ以降の席替えのやり方を決めておくと後でもめないで済む。
□宿題を出す(初日から)
提出の方法も伝える。
今年度は宿題をしっかりやるという意思表明。
宿題の内容は、子どもが興味を持つもの。
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「二日目にすること」
□初日の感想を子どもに伝える (大事)
肯定的な感想を伝える。
元気そうでよかった、落ち着いていてよかった、仲良くやれそうだと思った
礼儀正しくて驚いた、親切そうでよかった など
否定的な意見は言わない。
信頼関係ができていないところで、説教のようなことをしても通じない。
まずは信頼関係をつくることに主眼を置く。
□提出物の提出の方法の確認
箱に入れ、名簿にチェックするということを徹底する。
宿題はやるものだという意識をつけさせる。
→ 「やらないとだめだ」「忘れてはだめだ」という雰囲気を作る。
全員を立たせてから、名簿を見ながら、座らせ、名簿にチェックしていない子を残す。
その後、「どうしました?」と聞く。叱る訳ではない。
□教科書配布 (後日の可能性あり)
すぐに名前を書かせる。
簡単に内容の確認をする。
□背の順を決める
これをしておかないと離任式や集会などで並べないことがある。
身体測定があるまでの仮の背の順にしておくもの可。
身体測定の後に、正確に計ったらそのデータをもとに並び方を決めるのでもよい。
持ち上がりのクラスですでに決まっていればひとまずそのままにしておく。
決められない(決めない)場合は、どういった並び方(名前順)にするのかの指示を出しておく。
□持ってきた道具の置き場所の確認
置き場所、置き方、その他ルールを決めておく。
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「3日目にすること」
□日直のやり方の確認 (次の日以降でも可)
朝の会の司会(号令,健康観察,連絡,欠席調べ)
帰りの会(明日の予定の確認,号令)
仕事内容は号令,日直日誌,黒板消し,消灯,窓締め
それぞれの仕事のやり方(例,号令のかけ方など)の説明
□掃除(教室)のやり方の確認(色々なやり方がある)
掃除分担を決める。
例:3グループに分ける
1 教室
2 体育館
3 廊下,体育館棟廊下(半分ずつで,入れ替わる)
やり方(例)
机を運ぶ(休み時間の前に)。
ほうきが後ろから前へ向けて掃く。
1列2往復,雑巾をかける。バケツに水を入れてくる。
机を運ぶ(持ち上げて)。
ほうきはごみが後ろへいかないように掃く。
前の隅にごみをまとめ,ちりとりで取る。ごみ箱にごみが溜まっていたら捨てる。
雑巾をかける。
机を運び,椅子を下ろす。
雑巾の保管場所の確認(机や椅子などの棒に洗濯ハサミで固定するなど)
□休み時間
なるべく外で遊ぶように仕向ける(教師が一緒になって遊ぶ)
特に教室の中で暴れてけがをしそう(させそう)な子どもを外に連れていく。
休み時間の過ごし方のルールを決める。
(学年で統一させる、わからないことは即答しない、学年の先生に聞くから待ってと言う、一度いいと言ってから訂正をすると子どもから信用されなくなる可能性がある)
例:トランプは持ってきて良いのか。(雨の日なら良いのか等)
□一年間の目標決め(それぞれの子どもにとって)
この一年でやりたいこと,チャレンジしたいこと,高めたいこと
□委員会の決定 (後日の可能性あり、前年度に決めてある場合もある)
男女比に気を付ける
委員会はある意味で奉仕活動だということを知らせる。
□クラブの決定 (後日の可能性あり、前年度に決めてある場合もある)
□給食のやり方の確認(色々なやり方がある)
給食が始まる日までにすればよい
学校の基本的なルールを確認する。
席の作り方
配膳台の準備,袋の準備は給食係がする
給食当番が来たら,席に着いて待っている。
食べる量に違いがあるのだから,半分までは戻しても良い。
お代わりは戻さなかった人のみ。
たくさん余っているときには先生が配る。
□給食当番のやり方の確認(色々なやり方がある)
週の始めに,担当(パン,食器など)を決めておく。
役割は順番で回す。
□自己紹介 自分の良いところを参考にして。
アピールさせる。
だらだらとならないように注意。
プリントにも書かせ,それを冊子にする。
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「4日目以降」
□係活動の決定
どんな係が必要か出させる。
それらをまとめて,いくつかの係を決める。(係にないものは日直の仕事)
人数を決める。
□授業のやり方を説明する(色々なやり方がある。学校でやり方が決まっている場合が多い)
はじめにしっかりと確認をしておくことが大事。
毎回の持ち物の確認(教科書,ノート,ドリルなど)
ノートの書き方
ノートには日付を書く。
□朝自習のやり方の確認(色々なやり方がある)
曜日毎にやることを決めてしまうとやりやすい。(月;朝会,火;小テスト・・)
朝自習係をつくり,考えさせるといい。
□学級連絡網の作成。(最近は防犯上作らない学校が多い)
地域を意識しながら。
学校に雛形がある。
□学級会のやり方。
話し合いができるように。
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「1カ月をめどにすること 」
□学級目標の決定
学校目標,子どもの実態を踏まえて
子どもに「どんなクラスにしたいか」意見を言ってもらい,教師が考える
キャッチフレーズのように分かりやすく,言いやすくものがいい。
出来上がったら,教室の正面(黒板の上辺り)に目立つように貼っておく。
(子ども達が常に見ることができ,意識するようにするため)
□子どものカルテを作る
医者のカルテのように,一人一人の子どものあらゆるデータを入れたものを作る
データの内容
家族構成,得意不得意(できること,できないこと),病気(アレルギーなど)
家庭の様子(家庭訪問後),友達関係等,指導の参考になること全て
とにかく子どもを観察する。
コンピューターで作った方が処理が楽。管理には気を付ける。
□学級経営計画の作成
校長に提出するもの。
学級目標,特に指導を要する子,指導の方針などを書く。
□要録に新年度の内容を書き込む
クラス、出席番号、校長名,担任名などを押す。
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鈴木 邦明(すずき くにあき)
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。
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