2014.02.28
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面白い本作りの話。

北海道札幌養護学校 教諭 郡司 竜平

 先日、一冊の本のパートを担当させていただくことになりました。

この本づくりの過程がなんとも面白く、興味深いものだったので、その一端をご紹介できればと思います。

 

この本は、教育に関わるカテゴリーですが、執筆者は編者の先生によって小中学校、特別支援学校から集まり、
その取組も年齢構成もバラバラでした。その時点で既にユニークな一冊になるんだろうなとワクワクしたのを覚えています。

通常、本ができるまでには、出版社の担当の方がいて、編者の方がいて、執筆する方がいます。以前、私が書かせていただいた本では、おおまかなジャンルやカテゴリー、出来上がりのイメージをいただいて書き上げて、担当の方の方で校正するという流れでした。機会も少ないので、これがごく一般的かどうかはわかりませんが、一般からそれほどずれてはいないかと思います。

そこでは執筆者同士のやりとりはありませんし、担当者と執筆の方でも校正について数回のやりとりをしたぐらいにしか記憶していません。ですから、本全体がどのように出来上がるとか、編集の方のイメージなどはあまりつかむことができませんでした。出来上がったものに目を通してみて初めてわかることが多いのです。

 

しかし、今回の本造りは、つくり上げる段階で、編集の方の方向性や明確なメッセージ性みたいなものがわかりました。

もっと言うなら、編集者、執筆者一人ひとりが日常的にどのような活動をされていて、どのような考え方をしているのかさえわかるものでした。

その中心は、SNS、FACEBOOKでした。

SNSで執筆者同士でグループを作成し、書き上げたものはもちろん、書き始めで悩んでいる原稿や書きなおした原稿まで、そのほぼすべてをお互いに共有しながら作業が進んでいきました。SNSですから、執筆者のプロフィールはもちろんのこと、日常の行動までをお互いに知ることができます。大げさに言うと、執筆者の人となりがわかるのです。

その上で、アップされてきたデータに目を通し、お互いにコメントしながら加除修正をして、書き上げていくのです。中には、他の方の原稿を読んだ後に自分の原稿をさらりと全て書き直した方などもいて、とても多くの刺激をいただきながら書き進めることができました。個人的には、単純に負けたくないという心理もあったかもしれません。

さらに、そのメンバー構成が実に多岐にわたっていたので、自分の知らない視点を次々にいただくことができたのです。

毎日毎日、原稿を直し、書き進める作業は決して楽しいだけのものではありませんでしたが、毎日毎日いただくコメントを励みにすることができました。

 

FACEBOOKをはじめ多くのSNS等はいろいろと問題点も指摘されたりしますが、このように実に有効に使うことができるものなんだなと認識を新たにすることができました。この方法が流行るかどうかは私には全くわかりませんが、これからの仕事に決してマイナスになることはないだろうと感じています。

全国の方々とつながることができ、仕事に関する様々な情報をいただくことができるSNSは、今後も上手く利用していきたいと思いますし、新しい使い方も模索していきたいと考えているところです。

郡司 竜平(ぐんじ りゅうへい)

北海道札幌養護学校 教諭
小学校支援級、通常級と担当させていただき、現在は札幌養護学校小学部にいます。ここでは、私が取り組んでいる特別支援教育におけるICTの活用について具体例を交えながらご紹介していけたらと考えています。

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